一萬田鑑実

一萬田鑑実：大友氏を支えた武将、その生涯と文化

一萬田鑑実（いちまた あきざね）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。大友氏の庶流である一萬田氏の当主として、大友家のために戦い続けました。小牟礼城、鳥屋山城の城主であり、兵部大輔、美濃守といった官位も有していました。

生涯

鑑実は、当初大友義鑑に仕え、偏諱を賜り鑑実と名乗りました。義鑑の死後は、その子である大友義鎮（宗麟）に仕えます。天文22年（1553年）には、父や叔父が義鎮の命により滅ぼされ、家督を相続するという不幸に見舞われました。しかし、鑑実は義鎮を恨むことなく、引き続き大友家に忠誠を誓います。

菊池義武討伐や秋月文種討伐といった戦で武功を挙げ、その名を高めました。永禄11年（1568年）に叔父・高橋鑑種が謀反を起こした際には、宗麟に味方し鎮圧に貢献。永禄12年（1569年）の多々良浜の戦いでは、毛利軍を相手に奮戦し、乃美宗勝、桂元重らを撃退しました。

天正6年（1578年）の耳川の戦いでは殿軍を務め、加判衆として宗麟の側近となります。天正14年（1586年）からの島津氏との戦い（豊薩合戦）では、一萬田氏一族を含む諸将が寝返る中、大友氏に留まり、軍功を挙げました。

しかし、天正16年（1588年）、突如として大友義統により自害を命じられます。その理由は、豊薩合戦で一族の一萬田紹伝らが島津氏に寝返ったことへの連座であると伝えられています。

文化人としての一面

鑑実は、武将としての一面だけでなく、文化人としても知られています。普段は城ではなく、城の麓にある館に住み、四季折々の花木を植え育てていました。その中でも「黒染めの桜」と呼ばれる珍しい桜は、領民や身分の高い人々にも愛され、和歌を詠んだり、酒宴を開いたりする場となりました。

天正元年（1573年）には、その噂を聞きつけた大友宗麟が鑑実の館を訪れ、桜の下で金剛大夫の能を鑑賞しました。また、元亀2年（1571年）には、大友家の重臣を招いて俳諧会を行っています。

系譜

父：一萬田親実（鑑相）
叔父：高橋鑑種、宗像鑑久
弟：鑑景、鑑通、鎮之
子：鎮実、統賢

嫡男の鎮実に家督を譲った後、橋爪鑑種の跡を継ぎ、橋爪鑑実、鑑述と改名しました。法名は宗慶です。

一萬田氏に関連する人物

一萬田親泰: 天正の役で戦死
一萬田鑑実（橋爪鑑実・鑑述）: 大友義統に自刃を命じられ死亡
一萬田鎮実: 大友義統により自刃を命じられ死亡
一萬田鎮実室: 大友宗麟の娘
一萬田統賢
一萬田鑑景
一萬田鑑通
一萬田鎮之
一萬田親宗（高橋鑑種）
高橋長宗
高橋元光
高橋力姫
高橋種冬（養子・旧姓秋月）
高橋元種（養子・旧姓秋月）
* 宗像鑑久: 大友宗麟の命により討伐され死亡

一萬田鑑実は、戦国時代の激動の中で、武将として、また文化人として生きた人物です。大友家への忠義を貫きながらも、桜を愛でる心を持ち続けた彼の姿は、多くの人々に感銘を与えます。

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