ヴァディム・レーピン

ヴァディム・ヴィクトロヴィチ・レーピンは、1971年8月31日にロシアのノヴォシビルスクで生まれた、世界的に著名なヴァイオリニストです。幼少期から音楽に親しみ、当初は様々な楽器に興味を示していましたが、ヴァイオリンのクラスに空きがあったことから、この楽器を専門とすることになりました。少年時代には、著名な教師ザハール・ブロンに師事し、その才能を開花させました。

17歳という若さで、ブリュッセルで開催されたエリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝を果たし、プロの音楽家としてのキャリアをスタートさせました。その後は、ピエール・ブーレーズ、リッカルド・シャイー、シャルル・デュトワ、ヴァレリー・ゲルギエフ、ジェームズ・レヴァイン、クルト・マズア、サイモン・ラトル、エサ＝ペッカ・サロネン、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチといった、音楽界を代表する名だたる指揮者たちと共演を重ね、その名を世界に知らしめました。

レーピンは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ピョートル・チャイコフスキー、ジャン・シベリウス、セルゲイ・プロコフィエフ、ニコライ・ミャスコフスキー、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンといった作曲家の協奏曲を録音しており、そのレパートリーの広さも特筆すべき点です。また、室内楽の分野でも、ボリス・ベレゾフスキー、マルタ・アルゲリッチ、ミハイル・プレトニョフ、ユーリ・バシュメット、ミッシャ・マイスキーといった著名な音楽家たちと共演し、その芸術性を高く評価されています。

2014年からは、故郷のノヴォシビルスクにて、トランス・シベリア芸術祭の芸術監督を務めています。この芸術祭は、レーピン自身の音楽に対する情熱と、故郷への貢献という強い思いが込められています。

使用楽器に関しては、以前は1743年製のグァルネリ・デル・ジェス"Bonjour"を使用していましたが、現在は1733年作のストラディヴァリウス ‟ロード”を使用しています。これらの名器の音色を、彼の演奏を通して聴くことができます。

レーピンの演奏は、ロシア音楽とフランス音楽を得意としていますが、ジョン・アダムズやソフィヤ・グバイドゥーリナなどの現代音楽の分野でも、その才能を発揮しています。多様なジャンルの音楽を演奏・録音することで、その音楽性の幅広さを示しています。

また、彼は「Violin Virtuosos (Strings Backstage)」という著書も発表しており、ジョシュア・ベルやヒラリー・ハーンといった著名なヴァイオリニストと共に名を連ねています。

私生活では、バレリーナのスヴェトラーナ・ザハーロワと結婚しており、彼女はボリショイ・バレエのプリンシパルを務めています。2011年には娘が誕生しています。また、2001年に一度結婚しており、2006年には長男が誕生しています。

彼の音楽への情熱と卓越した演奏技術は、世界中の聴衆を魅了し続けています。ヴァディム・レーピンは、現代を代表するヴァイオリニストの一人として、その名を歴史に刻むことでしょう。

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