ラッセン火山国立公園

ラッセン火山国立公園

ラッセン火山国立公園は、アメリカ合衆国カリフォルニア州北部に位置する、火山活動が活発な地域を中心とした国立公園です。この公園の象徴であるラッセン山は、世界最大級の溶岩ドームであり、カスケード山脈の南端に位置する活火山です。公園内には、溶岩ドーム、楯状火山、噴石丘、成層火山という4種類の火山地形が全て見られる、世界でも珍しい場所です。沸騰する泥水泉や噴気孔、温泉など、活発な地熱活動の証も随所に見られます。

歴史

この地域には、ヨーロッパからの入植者が来る以前から、ネイティブアメリカンが暮らしていました。彼らはラッセン山を火と水に満ちた山として畏怖し、いつか爆発すると考えていました。19世紀になると、入植者がサクラメント渓谷への道標としてラッセン山を利用し始めました。公園の名前は、この地域に入植した鍛冶屋ピーター・ラッセンに由来します。

1907年、セオドア・ルーズベルト大統領は、この地域をシンダーコーン国定公園とラッセン山国定公園という二つの保護区に指定しました。その後、1914年から1921年にかけて、ラッセン山で一連の火山噴火が発生。この噴火活動と、火山特有の景観が評価され、1916年に国立公園に昇格しました。

1925年から1931年にかけて公園内の主要道路が建設され、ラッセン山の麓を通るこの道路は、カスケード山脈で最も標高の高い道路となりました。

地理と気候

公園はサクラメント渓谷の北端に位置し、西部は溶岩ドームや噴気孔が見られる活発な火山地帯、東部は溶岩台地が広がるエリアです。公園内には、氷河によって形成された峡谷や湖、川、温泉など、多様な景観が存在します。

ラッセン山はデイサイトで構成された溶岩ドームで、カスケード山脈最南端の活火山です。かつてこの場所には、ラッセン山よりも巨大な成層火山テハマ山が存在していましたが、噴火によって崩壊し、現在の地形が形成されました。

公園内の降水量は非常に多く、特にヘレン湖周辺はカリフォルニア州で最も雪深い場所の一つです。

地質

ラッセン火山国立公園の地質は、火山活動の歴史を物語っています。新生代には、シエラネバダ山脈の隆起に伴い、火山泥流が堆積してトスカナ層が形成されました。その後、玄武岩質の溶岩が噴出し溶岩台地を形成。さらに、安山岩質の溶岩がその上を覆いました。

テハマ山は、更新世に成層火山として形成され、その火山活動によってカルデラが形成されました。その後、ラッセン山が溶岩ドームとして隆起し、現在の姿になりました。

噴石丘と大溶岩原は、ラッセン山の北東に位置し、1650年頃に噴火した噴石丘とその溶岩流で形成されています。

アクセス

公園へは、カリフォルニア州道89号線と44号線を利用します。89号線は公園内を南北に貫き、公園の主要な観光ルートとなっています。自動車での入り口は南北の89号線、南の未舗装道路、北東のビュート湖への入り口など、計5ヶ所あります。公園には、パシフィック・クレスト自然歩道も通っており、ハイキングでもアクセスできます。

その他

かつて公園内には山荘がありましたが、現在は取り壊され、新たなビジターセンターが建設されています。また、かつてあったスキー場も閉鎖されています。

公園の面積は約429平方キロメートルで、2006年には38万8千人以上の観光客が訪れました。活発な火山活動が見られるこの場所は、地球のダイナミズムを感じられる貴重な場所です。

参考資料

Geology of National Parks: Fifth Edition, Ann G. Harris, Esther Tuttle, Sherwood D., Tuttle (Iowa, Kendall/Hunt Publishing; 1997) ISBN 0-7872-5353-7
Volcano Hazards of the Lassen Volcanic National Park Area, California, U.S. Geological Survey Fact Sheet 022-00, Online version 1.0

関連項目

ラッセン山
ケイオス岩山
噴石丘と大溶岩層
ラッセン火山国立公園の地熱地帯

外部リンク

公式サイト：ラッセン火山国立公園（英語）
米国地質調査所：ラッセン火山国立公園地域の火山の危険（英語）
米国地質調査所：ラッセン火山国立公園の地質（英語）
ラッセン火山国立公園の写真（英語） - Terra Galleria

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