マウレタニア・カエサリエンシス

マウレタニア・カエサリエンシス：ローマ帝国の属州

マウレタニア・カエサリエンシスは、現在のアルジェリアに相当する地域に存在したローマ帝国の属州です。首都はカエサリア（現在のシェルシェル）に置かれ、隣接するマウレタニア・ティンギタナ（首都：タンジェ）と区別するために、首都名で呼ばれることがありました。

歴史

1世紀、ローマ皇帝クラウディウスはアフリカ属州を分割し、マウリ人の土地という意味を持つマウレタニアと改名。マウレタニア・カエサリエンシスとマウレタニア・ティンギタナの2つに分けました。ディオクレティアヌスの四分統治時代には、マウレタニア・カエサリエンシスの東部がさらに分割され、内陸都市シティファを首都とするマウレタニア・シティフェンシスが成立しました。サルデ（現在のベジャイア）が主要な港でした。

マウレタニア・カエサリエンシスには、アウグストゥス帝が建設した8つの植民都市（カルテンナ、グヌグ、イギルギリ、ルスグニエ、ルサズ、サルデ、ズッカバル、トゥブスクトゥ）と、クラウディウス帝が建設した2つの植民都市（カエサリア、オッピドゥム・ノウム）、ネルウァ帝が建設したシティファを含め、計21の著名な植民都市がありました。その他、ムニキピウムや「オッピーダ・ラティーナ」も存在しました。

ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス大帝の時代には、シティフェンシスとカエサリエンシスはイタリア道のアフリカ管区に、ティンギタナはヒスパニア管区の辺境に再編されました。カエサリアは330年までユダヤ教の主要な中心地の一つであり、シティファはミトラ教の中心地の一つでした。キリスト教は4世紀から5世紀にかけて広まりました。

宗教

支配階級の間では、430年にジブラルタル海峡から渡来したヴァンダル族によるゲルマン王国の下で、アリウス派に代わって三位一体派が広まりました。ヴァンダル王国は533年頃にビザンツ軍によって滅ぼされましたが、マウレタニア・カエサリエンシスの大部分はマスティガスのようなムーア人の支配下に残りました。ビザンツ帝国の支配が内陸部にまで確立したのは560年代から570年代にかけてです。ムスリムによるマグリブ征服により、ビザンツ帝国のアフリカ総督府およびこの地域の後期古代ローマ文化は終焉を迎えました。かつてのマウレタニア・カエサリエンシスの大部分は、イスラム王朝の領土の最西部となり、「日の沈む土地」という意味のマグリブと呼ばれるようになりました。

経済

マウレタニア・カエサリエンシスの主要な輸出品は、紫色染料と高級木材でした。また、アマーズィーグ人（マウリ人）は兵士、特に軽騎兵としてローマ人に高く評価されていました。トラヤヌス帝の最高指揮官ルシウス・クィエトゥスや、マクリヌス帝もこの地域の出身です。

関連項目

ノティティア・ディグニタートゥム
Pauly-Wissowa

もう一度検索