メバル属

メバル属（Sebastes）

メバル属（Sebastes）は、メバル科に属する多様な魚のグループで、大西洋と太平洋に広く分布しています。特に比較的冷たい海域を好み、底魚として生息しています。

分類

メバル属は、1829年にフランスの動物学者ジョルジュ・キュヴィエによって提唱されました。タイプ種はノルウェーの動物学者ピーター・アスカニウスが1772年に記載した Perca norvegica です。かつてはフサカサゴ科のメバル亜科に分類されていましたが、21世紀に入ってからの研究により、メバル科（Sebastidae）という新しい分類群に属することになりました。さらに、カサゴ目からスズキ目のカサゴ亜目に分類されることが明らかになっています。

属名の Sebastes は、ギリシア語の「Sebastos」に由来し、これはローマ皇帝アウグストゥスへの敬称であり、「尊敬すべき」という意味合いがあります。イビサ島ではモトアカウオの古い呼称として使われていました。

化石記録としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州で発見された中新世のものが最古ですが、ベルギーで発見された化石がメバル属のものである場合、漸新世まで遡る可能性があります。

下位分類

メバル属には、非常に多くの種が含まれています。以下はその一部です。

アラスカメヌケ (Sebastes alutus)
バラメヌケ (Sebastes baramenuke)
ヒレグロメヌケ (Sebastes borealis)
シロメバル (Sebastes cheni)
クロブチメヌケ (Sebastes crameri)
ハナサケメヌケ (Sebastes diploproa)
ゴケメヌケ (Sebastes entomelas)
サンコウメヌケ (Sebastes flammeus)
キオビレメヌケ (Sebastes flavidus)
クロメヌケ (Sebastes glaucus)
カリフォルニアメバル (Sebastes goodei)
トゲメヌケ (Sebastes helvomaculatus)
ヨロイメバル (Sebastes hubbsi)
コウライキツネメバル (Sebastes ijimae)
アカメバル (Sebastes inermis)
トゴットメバル (Sebastes joyneri)
カタボシアカメバル (Sebastes kiyomatsui)
コウライヨロイメバル (Sebastes longispinis)
キマダラメヌケ (Sebastes maliger)
アコウダイ (Sebastes matsubarai)
アラスカクロメヌケ (Sebastes melanops)
アラメヌケ (Sebastes melanostictus)
チヒロアカウオ (Sebastes mentella)
アオメヌケ (Sebastes mystinus)
ゴマソイ (Sebastes nivosus)
モトアカウオ (Sebastes norvegicus)
オウゴンムラソイ (Sebastes nudus)
タケノコメバル (Sebastes oblongus)
ハツメ (Sebastes owstoni)
ムラソイ (Sebastes pachycephalus)
キタノメヌケ (Sebastes polyspinis)
アラスカアカゾイ (Sebastes ruberrimus)
シマメヌケ (Sebastes rubrivinctus)
クロソイ (Sebastes schlegelii)
ヤナギノマイ (Sebastes steindachneri)
エゾメバル (Sebastes taczanowskii)
ウスメバル (Sebastes thompsoni)
シマゾイ (Sebastes trivittatus)
ナガメヌケ (Sebastes variabilis)
クロメバル (Sebastes ventricosus)
ニシアカウオ (Sebastes viviparus)
キツネメバル (Sebastes vulpes)
タヌキメバル (Sebastes zonatus)

形態

メバル属の魚は、体形が細長いものから太いものまで様々で、体は中程度から強く側扁しています。頭部は比較的大きく、目の大きさも種によって異なります。頭部には棘がある場合とない場合があり、その数も種によって異なりますが、最大で8本です。顎には小さな円錐形の歯が多数あり、口蓋にも歯があります。

背鰭は1基で、棘部分の後部は深く切れ込んでおり、12〜15本の頑丈な棘と9〜16本の軟条から構成されています。臀鰭は2〜4棘と6〜11軟条から、腹鰭は1棘と5軟条から成り、胸鰭の下に位置します。胸鰭は大きく、丸みを帯びているか尖っており、14〜22本の軟条から成り、中央部が最も長いです。尾鰭は截形またはわずかに凹んでいます。

体長は種によって大きく異なり、最小の S. koreanus は13.7cm、最大のヒレグロメヌケは108cmに達します。

分布と生態

メバル属は、北太平洋、南太平洋、大西洋の温帯海域に分布しています。特に北太平洋に多くの種が生息していますが、南太平洋と南大西洋には1種、北大西洋には4種が分布しています。多様性が最も高い地域は、カリフォルニア湾南部で、56種が確認されています。

潮間帯から水深3,000mの大陸斜面まで生息し、通常は底魚として岩の周りで生活しています。魚類の中でも長命であり、100歳を超える種も存在し、S. aleutianus* は205歳の個体が報告されています。

人との関わり

メバル属の魚は、スポーツフィッシングや商業漁業において重要な資源です。しかし、多くの種が乱獲されており、その結果、多くの地域で漁期が厳しく管理されています。また、より高価なフエダイ科の魚と不正に交換されることもあります。

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