ユリウス通日

ユリウス通日：天文学における日付体系

ユリウス通[日]とは、世界時'>[紀元前]]4713年1月1[[日]]正午]を起点とした、それから今[[日までの経過日数を表す体系です。天文学や年代学において、日付の計算や比較に広く用いられています。JDは小数を含み、時間まで表現可能です。例えば、2024年12月2日0時36分(UTC)のJDはおよそ2460646.53となります。

正午を起点とする理由

JDが正午を起点とするのは、天体観測の慣習に由来します。夜間に行われる観測において、深夜0時に日付が変わるよりも、正午に日付が変わる方が、観測データの整理や計算に都合が良かったです。この慣習は古代ギリシャの天文学者プトレマイオスの時代から続くものです。また、正確な時計がなかった時代には、太陽の南中時刻(正午)を観測することで、容易にその地点の地方時を把握することができたため、正午を起点とする方が便利でした。

ただし、天文時の日の起点を正午とする時刻系は、一般の時刻系と紛らわしいという理由から、1925年以降は天文学でも正子(真夜中)を日界とする常用時に統一されました。しかし、JDだけは正午を起点としたまま現在まで使われています。

ユリウス通日の変種

JD以外にも、いくつかの変種が存在します。

Julian Day Number (JDN): JDの小数部分を切り捨てた整数値です。時刻の情報は含まれません。例えば、2024年12月2日のJDNは2460647です。
修正ユリウス日 (Modified Julian Date, MJD): JDから2,400,000.5を引いた値です。1858年11月17[[日]]正子(UT)を起点としており、桁数が少なく、コンピュータでの処理に適しています。2024年12月2日0時36分のMJDはおよそ60646.03です。MJDは、1957年にスミソニアン天体物理観測所の宇宙科学者によって、当時限られた記憶容量のコンピュータでスプートニクの軌道を追跡するために考案されました。
リリウス日 (Lilian Day number, LD): グレゴリオ暦の1582年10月15[[日]]を第1日とした通算日数で、整数値のみを取ります。復活祭の日付計算に使われます。
Chronological Julian Day (CJD): JDに0.5を加え、タイムゾーンを考慮したものです。標準時の正子に日数が増加します。日本ではほとんど使用されません。

ユリウス通日の歴史

JDは1583年にジョゼフ・ジュスト・スカリジェによって考案されました。グレゴリオ暦の改暦による年代計算の混乱を避ける目的で考案され、ユリウス暦とグレゴリオ暦の両方の日付換算を容易にしました。スカリジェが基準とした紀元前4713年は、太陽章(28年)、太陰章(メトン[[周期]]、19年)、インディクティオ(15年)の3つの周期が重なる年であり、これらの周期の最小公倍数である7980年をユリウス周期といいます。ただし、JD自体は周期性を持たない無限に続く値です。その後、ジョン・ハーシェルが1849年の著書でJDの計算方法を提案し、広く普及しました。

JDの名称は、ジュリアス・シーザーに由来する、という説が有力です。

ユリウス通日の換算

グレゴリオ暦やユリウス暦からJD、MJDへの換算、およびその逆変換は、複雑な計算式を用いて行われます。国立天文台やアメリカ海軍天文台などのウェブサイトで、これらの換算を行うサービスが提供されています。これらのサービスでは、秒単位、場合によっては0.1秒単位での精度の高い換算が可能です。換算式は、Fliegel and Van Flandern、Hatcher、Meeus らによって考案されたものや、それらを整理したものが用いられます。計算には、月の値として1月、2月ではなく、前年の13月、14月を用いることが一般的です。

ユリウス通日の利用例

JDやMJDを用いることで、曜日、十二支、十干、干支紀日などを求めることができます。修正ユリウス日を用いる方が、間違いが少ないでしょう。これらの計算は、ツェラーの公式と本質的に同じです。

また、Google検索のdaterangeオプションでは、日付指定にJDが用いられています。一方、16ビットで表せるMJDを使用するシステムでは、2038年4月22[[日]]以降は桁あふれが起こる問題があります(2038年問題とは別)。

まとめ

ユリウス通日は、天文学や年代学において重要な役割を果たす日付体系です。その歴史、様々な変種、換算方法、そして現代における活用例を知ることで、日付の扱いに関する理解を深めることができます。

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