リンゴ園の少女

ラジオドラマ『リンゴ園の少女』

1952年4月3日、ラジオ東京（現TBSラジオ）で放送が開始されたラジオドラマ『リンゴ園の少女』は、美空ひばりが初主演を務めた作品です。当初は全19話の予定でしたが、その人気を受けて延長され、同年12月25日に全39話で完結しました。

このドラマは、美空ひばりのために企画されたもので、ラジオ東京から電通を通して新芸術プロダクションに持ち込まれました。新芸術プロダクションでは、旗一平がストーリーを担当し、美空ひばりを青森のリンゴ園に配置するというアイデアが生まれました。物語は、両親を亡くした歌好きな少女が、祖父と共にリンゴ園で働きながら、亡き母を偲んで墓前で歌う姿を描いています。その歌声を聞いた東京の作曲家が訪れることになりますが、実はその作曲家こそが少女の父親であったというドラマチックな展開となっています。

このラジオドラマは、同時期にNHKラジオで放送され大ヒットした『君の名は』と並び、民放ラジオドラマの成功例として知られています。また、劇中で美空ひばりが歌う挿入歌「リンゴ追分」は、ラジオドラマの主題歌である「リンゴ園の少女」を凌ぐ大ヒットとなりました。

番組の録音は残念ながら残っていませんが、最終回ではクリスマスということもあり、美空ひばりが「ホワイト・クリスマス」「ひとりぼっちのクリスマス」「ジングルベル」を歌唱しています。

キャスト

美空ひばり
望月優子
山形勲
三島雅夫

主題歌・挿入歌

「リンゴ園の少女」
作詞：藤浦洸、作曲：米山正夫、歌：美空ひばり
「リンゴ追分」
作詞：小沢不二夫、作曲：米山正夫、歌：美空ひばり

映画『リンゴ園の少女』

ラジオドラマの大ヒットを受け、1952年11月20日には松竹により同名映画が公開されました。ラジオドラマを原作としたこの映画は、島耕二が監督を務め、美空ひばりが主演しています。映画版では、マルミという名前の少女が、祖父と共にリンゴ園で暮らし、東京から来た作曲家との出会いを通して、自身のルーツと向き合っていく物語が描かれています。

スタッフ

監督：島耕二
製作：福島通人、杉原貞雄
企画：旗一平
原作：阿木翁助、小沢不二夫、龍野敏
脚本：長谷川公之、小沢不二夫
撮影：厚田雄春
美術：下河原友雄
録音：根岸寿夫
照明：高下逸男
編集：後藤敏男
音楽：米山正夫
配給：松竹

キャスト

美空ひばり - マルミ
高堂国典 - 公平（マルミの祖父）
山村聡 - 野村哲郎（有名な作曲家）
小園蓉子 - 大倉純子（中学校の音楽教師）
見明凡太朗 - 源吉（純子の父）
片山明彦 - 坂野順三
三井弘次 - 熊谷彦作
坂本武 - 留さん
山形勲 - 友景先生
中村是好 - 木塚

漫画

夢田ユメヲによって漫画版も制作され、東京漫画出版社から貸本漫画として出版されました。

1952年 『リンゴ園の少女』
1953年 『続 リンゴ園の少女』

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