ユンカース ユモ 222

ユンカース ユモ 222の概要

ユンカース ユモ 222（Junkers Jumo 222）は、ユンカース社によって開発された航空機用レシプロエンジンです。このエンジンは当初、高出力を誇ることを目的として設計され、1937年から数年間にわたり精力的な開発が行われました。残念ながら、ユモ 222は実用化には至らず、製造されたのはごく少数にとどまりました。実際には試作段階を脱することはなく、ドイツ空軍の計画においても大きな障害となりました。

設計と開発の詳細

ユモ 222の設計作業は1937年に始まります。このエンジンは、一本のクランクシャフトを中心に直列4気筒相当のバンクを放射状に6列配置する独特の構造を持っていました。見た目は星型エンジンに似ていますが、クランクシャフトとコネクティングロッドの関係はV型やW型エンジンに近く、他の直列型エンジンと同様に液冷式が採用されていました。シリンダーは互いに吸気管と排気管が向かい合う形で配置されており、そのためエンジン後部に設置されたスーパーチャージャーへの配管がシンプルでした。

各シリンダーは2つの吸気バルブと1つの排気バルブを備え、排気バルブはソジウム冷却方式が採用されていました。また、高圧燃料噴射装置がスパークプラグと吸気管の間に位置しています。エンジンのボアとストロークは135 mmで、総排気量は46.5リットル、圧縮比は低オクタン価燃料に対応するために6.5に設定されていました。ユモ 222は、3,200 rpmで離昇出力を2,500 hp（1,850 kW）発揮しました。

ユモ 222は、同時期のBMW 801やダイムラー・ベンツ DB 605と比較しても、その出力性能は飛躍的なものでした。BMW 801の排気量は41.5 L、DB 605は35.7 Lでしたが、ユモ 222はそれらを超える排気量でありながら、さらに優れた出力を誇っていました。出力の単位あたりの値では、ユモ 222は40 kW/Lを記録し、BMW 801やDB 605を大きく上回っています。

試作とその後の経緯

初の試作エンジンは1939年4月29日に稼動し、その後ユンカース Ju52の機首に装備されて飛行テストが行われました。ユモ 222のモデルには222Aと222Bがあり、主に回転方向の違いがありましたが、いずれもテスト結果は芳しくありませんでした。そのため、ユンカース社はこれらのシリーズ I エンジンの開発を中止し、改良型のシリーズ II に移行します。新しい222A-2およびB-2は、出力が同等であるためにシリンダーのボアが少し大きいものを使用しており、さらには高高度性能を向上させるために異なるスーパーチャージャーも導入されました。しかしながら、これらも実験的な使用にとどまりました。

1941年の末には、ユンカース社は設計に根本的な変更を加える決断を下し、222Cと222Dが導入されました。これにより、新しいボアとストロークを採用し、排気量は49.9 Lに増加しましたが、大規模な製造には至りませんでした。ついにはドイツ航空省（RLM）が他の代替エンジンを模索する事態に至り、ユモ 222は運用を見直されました。

ユンカース社はその後も改良を通じて、後に222Eと222Fを開発しましたが、これにも限界がありました。高高度性能を狙った222Gと222Hも試作として数基が製造されたのみで、ほとんどのエンジンは実戦に投入されることはありませんでした。最終的にユモ 222は、289基が声高に製造されるも、作戦活動には1基も使用されないという結果に終わりました。

結論

ユンカース ユモ 222は、設計者や技術者の膨大な努力とリソースを費やされたにもかかわらず、実用化されることなく終わった失敗作でした。その開発はドイツの軍用機開発において重要な妨げとなり、結果として戦争後期には戦前に設計された機体の僅かなアップデート使用が続くこととなります。

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