レザーバック (潜水艦)
USSレザーバック（SS-394）は、第二次世界大戦中に建造されたアメリカ海軍のバラオ級潜水艦の一隻です。その艦名はナガスクジラに由来しています。
本艦は1943年9月9日、メイン州キタリーにあるポーツマス海軍造船所にて起工されました。翌1944年1月27日、H・F・D・デイヴィス夫人の手により命名・進水式が執り行われました。この日、ポーツマス海軍造船所ではレザーバックに加え、レッドフィッシュ、ロンクィル、さらに数時間後にはスキャバードフィッシュの計4隻が相次いで進水しており、これはアメリカ海軍史上唯一の記録となっています。1944年4月3日、アルバート・M・ボンティアー少佐の指揮下、就役を迎えました。
しかし、就役後の整調訓練中にブロックアイランド・サウンドで座礁事故を起こし、艦長らが解任される事態に見舞われます。その後、ロイ・S・ベンソン中佐が新たな艦長として着任し、真珠湾への航海を経て前線へ向かいました。
レザーバックは合計5回の哨戒任務に従事しました。
第1、第2哨戒（1944年8月～1945年1月）: 初めての哨戒ではフィリピン方面へ展開し、ウィリアム・ハルゼー大将が考案した独特の散開線「ハルゼーの動物園」に参加。その後、ルソン海峡方面に移動しました。第2哨戒では、トレパン、セグンドとウルフパックを組み、タマ34船団を発見。セグンドと共に魚雷攻撃を行い、輸送船「乾城丸」を撃沈しました（命中魚雷は特定されず）。また、バシー海峡では駆逐艦「呉竹」を撃沈したと判断されています。
第3、第4、第5哨戒（1945年2月～9月）: 第3哨戒では再びウルフパックを組み東シナ海へ。魚雷攻撃は成功しませんでしたが、艦砲により複数の海上トラックを撃沈し、日本兵3名を捕虜としました。第4哨戒では日本近海、特に東京湾海域での救助配備任務に就き、撃墜された航空機のパイロットやクルーを複数救助しました。最後の第5哨戒はオホーツク海方面で実施。ここでも多数の海上トラックやラガーを砲撃で撃沈・破壊しました。
終戦間際、レザーバックは他の潜水艦と共に東京湾へ入港。1945年9月2日の降伏文書調印式典に立ち会いました。式典後、真珠湾、サンディエゴへと帰還しました。
第二次世界大戦中、レザーバックは5個の従軍星章を受章しています。
戦後もレザーバックは現役にとどまり、太平洋艦隊の一員として1940年代後半には日本や中国近海で活動しました。1949年には初の戦闘効率賞を獲得しています。
1952年8月に一度退役し、GUPPY IIAと呼ばれる大規模な近代化改修を受けました。この改修により水中性能が向上し、1954年1月に再就役。ニューロンドンでの訓練を経て、サンディエゴを拠点とする第3潜水戦隊に加わりました。その後、沿岸部での対潜水艦戦訓練支援や、カナダ北方への作戦活動、極東への長期哨戒など、幅広い任務に従事しました。1959年には二度目の戦闘効率賞を受章しています。
特筆すべきは、1962年5月11日に行われた核実験「ドミニック作戦」の「ソードフィッシュ」実験に参加したことです。これは対潜ミサイルASROCの実射試験で、レザーバックは潜望鏡深度から至近距離で核爆発の衝撃波を観測しました。この時の記録映像も公開されています。
1960年代には第7艦隊の一員として定期的に西太平洋に展開し、ベトナム戦争にも関与。1965年には最初のベトナム勲功章を受章しました。その後も西太平洋への派遣を繰り返し、1969年には三度目の戦闘効率賞を受章しています。最後の配備を終えサンディエゴに戻った後、レザーバックはハンターズ・ポイント海軍造船所で予備役となり、1970年11月30日に退役、トルコ海軍へ移管されました。
トルコ海軍では、オスマン帝国の提督にちなんでTCGムラトレイス（S-336）と改名されました。ムラトレイスはトルコ海軍で約30年間現役を務め、2001年8月にその長い任務を終え退役しました。
退役後、アメリカ合衆国アーカンソー州ノースリトルロック市が、個人の寄付金によって本艦を購入することを決定しました。2004年3月に購入が実現した後、トルコから大西洋を横断し、ミシシッピ川、アーカンソー川を遡上するという大航海を経てノースリトルロックへと搬送されました。特にアーカンソー川を遡上する際は、艦の喫水よりも川の深度が浅い箇所があり、船体をバージに乗せて運ぶという異例の方法が用いられました。
2004年8月29日、ついにアーカンソー内陸海事博物館に到着。準備期間を経て、2005年5月15日から一般公開が開始され、記念艦としてその姿を現在に伝えています。
レザーバックは第二次世界大戦で5個、ベトナム戦争で4個の合計9個の従軍星章をその艦歴に刻んでいます。
建造から就役、そして試練
本艦は1943年9月9日、メイン州キタリーにあるポーツマス海軍造船所にて起工されました。翌1944年1月27日、H・F・D・デイヴィス夫人の手により命名・進水式が執り行われました。この日、ポーツマス海軍造船所ではレザーバックに加え、レッドフィッシュ、ロンクィル、さらに数時間後にはスキャバードフィッシュの計4隻が相次いで進水しており、これはアメリカ海軍史上唯一の記録となっています。1944年4月3日、アルバート・M・ボンティアー少佐の指揮下、就役を迎えました。
しかし、就役後の整調訓練中にブロックアイランド・サウンドで座礁事故を起こし、艦長らが解任される事態に見舞われます。その後、ロイ・S・ベンソン中佐が新たな艦長として着任し、真珠湾への航海を経て前線へ向かいました。
戦時中の活躍
レザーバックは合計5回の哨戒任務に従事しました。
第1、第2哨戒（1944年8月～1945年1月）: 初めての哨戒ではフィリピン方面へ展開し、ウィリアム・ハルゼー大将が考案した独特の散開線「ハルゼーの動物園」に参加。その後、ルソン海峡方面に移動しました。第2哨戒では、トレパン、セグンドとウルフパックを組み、タマ34船団を発見。セグンドと共に魚雷攻撃を行い、輸送船「乾城丸」を撃沈しました（命中魚雷は特定されず）。また、バシー海峡では駆逐艦「呉竹」を撃沈したと判断されています。
第3、第4、第5哨戒（1945年2月～9月）: 第3哨戒では再びウルフパックを組み東シナ海へ。魚雷攻撃は成功しませんでしたが、艦砲により複数の海上トラックを撃沈し、日本兵3名を捕虜としました。第4哨戒では日本近海、特に東京湾海域での救助配備任務に就き、撃墜された航空機のパイロットやクルーを複数救助しました。最後の第5哨戒はオホーツク海方面で実施。ここでも多数の海上トラックやラガーを砲撃で撃沈・破壊しました。
終戦間際、レザーバックは他の潜水艦と共に東京湾へ入港。1945年9月2日の降伏文書調印式典に立ち会いました。式典後、真珠湾、サンディエゴへと帰還しました。
第二次世界大戦中、レザーバックは5個の従軍星章を受章しています。
戦後からトルコ海軍へ
戦後もレザーバックは現役にとどまり、太平洋艦隊の一員として1940年代後半には日本や中国近海で活動しました。1949年には初の戦闘効率賞を獲得しています。
1952年8月に一度退役し、GUPPY IIAと呼ばれる大規模な近代化改修を受けました。この改修により水中性能が向上し、1954年1月に再就役。ニューロンドンでの訓練を経て、サンディエゴを拠点とする第3潜水戦隊に加わりました。その後、沿岸部での対潜水艦戦訓練支援や、カナダ北方への作戦活動、極東への長期哨戒など、幅広い任務に従事しました。1959年には二度目の戦闘効率賞を受章しています。
特筆すべきは、1962年5月11日に行われた核実験「ドミニック作戦」の「ソードフィッシュ」実験に参加したことです。これは対潜ミサイルASROCの実射試験で、レザーバックは潜望鏡深度から至近距離で核爆発の衝撃波を観測しました。この時の記録映像も公開されています。
1960年代には第7艦隊の一員として定期的に西太平洋に展開し、ベトナム戦争にも関与。1965年には最初のベトナム勲功章を受章しました。その後も西太平洋への派遣を繰り返し、1969年には三度目の戦闘効率賞を受章しています。最後の配備を終えサンディエゴに戻った後、レザーバックはハンターズ・ポイント海軍造船所で予備役となり、1970年11月30日に退役、トルコ海軍へ移管されました。
トルコ海軍での活動と保存艦へ
トルコ海軍では、オスマン帝国の提督にちなんでTCGムラトレイス（S-336）と改名されました。ムラトレイスはトルコ海軍で約30年間現役を務め、2001年8月にその長い任務を終え退役しました。
退役後、アメリカ合衆国アーカンソー州ノースリトルロック市が、個人の寄付金によって本艦を購入することを決定しました。2004年3月に購入が実現した後、トルコから大西洋を横断し、ミシシッピ川、アーカンソー川を遡上するという大航海を経てノースリトルロックへと搬送されました。特にアーカンソー川を遡上する際は、艦の喫水よりも川の深度が浅い箇所があり、船体をバージに乗せて運ぶという異例の方法が用いられました。
2004年8月29日、ついにアーカンソー内陸海事博物館に到着。準備期間を経て、2005年5月15日から一般公開が開始され、記念艦としてその姿を現在に伝えています。
レザーバックは第二次世界大戦で5個、ベトナム戦争で4個の合計9個の従軍星章をその艦歴に刻んでいます。
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