リジェ・JS P217

リジェ・JS P217の概要

リジェ・JS P217は、リジェ・オートモーティブによって製造され、元レーシングドライバーのギ・リジェとの提携を受けて名付けられたル・マン・プロトタイプ（LMP）2マシンです。このマシンは、FIA 世界耐久選手権（WEC）のLMP2クラスにおいて、2017年に施行された国際自動車連盟（FIA）およびフランス西部自動車クラブ（ACO）の新規定に基づいて設計されました。また、国際モータースポーツ協会（IMSA）のウェザーテック・スポーツカー選手権のプロトタイプクラスの規制にも適合し、2017年にはヨーロピアン・ル・マン・シリーズやアジアン・ル・マン・シリーズでも活躍しました。

開発の背景

リジェ・JS P217の開発は、2016年に始まりました。その主な目的は、FIAおよびACOの新しい規則に合わせた全く新しいシャーシを構築することです。リジェ・オートモーティブは、リジェ・JS P2からのメカニズムの改善に着目し、シャーシの設計を一から行いました。

特に重点が置かれたのは、エンジンのラジエーターとブレーキ冷却、及びコックピットの快適性です。メカニカルな面では、タイヤ交換の迅速化を図るための新たな車軸システムやナット、リムの設計がなされました。これにより、効率性や重量配分の最適化が実現されました。また、コックピットの設計は、メカニックが作業しやすいようアクセスの良さが考慮され、空力性能やLMP1スタイルのパワーステアリングも取り入れられました。

レースデビューとシリーズ参加

リジェ・JS P217は、2017年にデイトナ24時間レースで公式デビューを果たし、その後WECではスパ・フランコルシャン6時間レースに初参戦しました。デザインとメカニズムの改良が効果を発揮し、耐久レースにおける競技性能が大幅に向上しました。

リジェ・日産 DPiモデル

リジェ・JS P217のバリエーションモデルとして、リジェ・日産 DPiというマシンもあります。このモデルは、デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル（DPi）の規定に基づき、ウェザーテック・スポーツカー選手権用に設計されました。日産とNISMOとの共同開発により、エンジンには日産 GT-R GT3の3.8L V6ツインターボエンジンが採用されており、リジェ・JS P217からの外観面では大きなフロントパネルと改善されたサイドパネルが特徴です。

2017年、オンローク・オートモーティブはエクストリーム・スピード・モータースポーツ（ESM）に2台のDPiマシンを供給しましたが、ESMは2018年半ばにスポンサー不足により撤退しました。その後、2019年にコア・オートスポーツがESMから日産・DPiを購入し、新たにDPiクラスに参戦しましたが、同年内にチームオーナーの引退に伴い日産・DPiプログラムも終了しました。

結論

リジェ・JS P217は、耐久レースにおける競技能力の高いマシンとして、多くのシリーズで成功を収めました。その技術的な進化とデザインの革新性は、現代のレースカーの標準を一新するものとなりました。リジェ・日産 DPiにおいても、新たな挑戦を続けており、モータースポーツ界における影響力を大いに発揮しています。

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