ポルトガルによるアメリカ大陸の植民地化
大航海時代において、
ポルトガル王国は世界探検の先駆者として、
新世界における植民地化を積極的に進めました。
1494年の
トルデシリャス条約によって、
新世界の分割が
スペインとの間で決定され、ポルトガルは
南アメリカの一部(主に現在の
ブラジル)を領有しました。しかし、
北アメリカへの入植は失敗に終わっています。
1500年4月22日、ポルトガルの
探検家ペドロ・アルヴァレス・カブラルが
ブラジルに到達し、現在のポルト・セグロに上陸しました。当初は
染料として用いられるパウ・
ブラジルの採取を目的とした一時的な交易地が設けられましたが、本格的な永住は
1532年にサン・ヴィセンテとピラチニンガが建設されてから始まりました。
マデイラ諸島からもたらされた
サトウキビ産業が発展すると、労働力需要を満たすためにアフリカから多くの
奴隷が輸入されました。
1549年には初代
ブラジル総督トメ・デ・ソウザが派遣され、首都サルヴァドール・ダ・バイーアが建設されました。同年に
イエズス会が初めて
ブラジルを訪れ、布教活動を開始しました。1556年にはフランスの
ユグノーが入植し、グアナバラ湾に南極フランス植民地を建設しますが、
1565年から
1567年にかけて、
ブラジル総督メン・デ・サーによって破壊されました。メン・デ・サーとその甥エスタシオ・デ・サーは
1567年3月に
リオデジャネイロを建設しました。
1580年、ポルトガルは
スペインと同君連合を結成しましたが、
スペイン時代もフランスの侵入は続きました。1612年にはフランスがマラニョンにサン・ルイスを築き赤道フランスを建設しましたが、これも
ブラジル人によって破壊されました。
1621年、
オランダ西インド会社がサルヴァドール・ダ・バイーアを占領し、1638年から
1640年にかけて、
オランダが
ブラジル北東部を支配しました。
1640年にポルトガルが
スペインから独立を回復すると、1646年に
ブラジルを
公国に昇格させ、
オランダへの抵抗を刺激しました。
1649年の第二次グアララペスの戦いでポルトガルは
オランダに決定的な勝利を収め、
1654年までに
オランダは
ブラジルから撤退しました。1661年のハーグ講和条約で
ブラジル全土と
アンゴラがポルトガルに返還されました。
オランダの攻撃中、内陸部にはキロンボと呼ばれる逃亡黒人
奴隷の独立国家が多数形成されました。
ポルトガルの植民活動は当初、北東部の沿岸地域に集中していましたが、17世紀から18世紀にかけて、
バンデイランテスによる探検の進展により、南東部や内陸部が開発され、初歩的な
市場と経済的一体感が形成されました。
バンデイランテスは1696年に
ブラジル最大のキロンボであったキロンボ・ドス・パルマーレスを滅ぼし、アマゾン流域の内陸部を実質的に領有しました。一方、南部では1680年にポルトガル人が
トルデシリャス条約の境界線を越えて、
ラプラタ川東岸にコロニア・ド・サクラメントを建設したことから、
ブエノスアイレスの
スペイン人との間で
バンダ・オリエンタルをめぐる紛争が始まりました。1750年のマドリード条約によって、ポルトガルがアマゾン地域を獲得し、ほぼ現在の
ブラジルの領域が確定しました。
1808年、ポルトガル宮廷が
リオデジャネイロに遷都した後、ジョアン6世はアルゼンチン独立戦争の混乱に乗じて
バンダ・オリエンタルの征服を再開し、1821年にこれを征服しました。
バンダ・オリエンタルはシスプラチナ県として再編されましたが、独立後の1825年に
シスプラティーナ戦争が勃発し、1828年に
ウルグアイ東方共和国として独立しました。
スペインとは異なり、ポルトガルはアメリカの植民地を分割せずに統合しました。このことが現在の
ブラジルに政治的・経済的な一体感をもたらし、
ブラジル帝国が分裂せずに維持された要因の一つとなりました。
ポルトガル領ブラジルの領域の変遷
(領域変遷についての記述は、提供された文章からは詳細を特定できません。地図の変遷図を参照されることをお勧めします)
1501年と
1502年にコルテ・レアル兄弟がニューファンドランド島とラブラドルを探検し、ポルトガル領と宣言しました。
1506年には、ポルトガル王マヌエル1世がニューファンドランドの
タラ漁師に対する税を設けました。しかし、ジョアン・アルヴァレス・ファグンデスの植民地は5年で放棄されました。
参考文献
- - 増田義郎編『新版世界各国史26 ラテンアメリカ史II』山川出版社、2000年7月、ISBN 4-634-41560-7。
- - シッコ・アレンカール、マルクス・ヴェニシオ・リベイロ、ルシア・カルピ/東明彦、鈴木茂、アンジェロ・イシ訳『ブラジルの歴史 ブラジル高校歴史教科書』明石書店、2003年1月、ISBN 978-4750316796。
関連項目