ミリー・ヒューズ＝フルフォード

ミリー・ヒューズ＝フルフォード：宇宙と医学の架け橋

ミリー・ヒューズ＝フルフォード（Millie Hughes-Fulford、1945年12月21日 - 2021年2月2日）は、アメリカ合衆国の医学研究者、分子生物学者であり、NASAのペイロードスペシャリストとして知られています。1991年6月には、スペースシャトル・コロンビアに搭乗し、宇宙での医学研究に貢献しました。

生い立ちと教育

1945年、テキサス州ミネラルウェルズで生まれたミリーは、幼い頃から科学への関心を示しました。1962年に地元の高校を卒業後、ターレトン州立大学に進学し、1968年に化学と生物学の学士号を取得。その後、テキサス女子大学でプラズマ化学の研究に取り組み、1972年にPh.D.を取得しました。彼女の研究は、アメリカ国立科学財団やアメリカ大学婦人協会、マッカーサー基金からのフェローシップによって支えられました。

研究者としてのキャリア

博士号取得後、ミリーは約100もの研究職に応募し、最終的にテキサス大学サウスウェスタン・メディカル・センターでコレステロール代謝調節の研究に携わりました。その後、サンフランシスコの研究室に移り、研究活動を続けました。

1978年、彼女はNASAの女性宇宙飛行士募集広告を目にし、応募を決意。8000人の中から20人に選ばれましたが、宇宙飛行士には選ばれませんでした。しかし、彼女は宇宙への夢を諦めず、キャリアを追求し続けました。また、陸軍予備役医療コマンドのメンバーとしても活動し、少佐の階級に昇進しました。

NASAでの活動

1983年1月、ミリーはNASAのペイロードスペシャリストに選ばれました。1991年6月には、スペースシャトルSTS-40に搭乗し、宇宙へ。このミッションは、スペースラブでの生物医学研究を目的とした最初のミッションであり、乗組員の3人が女性であるという点でも画期的でした。彼女は、NASA初の女性ペイロードスペシャリスト、そして退役軍人省代表として宇宙を訪れた初の人物となりました。ミッションでは、地球を146周し、320万マイルを移動。9日間で18の実験を完了し、当時のNASAミッションで最も多くの医学データを持ち帰るという成果を上げました。

その後の研究活動

宇宙飛行後、ミリーはカリフォルニア大学サンフランシスコ校メディカルセンターの教授となり、2021年に亡くなるまで研究を続けました。サンフランシスコ退役軍人メディカルセンターには彼女の名を冠したヒューズ＝フルフォード研究室が設立され、免疫学、宇宙生物学、腫瘍学の研究が行われました。

彼女は、宇宙飛行が骨芽細胞の成長に与える影響を調べる一連のスペースハブ/バイオラック実験の研究主催者を務めました。これらの実験は、STS-76、STS-81、STS-84のミッションで行われ、宇宙飛行士の骨粗鬆症の原因解明に貢献しました。また、国際宇宙ステーションでの実験にも参加し、宇宙飛行におけるT細胞遺伝子の誘導を調査しました。これらの研究を通じて、彼女は宇宙飛行中の免疫系の変化に関する重要な発見をしました。

ミリー・ヒューズ＝フルフォードは、120篇以上の論文やアブストラクトを発表しており、その研究成果は、骨や癌の成長制御、細胞分子レベルでの免疫系への影響など、多岐にわたります。彼女は、アメリカ科学振興協会、アメリカ骨代謝学会、アメリカ細胞生物学会などの会員でもありました。

私生活

ミリーは二度の結婚を経験しており、最初の夫との間に二人の娘をもうけました。二度目の結婚は、ユナイテッド航空のパイロットであるジョージ・フルフォードでした。2021年2月2日、彼女は悪性リンパ腫のため、カリフォルニア州ミルバレーで亡くなりました。

受賞歴

NASA Space Flight Medal (1991年)
Presidential Award for Federal Employee for Western Region (1984年)

ミリー・ヒューズ＝フルフォードは、科学者、宇宙飛行士として、宇宙医学の発展に大きく貢献しました。彼女の功績は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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