ミコナゾール

ミコナゾール（Miconazole）について

ミコナゾールは、1969年にヤンセン・ファーマスーティカによって開発されたアゾール系（イミダゾール系）抗真菌薬です。主に皮膚や粘膜に関連する真菌症の治療に用いられています。一般的な作用機序としては、真菌の細胞膜に存在するエルゴステロールの生合成を阻害し、それによって真菌の成長を抑制します。

用途と適応症

ミコナゾールは、さまざまな製剤形態で使用され、皮膚用クリーム、腟坐剤、経口剤、及び注射剤として提供されています。

皮膚用クリーム

皮膚真菌症に対して、以下の適応症があります：

• - 白癬: 体部白癬、股部白癬、足部白癬など。
• - カンジダ症: 指間びらん症や間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症など。
• - 癜風。

これらの症状に対して、ミコナゾール硝酸塩クリームが効果を示します。また、ミコナゾールを含むシャンプーや液体石鹸も、真菌による頭皮トラブルや湿疹の予防に使用されます。

腟坐剤

特にカンジダ腟炎や外陰腟炎の治療に使用されます。これは、膣内の細菌バランスを整え、感染の治癒を助けます。

経口剤

ミコナゾールの経口剤は口腔カンジダ症や食道カンジダ症に使用されます。これにより、口腔内や食道の真菌感染を効果的に治療することができます。

注射剤

注射剤はクリプトコックス、カンジダ、アスペルギルス、コクシジオイデスによって引き起こされる真菌血症や肺真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、及び真菌髄膜炎に対して使用されます。

禁忌と注意点

経口および注射剤を使用する際には、いくつかの注意が必要です。具体的には、ワルファリン、ピモジド、キニジンなど、一部の薬剤と相互作用を引き起こすため、これらの薬を服用している患者には使用が禁じられています。特に薬物相互作用に注意することが重要です。

副作用

注射剤の使用時には、以下の深刻な副作用が現れることがあります：

• - ショック及びアナフィラキシー様症状（頻度不明）
• - 肝機能障害、黄疸（これも頻度不明）
• - 急性腎不全（頻度不明）
• - QT延長、心室性不整脈（頻度不明）
• - 汎血球減少、白血球減少、血小板減少（頻度不明）

投与経路に応じた副作用の発現率も示されています。クリームが0.80%、腟坐剤が0.19%、経口ゲルが2.7%、注射剤が12.9%と、注射剤での副作用が最も高いことが分かります。

その他の情報

この薬剤は、世界保健機関（WHO）の必須医薬品モデルリストにも登録されており、その重要性が評価されています。さらには、医薬用途以外にも一部のカラーフィルム製品の現像用定着液としても利用されることがあります。

ミコナゾールは、真菌治療に広く使用される薬剤であり、その効果と多様な適応症により、多くの患者に貢献しています。

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