ヨークタウンの包囲戦 (南北戦争)

ヨークタウン包囲戦：南北戦争における膠着と撤退

ヨークタウン包囲戦は、南北戦争中の1862年4月5日から5月4日にかけて、バージニア州ヨークタウン周辺で繰り広げられた戦闘です。この戦いは、半島方面作戦の一環として位置づけられ、北軍のジョージ・マクレラン少将率いるポトマック軍と、南軍のジョン・マグルーダー少将が指揮する小規模な部隊が対峙しました。マクレランは、当初、バージニア半島をリッチモンドまで進軍する計画でしたが、ヨークタウンで南軍の抵抗に遭い、包囲戦へと戦略を転換しました。

戦闘の経緯

4月5日、北軍のエラスムス・D・キーズ准将の第4軍団が、リーズミルにおいて南軍の防御陣地と最初の接触をしました。マクレランは当初、この地域を容易に通過できると考えていましたが、マグルーダーが部隊を巧みに動かすことで、北軍は南軍の防衛が強固であると錯覚しました。砲撃戦が展開される中、キーズは南軍の防御の強度と範囲を偵察し、マクレランに対し、南軍の陣地への直接攻撃には反対するよう進言しました。これを受けてマクレランは、包囲戦の準備として防御陣地を構築し、攻城用の重砲を前線に運び込むよう命じました。一方、南軍はジョセフ・ジョンストン将軍の指揮下で、マグルーダーへの援軍を送りました。

4月16日、北軍はダム1号の地点で南軍の防御線を試す小規模な攻撃を行いましたが、初期の成功を活かすことができませんでした。この機会を逃したマクレランは、さらに2週間を費やして海軍を説得し、ヨークタウンとグロスター・ポイントにある南軍の重砲を迂回し、ヨーク川をウェストポイントまで遡上して、ウォーウィック防御線の側面を突こうとしました。しかし、マクレランが5月5日の夜明けに大規模な砲撃を計画していたにもかかわらず、南軍は5月3日の夜中にウィリアムズバーグ方面へと撤退を開始しました。

この戦闘は、アメリカ独立戦争の最終決戦となった1781年のヨークタウンの戦いの戦場跡に近い場所で発生しました。

戦闘の背景

マクレランは、アメリカ連合国の首都リッチモンドに接近するため、バージニア半島の先端にあるモンロー砦に陸軍と海軍の共同作戦で上陸しました。彼の率いるポトマック軍は121,500名に達し、3月17日から389隻の艦船で輸送されました。マクレランは当初、海軍の艦船でヨークタウンを包囲することを考えていましたが、南軍の装甲艦CSSバージニアの出現と、ハンプトン・ローズ海戦（1862年3月8日-9日）によって、この作戦は妨害されました。ジェームズ川におけるバージニアの脅威と、ヨーク川河口の南軍砲台の存在は、北軍海軍が両河川を支配できないことをマクレランに悟らせました。その結果、マクレランはヨークタウンへの陸上進軍を選択しました。

ヨークタウンの南軍守備隊は、ジョン・マグルーダー少将の指揮下にあり、当初は11,000から13,000名に過ぎませんでした。南軍の残りの部隊は、ジョセフ・ジョンストン将軍の全体指揮下にあり、カルペパー、フレデリックスバーグ、ノーフォークなどのバージニア州東部に分散していました。マグルーダーは、ウォーウィック川の背後に、ヨーク川のヨークタウンからジェームズ川のマルベリーポイントまで防御線を構築しました。この防御線は、1781年にイギリス軍のチャールズ・コーンウォリス将軍が掘らせた塹壕の一部も利用しており、半島の全幅を効果的に塞ぐものでした。ただし、この時点では防御工作物のどこにも十分な兵力を配置できていませんでした。この防御線はウォーウィック防御線として知られるようになりました。

マクレランの作戦計画では、サミュエル・P・ハインツェルマン少将の第3軍団が、ヨーク川近くで南軍を塹壕に釘付けにし、エラスムス・D・キーズ准将の第4軍団が、南軍の右翼を包囲してその連絡線を遮断することでした。マクレランとその参謀は、マグルーダーの防御線を過小評価し、南軍はヨークタウン周辺の地域のみに集中していると考えていました。

戦闘の展開

北軍は1862年4月4日にマグルーダーの最初の防御線を通過しましたが、翌日には効果的なウォーウィック防御線に遭遇しました。地形の性質から、南軍の正確な配置を把握するのは困難でした。誤った情報により、マクレランは南軍の兵力を40,000名と見積もり、ジョンストンが60,000名の援軍を率いてすぐに到着すると想像しました。マグルーダーは戦前、アマチュア俳優であったため、歩兵隊と砲兵隊を騒がしく動かすことで、実際よりも多くの兵力を持っているように見せかけることで、マクレランの混乱を助長しました。

北軍の第4軍団は、4月5日にリーズミルでマグルーダーの前線の右側面と遭遇しました。その土塁にはラファイエット・マクローズ少将の師団が配置されていました。第7メイン歩兵連隊が散兵として配置され、土塁から約1,000ヤード（900メートル）手前で停止し、そこにジョン・ダビッドソン准将の旅団と砲兵隊が加わりました。数時間砲撃戦が続き、キーズは偵察を命じ、援軍も到着しましたが、歩兵同士の戦闘はありませんでした。4月6日、第6メイン連隊と第5ウィスコンシン連隊の兵士が、ウィンフィールド・スコット・ハンコック准将の指揮下でダム1号周辺を偵察しました。そこはマグルーダーがウォーウィック川を広げて水の障害を作り出していた場所でした。北軍は南軍の歩哨を駆逐し、何人かを捕虜にしました。ハンコックはこの地域が南軍の前線の弱点であると考えましたが、マクレランからの命令で、それ以上の攻撃は行いませんでした。キーズは、マグルーダーの演出された部隊の動きに惑わされ、ウォーウィック防御線は攻撃では突破できないと信じ込み、マクレランにもそのように報告しました。

驚くべきことに、マクレランはそれ以上の偵察をせずに攻撃を中止し、マグルーダーの防衛線に平行して塹壕を掘り、ヨークタウンを包囲するように命令しました。マクレランはキーズの報告と、ヨークタウンの町近くの敵の勢力に関する報告に対応しましたが、アービン・マクドウェル少将の第1軍団が、マクレランの計画どおりに半島で合流するのではなく、ワシントンD.C.の防衛のために留まるという知らせも受け取りました。その後10日間、マクレランの部隊は塹壕を掘り続け、マグルーダーは着実に援軍を受け入れていました。4月中旬までに、マグルーダー軍は35,000名になり、防御線を維持できるまでに回復しました。

マクレランは、自軍の兵力が敵を上回っていると確信していましたが、大砲の優位性については疑いませんでした。ヨークタウンの包囲戦に向けて、70門以上の重砲を備えた15の砲台を準備しました。これには、200ポンドパロット砲2門、100ポンドパロット砲12門、20ポンドから30ポンドのパロット砲、4.5インチのロッドマン攻城砲が含まれていました。さらに、8インチから13インチの沿岸迫撃砲41門が加わり、その重さは10トン以上、砲弾の重さは220ポンド（100 kg）にもなりました。これらが同時に発射された場合、一度に7,000ポンド（3,200 kg）以上の砲弾を敵の陣地に叩き込むことができました。

陸軍が塹壕に篭っている間、北軍の気球部隊の飛行士タデウス・ロー教授は、コンスティチューション号とインタピッド号の2つの気球を使って空からの偵察を行いました。4月11日、インタピッド号は第3軍団の師団長フィッツ・ジョン・ポーター准将を乗せて浮上しましたが、予想外の風で敵の前線上空まで運ばれてしまい、逆風で無事帰還できるまで北軍指導部を大いに慌てさせました。南軍のジョン・ブライアン大尉も、ヨークタウンの前線上空に熱気球を飛ばし、同様の風のいたずらを経験しました。

ダム1号の攻撃

4月16日、北軍はハンコックが4月6日に弱点の可能性があると報告した、ウォーウィック川のリーズミルに近いダム1号の地点で防御線を試す攻撃を行いました。マグルーダーはハンコックの部隊との小競り合いの後、その配置の弱点を認識して強化を命じました。ハウエル・コブ准将の3個連隊と近くにいた他の6個連隊で、ダムを見下ろす川の西岸にある陣地を固めました。マクレランは、この敵陣の強化が攻城砲台の設置を妨げることを恐れるようになりました。マクレランから第4軍団の師団長であるウィリアム・F・“ボールディ”・スミス准将に出された命令は、会戦を避けることでありながらも、防御工作物を構築する際に「敵の邪魔をする」ことでした。

午前8時の砲撃に続いて、ウィリアム・T・H・ブルックス准将とそのバーモント旅団が、散兵を前進させて南軍に発砲しました。マクレランは前線を訪れて、スミスに、もし南軍が撤退しているようであれば川を渡るように伝えました。しかし、それはその日の午後早くに始まりました。午後3時、第3バーモント歩兵連隊の4個中隊がダムを渡り、残っていた防衛軍を敗走させました。前線の背後では、コブが弟のトマス・コブ大佐のジョージア・リージョンと共に防御軍を編成し、南軍の射撃壕を占領していたバーモント兵を攻撃しました。戦闘中に鼓手のジュリアン・スコットは、負傷兵を救出するのを助けるために、銃火に曝されたクリークを数度往復しました。後にスコットはエドワード・ホルトン曹長やサミュエル・E・ピングリー大尉とともに名誉勲章を受章しました。

援軍を得られなかったバーモントの部隊は、ダムを渡って撤退し、後退時に損失を出しました。午後5時頃、ボールディ・スミスは第6バーモント連隊にダムから下流の南軍陣地への攻撃を命じ、一方、第4バーモント連隊にはダムの上で陽動行動をとらせました。しかし、この作戦は第6バーモント連隊が南軍からの激しい銃火を受けて撤退を強いられた際に失敗しました。負傷兵の中には、撤退時にダムの背後にある浅い池に落ちて溺死した者もいました。

戦闘の結果とその後

北軍から見ると、ダム1号での交戦は意味のないものでしたが、戦死35名、負傷121名を出す結果となりました。南軍の損害は60名から75名でした。ボールディ・スミスは、この戦闘中に乗っていた荒馬から2度振り落とされ、任務中の飲酒で告発されましたが、アメリカ合衆国議会による調査で根拠のない主張であることが判明しました。

4月中の残り期間、57,000名となりジョンストンの直接指揮下に入った南軍は、防御を強化しました。一方、マクレランは5月5日に予定していた大規模な攻城砲撃に使用する砲台の準備を進めていました。ジョンストンは、差し迫った砲撃が耐え難いものになることを理解し、5月3日にリッチモンドに向けて輜重車を送り始めました。逃亡した奴隷がこの事実をマクレランに伝えましたが、マクレランは信じませんでした。マクレランは、自分の部隊の12万名に対し、敵も留まって戦うと確信していました。5月3日の夜、南軍は短時間の砲撃を行った後、静まり返りました。翌朝早く、ハインツェルマンが観測気球に乗って、南軍の防御工作物が空になっていることを発見しました。

マクレランは、この知らせに驚愕しました。ジョージ・ストーンマン准将の指揮する騎兵隊に追撃を命じ、ウィリアム・B・フランクリン准将の師団には、海軍の輸送船に再度乗ってヨーク川を遡り、ジョンストン軍の退路を遮断するよう命じました。戦局は、その後のウィリアムズバーグの戦いへと移行しました。

この包囲戦は、膠着状態の中で南軍が巧みな撤退戦術を実施し、北軍がその戦略的な優位性を最大限に活かすことができなかったという事例として記憶されています。

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