レナウン (巡洋戦艦)

巡洋戦艦レナウン：栄光と激戦の航跡

巡洋戦艦レナウン（HMS Renown）は、イギリス海軍が第一次世界大戦中の1916年に完成させたレナウン級巡洋戦艦の一番艦です。その名前「Renown」は英語で「有名」「高名」を意味し、その艦歴はまさにその名の通り、華やかさと激戦に彩られています。同型艦にはレパルスがあり、未成艦としてレジスタンスが存在しました。

第一次世界大戦

レナウンは、スコットランドのフェアフィールド社で建造され、竣工後の公試では32.58ノットの高速を記録しました。しかし、ユトランド沖海戦には間に合わず、大戦中は北海で活動しましたが、敵との交戦機会はほとんどありませんでした。この時期には、荒海を航行するレナウンとタイガーの姿が写真に記録されています。

戦間期の活動

第一次世界大戦後、レナウンはエドワード皇太子（後のエドワード8世）の御召艦に抜擢され、その優美な外観と航続力が評価されました。1919年から1921年にかけて、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、エジプト、インド、そして日本など、世界各地を訪問しました。

1922年4月12日には、皇太子を乗せたレナウンは日本の横浜港に到着し、大歓迎を受けました。皇太子は摂政宮との会見後、日本各地を訪問し、レナウンは鹿児島から日本を離れました。日本の服飾会社レナウンの名前の由来は、この皇太子訪問時に使用された本艦にちなんでいます。

1920年代には、レナウンとレパルス、そして巡洋戦艦フッドで巡洋戦艦戦隊が編成されました。1930年代には、大規模な近代化改装が行われ、艦橋の増設、副砲の換装、機関部の交換などが行われました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦が勃発すると、レナウンは高速戦艦としての能力を活かし、大西洋でのドイツ海軍のポケット戦艦やシャルンホルスト級戦艦への対処に奔走しました。1940年のノルウェー戦役では、ドイツ戦艦グナイゼナウと交戦しましたが、決着はつきませんでした。その後、H部隊に編入され、地中海での航空機輸送作戦や、大西洋でのドイツ通商破壊艦への対応に従事しました。

1941年3月には、大西洋に出撃してきたシャルンホルスト級戦艦と対峙しましたが、これも決着には至りませんでした。5月には、戦艦ビスマルク追撃戦に参加し、H部隊（レナウン、空母アーク・ロイヤル、軽巡シェフィールド）は、ビスマルク撃沈に貢献しました。

その後、本国艦隊を経て、1944年以降は東洋艦隊に所属し、世界各地を転戦しました。第二次世界大戦終結後の1948年に除籍され、解体されました。

艦歴の詳細

第一次世界大戦

1916年9月に竣工したレナウンは、高速を誇りましたが、ユトランド沖海戦には間に合いませんでした。大戦の残り期間は、グランド・フリートの第1巡洋戦艦戦隊に所属し、北海で活動しましたが、敵と交戦することはありませんでした。

両大戦間

第一次世界大戦後、レナウンは1919年4月に大西洋艦隊に所属しました。エドワード皇太子の御召艦に選ばれ、大規模な航海を複数回実施しました。1922年の訪日では、日本の軍艦に迎えられ、皇太子は日本各地を訪問しました。また、日本のレナウン株式会社はこの時の訪問に由来します。

1923年から1926年には、第一次近代化改装が行われ、装甲が強化されました。1935年には、巡洋戦艦戦隊のフッドとの衝突事故が発生しました。1930年代後半には、艦橋の近代化、対空火力の強化などの大規模な改装が行われました。

頻繁な改装のため、レナウンは「リフィット」、レパルスは「リペア」というニックネームで呼ばれることもありました。

第二次世界大戦

1939年9月に第二次世界大戦が勃発すると、レナウンは高速巡洋戦艦としての優位性を活かし、ドイツ海軍のポケット戦艦やシャルンホルスト級戦艦への対応に活躍しました。

1939年11月下旬には、装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペーを追跡し、12月にはラプラタ沖海戦で損傷したシュペーを包囲しました。1940年4月には、ノルウェー海戦でグナイゼナウと交戦し、15インチ砲弾を命中させました。1940年後半から1941年にかけては、ジブラルタルを拠点とするH部隊に所属し、地中海での作戦に従事しました。

1941年5月には、ビスマルク追撃戦に参加し、ビスマルク撃沈に貢献しました。1942年からは本国艦隊に所属し、1944年からは東洋艦隊に加わり、インド洋で活動しました。

第二次世界大戦を生き残った唯一の巡洋戦艦であり、1948年にスクラップとして売却されました。

主な活動

レナウンは、ノルウェー防衛戦、大西洋の戦い、ジブラルタル船団護衛、北洋船団護衛、ビスマルク追撃、地中海輸送掩護、北アフリカ戦線、南イタリア上陸、スマトラ攻撃作戦など、数多くの作戦に参加しました。

参考文献

本記事は、以下の文献を参考に作成しました。

宮内庁 編『昭和天皇実録　第三　自大正十年至大正十二年』
酒井三千生『ラプラタ沖海戦』
ジョン・ジョーダン『戦艦　AN ILLUSTRATED GUIDE TO BATTLESHIPS AND BATTLECRUISERS』
V.E.タラント『戦艦ウォースパイト　第二次大戦で最も活躍した戦艦』
高木宏之『英国軍艦写真集　British warship photograph collection』
リチャード・ハンブル『壮烈！ドイツ艦隊　悲劇の戦艦「ビスマルク」』
宮田一登志 編『海外艦艇模型 超入門』 vol.27
宮永, 忠将 著、市村 弘 編『世界の戦艦プロファイル ドレッドノートから大和まで』
イヴァン・ミュージカント『戦艦ワシントン　米主力戦艦から見た太平洋戦争』
Peter C. Smith, The Battle-Cruiser HMS Renown 1916-1948
Wright, Malcolm (2016). British and Commonwealth Warship Camouflage of WW II: Battleships & Aircraft Carriers.

アジア歴史資料センター
国立国会図書館デジタルコレクション

関連項目

レナウン (企業)|レナウン_(企業)
ワシントン海軍軍縮条約での各国保有艦艇一覧
イギリス海軍艦艇一覧
イギリス海軍の艦隊および管区一覧
第二次世界大戦における護衛船団の戦い

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