ロイガーとツァール

クトゥルフ神話の双子神：ロイガーとツァール

オーガスト・ダーレスが創造したクトゥルフ神話の旧支配者にして双子神、ロイガーとツァール。風の精として知られる彼らは、ミャンマー奥地の古代都市に封印されていたとされています。

潜伏するものからの登場

二人の初登場は、ダーレスとマーク・スコラーの共著による短編『潜伏するもの』です。この作品では、ロイガーは巨大な緑の肉塊として描写され、長い触手を持ち、旧神と星の戦士たちによって封印されていたスン高原の地下都市アラオザルに、矮人種族チョー・チョー人と共に存在していました。ツァールは、この作品では描写されていません。

ロイガーは復活を試みますが、再び封印されます。この物語におけるロイガーとツァールの扱いは非対称で、資料によってはツァールの方が強力という記述もありますが、『潜伏するもの』でのフォ＝ラン博士のセリフは、敵を威嚇する誇張表現の可能性も強く、真の関係性は不明瞭です。

サンドウィン館の怪と能力

ダーレスの別の作品『サンドウィン館の怪』では、ロイガーが再登場します。この作品でのロイガーは、深きものどもに使役されており、密室にわずかな隙間から侵入し、人間を連れ去る能力を示しています。その能力は、風属性の力に基づいており、「他者をバラバラにして大地から引きはがす」と表現されています。さらに、強力な防御魔法を容易く破る描写からも、その強大な力が伺えます。この作品以降、ロイガーとツァールは四大霊の風の精として位置づけられるようになりました。

アルクトゥールスとの関連

ロイガーとツァールは、うしかい座の星アルクトゥールスと深く関連付けられています。『サンドウィン館の怪』では、ロイガーの召喚にアルクトゥールスの出現が条件の一つとして挙げられています。また、別の作品では、ツァールがアルクトゥールスから召喚される描写もあります。アルクトゥールスは、彼らの故郷であるとも考えられています。

TRPGにおける設定と多様な解釈

テーブルトークRPG『クトゥルフ神話TRPG』では、ロイガーとツァールは同一の能力を持つと設定されています。一方、風見潤の『クトゥルー・オペラ』では、彼らはアルクトゥールスの惑星に封印されていた、N極とS極の磁気単極子生命体として、異形のヒューマノイドの姿で描かれています。さらに、リン・カーターの『陳列室の恐怖』では、ハスターとシュブ＝ニグラスの子として、イタカ、ロイガー、ツァールが位置づけられています。この系譜は風見潤の作品でも採用されています。このように、様々な作品で、ロイガーとツァールはそれぞれ独自の設定や解釈のもとに描かれています。

ロイガー族とその他の関連

コリン・ウィルソンの『ロイガーの復活』には、アンドロメダ星雲から地球に飛来した異星種族「ロイガー族」が登場しますが、クトゥルフ神話のロイガーとの関係は不明です。『クトゥルフ神話TRPG』では、両者は別個の存在として扱われています。ロイガー族はガタノトーアという異称も持ちますが、これは『ウルトラマンティガ』に登場するゾイガー、シビトゾイガーと関連付けられる可能性があります。ゾイガーは邪神ガタノゾーアの眷属です。また、フレッド・ペルトンの設定では、ロイガーノスという眷属種族がロイガーとツァールに仕えているとされています。

まとめ

ロイガーとツァールは、クトゥルフ神話の中でも謎の多い存在です。様々な作品で異なる設定や解釈がなされており、その真の姿や能力、他の旧支配者との関係性などは、未だに多くの謎に包まれています。今後の研究や創作活動によって、さらに理解が深まることが期待されます。

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