ロッジア・ディ・ランツィ

ロッジア・ディ・ランツィ：フィレンツェの歴史と芸術が息づく回廊

ロッジア・ディ・ランツィ（Loggia dei Lanzi）、またはランツィの回廊は、イタリア・フィレンツェのシニョリーア広場に位置する、歴史と芸術が融合した壮麗な建造物です。ウフィツィ美術館に隣接し、その開放的な構造は広場に面しており、コリント式の柱頭を持つ束ね付柱で支えられた幅広いアーチが特徴的です。この印象的なアーチは、ミケランジェロが広場全体を囲むように提案したほど、フィレンツェの人々を魅了しました。

歴史的背景

しばしば誤ってオルカーニャの設計とされますが、実際には1376年から1382年にかけて、ベンチ・ディ・チョーネとフランチェスコ・タレンティによって建設されました。ヤーコポ・ディ・チョーネが設計に関わったと推定されており、ゴンファロニエーレの就任式などの公的な式典や、市民の集会場所として利用されました。回廊の開放的で陽気な雰囲気は、隣接する重厚なヴェッキオ宮殿とは対照的です。

「ランツィ」という名称は、16世紀にコジモ1世の治世下で、この建物がランツクネヒト（ドイツ人傭兵）によって使用されたことに由来します。後に、ウフィツィ美術館が建設された後、ベルナルド・ブオンタレンティによって屋根がテラスに改造され、メディチ家の王子たちが広場での式典を観覧するための場所となりました。

建築と装飾

ファサードの上部、テラスの手摺の下には、アーニョロ・ガッディによる「不屈さ」「節制」「正義」「慎重さ」を象徴する力天使の寓意像が飾られています。背景の青いエナメル塗装は修道士レオナルドが、金色の星はロレンツォ・デ・ビッチが手掛けました。半円形のヴォールトはアントニオ・デ・プッチが制作しました。正面階段を上ると、フィレンツェの象徴である2体のマルゾッコ（大理石の獅子像）が鎮座しています。右側の像は古代ローマ時代のもので、左側の像はフラミニオ・ヴァッカが1598年に制作したものです。これらの獅子像は、元々はローマのヴィラ・メディチにありましたが、1789年にこのロッジアに移されました。

ロッジアの側面には、1750年のラテン語の碑文があり、フィレンツェが1749年に暦をローマのものに合わせたことが記されています。また、1893年の碑文には、イタリア王国がミラノ、ヴェネツィア、ローマを併合した際に活躍したフィレンツェの人々が記録されています。

彫刻のコレクション

ロッジア・ディ・ランツィは、その建築的な美しさだけでなく、数々の著名な彫刻作品を展示していることでも知られています。

ペルセウス（ベンヴェヌート・チェッリーニ作）: 左端の区画に展示されているこの銅像は、ギリシア神話の英雄ペルセウスがメドゥーサの首を掲げている姿を描いています。均整の取れた筋肉質の体躯や、感情を抑制した表情は、チェッリーニの卓越した技術を物語っています。ブロンズ像の制作には数々の困難がありましたが、チェッリーニの粘り強い努力により完成しました。台座もまた、チェッリーニの作品で、ユーピテル、メルクリウス、ミネルウァ、ダナエーの小像が配されています。

サビニの女たちの略奪（ジャンボローニャ作）: 右端に位置するこのマニエリスムの群像は、ジャン・ブローニュ、すなわちジャンボローニャによって制作されました。巨大な大理石の塊から彫り出されたこの作品は、3人以上の人物を組み合わせて、あらゆる角度からの鑑賞に耐えるよう、らせん状の動きを持つ「フィーグラ・セルペンティナータ」の技法で表現されています。台座には同じテーマのブロンズ製レリーフが施されています。

ケンタウロス・ネッソスを打つヘーラクレース（ジャンボローニャ作）: ジャンボローニャによるもう一つの大理石像で、ヘーラクレースがケンタウロス・ネッソスを打ち倒す場面を表しています。この作品は、1841年にロッジアに移されました。ピエトロ・フランカヴィッラが弟子として制作に参加しています。

パトロクロスを抱きかかえるメネラウス: ローマで見つかった古代ローマの大理石像で、元々はヴェッキオ橋の南端にありました。紀元前3世紀のペルガモンで制作されたものを、フラウィウス朝時代にコピーしたものです。ピエトロ・タッカとルドヴィコ・サルヴェッティが修復し、後にステファノ・リッチが手を加えています。

* ポリュクセネーの陵辱: ピオ・フェンディによって1865年に制作された群像です。

ロッジアの奥には、マティディア、マルキアナ、小アグリッピナとされる5体の女性像をはじめ、サビニ人やトゥスネルダの像が並んでいます。これらの像はローマで見つかり、後にロッジアに移されましたが、修復の手が加えられています。

ロッジア・ディ・ランツィの影響

ロッジア・ディ・ランツィは、その建築様式と彫刻コレクションによって、後世に大きな影響を与えました。特に、ミュンヘンのフェルトヘルンハレは、このロッジアをモデルに建設されたことで知られています。また、1923年のミュンヘン一揆でヒトラーがデモ行進した場所としても、歴史に名を刻んでいます。

ロッジア・ディ・ランツィは、その歴史、建築、そして芸術のコレクションを通じて、フィレンツェの文化的な遺産を象徴する場所として、今日もなお多くの人々を魅了し続けています。

もう一度検索