ボリス・チリキン級補給艦

ボリス・チリキン級補給艦

ボリス・チリキン級補給艦は、ソ連海軍のために設計されたもので、現在はロシア海軍においても活躍しています。世界各地での展開を想定しており、特に大型のキエフ級航空母艦の登場を受けて、より高い能力を持つ補給艦の必要性が生じました。その結果、563型補給艦を上回るサイズと機能を有する補給艦が設計されることになりました。

設計と開発

1967年、バルツドプロイェクト社が民間の1559計画をベースにした1559V設計の海上給油船を開発しました。このプロジェクトでは、S.N.シュミロフが主任設計者、U・D・マクシャンチコフ中佐が主任監督者として任命され、実際の設計作業に取り組みました。これにより、ソ連海軍の要件を満たす構造と機能を有する艦船が誕生しました。

電子装備

就役当初のボリス・チリキン級は、商船用の「オケアン」というレーダーを搭載していましたが、1980年代初めには、軍艦用の「ドン」やML-212/201「ヴァイガチU」へと交換され、より高度な探知能力が追加されました。これにより、艦の運用能力が向上し、敵の監視や脅威を効果的に把握することが可能となりました。

積載能力

この級の補給艦は、1万3,000トンの燃料、400トンの弾薬、または8,250トンの重油、2,050トンの軽油、1,000トンのジェット燃料、450トンの水を搭載する能力を持っています。この大規模な積載能力により、他の艦船への補給を行いながら遠征任務に従事することができます。

兵装

ボリス・チリキン級補給艦は、艦首にAK-725 57mm機関砲とAK-630 30mm多連装機関砲を各2基設置できるスペースを持ちます。一時的にこれらの武器が装備された時期もありましたが、短期間で撤去されました。防御能力を強化するための可能性を秘めた設計と言えるでしょう。

運用歴

この艦級は就役以降、ドゥブナ級補給艦やベレジナと共に艦隊の長距離遠征に頻繁に参加してきました。ソ連の崩壊後も、ロシア海軍に留まり、艦齢が40年を超える艦も存在しますが、2020年代に入ってもまだ運用中の艦があります。2020年8月6日、太平洋艦隊所属の「ボリス・ブトマ」は、ウダロイ級駆逐艦2隻と共に対馬海峡を通過し、東シナ海に向かいました。また、2022年11月13日には、スラヴァ級ミサイル巡洋艦「ヴァリャーク」と共同で与那国島沖を北東へ航行しているところを確認されました。この時、海上自衛隊は「ボリス・ブトマ」を含む艦隊の動向を確認し、P-3C哨戒機との接触が行われ、情報収集に協力しました。

同型艦

同型艦に関しては、数隻が現在も稼働しており、各国の海軍の補給活動において貴重な存在となっています。これまでの活躍により、ボリス・チリキン級補給艦はロシア海軍の重要な運用資産の一つとなっています。

もう一度検索