一言主神社 (常総市)

一言主神社（茨城県常総市）

一言主神社は、茨城県常総市大塚戸町に鎮座する神社です。「一言明神」とも呼ばれ、一言の願い事でも聞き入れてもらえるという言い伝えから、多くの人々に信仰されています。特に正月の三が日には、茨城県西地域有数の初詣スポットとして、例年15万人もの参拝客が訪れます。

ご祭神

ご祭神は一言主大神で、別名を事代主神とも言い、恵比寿様としても親しまれています。福の神として、また商売繁盛、災禍消除、農作成就、縁結び、平和の神として崇敬されており、「一生に一度だけ願いを聞き入れてもらえる」という信仰もあります。

歴史

神社の創建は大同4年（809年）と伝えられています。大和国葛上郡の葛城一言主神社（現在の奈良県御所市）から一言主神を迎えたのが始まりとされています。創建の地は現在の場所から西に位置し、怪しい光と共に雪の中からタケノコが生え、それが三つに分かれた竹になったという伝承から、「三竹山一言主神社」という異名も持ちます。

室町時代の長禄3年（1459年）には、平将門の子孫である相馬弾正胤広が社殿を再建しましたが、戦国時代の天文19年（1550年）には兵火により拝殿が損壊し、永禄年間には半焼してしまいました。

江戸時代の万治2年（1659年）頃からは、葛城流からくり綱火（大塚戸の綱火）が始まり、元禄13年（1700年）には本殿の大規模な修理が行われました。現在の拝殿は、慶応3年（1867年）に一般からの寄進によって再建されたものです。

明治維新後、神仏分離令により一言主神社を管轄していた善光寺が廃寺となり、当時の僧侶が初代神官となりました。近代社格制度では村社に列せられています。明治42年（1909年）には、近隣の13社が合祀されました。

境内

境内の広さは約2,800坪（約0.92ha）で、駐車場が広く設けられています。本殿は一間社流造で、屋根は銅板葺き（檜皮葺風）です。室町時代に建てられた本殿を手本に、江戸時代に再建されたものとされ、常総市の指定文化財となっています。

境内には、樹齢500年を超えるムクノキがあり、こちらも常総市の指定文化財（天然記念物）となっています。また、神社の縁起に由来する三岐の竹も生育しています。

祭事

例大祭は9月13日に行われます。この祭では、操り人形と仕掛け花火を組み合わせた民俗芸能である「大塚戸の綱火（葛城流からくり綱火）」が奉納されます。綱火は茨城県の無形民俗文化財に指定されています。その他、元旦祭、春季祭、菊花祭、新嘗祭、月次祭なども行われています。

近年では、夏場にミツバチが手水舎に集まることから、ミツバチ専用の水飲み場が設置されています。これは参拝客からの苦情を受けて、神社がミツバチとの共存を模索した結果生まれたもので、SNS上でも話題となっています。

一言主信仰

一言主神社の神威は広く知られており、かつては「徴兵検査で不合格になった」「日露戦争の召集令状が届かなかった」などといった逸話も語られていました。最盛期には多くの講社が結成され、例大祭にはバス500台が詰めかけるほどでしたが、その後講社は衰退しました。現在では、神社が個人参拝者の誘致に力を入れています。

アクセス

公共交通機関
関東鉄道常総線・首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス 守谷駅からタクシーで約25分
関東鉄道常総線 水海道駅からタクシーで約15分
自動車
* 常磐自動車道 谷和原インターチェンジから約15分

駐車場は4か所に合計500台分が用意されています。

一言主神社は、古くからの信仰を守りながら、現代のニーズにも応える神社として、多くの人々に親しまれています。

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