ボクルグ

ボクルグとムノムクア：クトゥルフ神話の旧支配者たち

クトゥルフ神話において、ボクルグとムノムクアは、恐るべき力を持つ旧支配者として知られています。彼らの存在は、夢と現実の境界を曖昧にしながら、多くの作品で畏怖の対象として描かれています。

ボクルグ：水蜥蜴の神と永遠の報復

ボクルグは、水蜥蜴の姿をした旧支配者です。その領域は、夢の世界であるドリームランドと現実世界、どちらであるか明確にされていません。イブのスーム＝ハーという存在がボクルグを崇拝していたとされ、その怒りを買った者には、何百年にも渡る恐ろしい報復が待ち受けていると伝えられています。この報復は、一瞬にして都市を破壊するほどの凄まじい力を持っており、サルナスという都市がその犠牲になったという記述があります。サルナスもまた、ドリームランドに存在するのか、現実世界に存在するのか、定かではありません。ボクルグの登場作品としては、ラヴクラフトの『サルナスの滅亡』、ラムレイの『大いなる帰還』、ハームズの『エンサイクロペディア・クトゥルフ』などがあります。

ムノムクア：魂を喰らう巨大なトカゲ

ムノムクアは、ボクルグの上位神に位置づけられる存在です。巨大なトカゲのような姿で描かれ、旧神によって月に封印されているとされています。無名都市に住まう爬虫類種族はムノムクアの従者であると考えられています。配偶者は邪神オーンであり、「魂を喰らうもの」という異名を持つ彼は、かつてヤルナクを支配していましたが、ヴォルヴァドスによってその支配は終わりました。ボクルグと同様に、ムノムクアの領域もドリームランドと現実世界のどちらであるか、作品によって異なっています。ムノムクアが登場する作品には、カーターの『第六の物語 ムノムクアー』、『深淵への降下』などがあります。

ドリームランドと現実世界の曖昧性

ボクルグとムノムクアは、ドリームランドと現実世界の境界を曖昧に存在する存在として描かれています。彼らの活動舞台がどちらであるかは、作品によって異なり、読者に想像の余地を残しています。この曖昧さは、クトゥルフ神話特有の不気味さと謎めいた雰囲気をさらに強調し、読者に深い恐怖感を与えます。

関連作品と考察

ボクルグとムノムクアは、複数の作家によって様々な作品で描かれてきました。ラヴクラフトの『サルナスの滅亡』や『無名都市』は、彼らが登場する初期の作品であり、後の作家たちにも大きな影響を与えました。これらの作品を通して、ボクルグとムノムクアの恐ろしさ、そしてクトゥルフ神話の奥深い世界観の一端を知ることができます。また、ウルトラマンガイアといった作品にも、これらの旧支配者たちの影響が垣間見られるかもしれません。

これらの作品における記述を比較検討することで、ボクルグとムノムクアの性質、力、そしてクトゥルフ神話における位置づけをより深く理解することができるでしょう。それぞれの作品が独自の解釈を加えながら、これらの旧支配者たちの存在感を際立たせています。彼らの物語は、現代においても読者に恐怖と畏怖を与え続け、クトゥルフ神話の根幹をなす存在として、その名を語り継がれています。

登場・関連作品一覧

ボクルグ
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト『サルナスの滅亡』（ラヴクラフト全集7）
ブライアン・ラムレイ『大いなる帰還』（真ク3＆新ク5）
ダニエル・ハームズ『エンサイクロペディア・クトゥルフ』
ムノムクア
リン・カーター『第六の物語 ムノムクアー』（学研『魔道書ネクロノミコン外伝』収録）
リン・カーター『深淵への降下』（新紀元社『エイボンの書 クトゥルフ神話カルトブック』収録）
関連作品
ハワード・フィリップス・ラヴクラフト『無名都市』（ラヴクラフト全集3）
ウルトラマンガイア

凡例

全集：創元推理文庫『ラヴクラフト全集』、全7巻+別巻上下
真ク：国書刊行会『真ク・リトル・リトル神話大系』、全10巻
* 新ク：国書刊行会『新編真ク・リトル・リトル神話大系』、全7巻

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