三匹の牝蜂

概要

『三匹の牝蜂』は、1970年に東映が製作・公開した、大原麗子主演の青春映画です。鳥居元宏が監督を務め、東映京都撮影所で製作されました。この作品は、東映初の女番長（スケバン）映画として知られています。大阪万博開催で活気に満ちた大阪を舞台に、大原麗子、夏純子、市地洋子の3人が演じる不良少女たちの物語が展開します。

ストーリー

物語は、大阪万博会場を闊歩する美奈（大原麗子）、サチ子（夏純子）、ハツエ（市地洋子）の3人組から始まります。彼女たちは、ある日、ゴーゴー喫茶で暴力団・戸田組のチンピラである三郎（渡瀬恒彦）と知り合います。万博で外国人観光客向けのバーが不足していることを知った3人は、仲間を集めてバー荒らしを計画しますが、運悪く戸田組に捕まりリンチを受けます。戸田組は3人を外国人相手の売春に利用しようとし、三郎を見張り役に付けます。しかし、美奈と三郎は恋仲となり、3人は戸田組を裏切り、村上産業の荒川と組んで、外国人向けの売春組織を計画します。

キャスト

美奈：大原麗子
サチ子：夏純子
ハツエ：市地洋子
ダッコ：片山由美子
三郎：渡瀬恒彦
矢吹：小池朝雄
金持の婦人：阿井美千子
村上産業社長：金子信雄
クラブのママ：楠トシエ
ギターを弾く女：和田アキ子
山田物産社長：藤村有弘
姐さん：曽我町子
吉川：唐沢民賢
爺さん：左卜全
スポーツカーの男：鈴木ヤスシ
スポーツカーの男：広瀬義宣
歌手：ピーター
荒川：工藤堅太郎
おすみ：三島ゆり子

スタッフ

監督：鳥居元宏
企画：岡田茂、日下部五朗
脚本：中島貞夫、掛札昌裕
撮影：増田敏雄
音楽：八木正生
主題歌：和田アキ子「女王蜂のフーガ」
美術：雨森義允
* 助監督：萩原将司

製作の背景

本作は、東映企画製作本部長であった岡田茂の企画によって製作されました。当時、東映は男の番長映画『不良番長』シリーズを成功させていましたが、女番長映画では他社に後れを取っていました。本作は、大映や日活が女番長映画を製作する中で、東映がその流れに乗る形で製作された初の女番長映画です。

キャスティング

クランクイン直前の記事に、夏純子の名前が「夏珠美」と誤植されていたというエピソードがあります。また、主演の3人の中で脱ぐのは市地洋子のみで、和田アキ子の出演シーンは、スナックでのワンシーンだけでした。

脚本の特徴

チンピラの三郎が、上役から大原ら3人に外国人相手の売春を強要するよう命じられますが、彼女たちが独自に売春組織を計画するという、少し複雑な構成になっています。この設定は、従来のヤクザ映画とは異なり、女性たちが主体的に行動する点が特徴的です。

撮影について

撮影は、東映京都撮影所のスタジオの他、大阪万博会場など大阪の各地で行われました。

同時上映

本作は、『顔役』（主演：鶴田浩二、監督：石井輝男）と同時上映されました。

評価と影響

東映初のスケバン映画として製作された本作ですが、当時の観客には受け入れられず、一週間で打ち切りとなりました。東映の社史でも評価されていません。しかし、藤木TDCは、本作の斬新なストーリーと70年代のファッション性を評価し、その後の東映のスケバン映画に影響を与えたと指摘しています。

その他

当時、東映は緑魔子を売り出しており、大原麗子を「第二のマコ」として売り出そうとしていましたが、大原はそれを望まず、東映との契約を終了しました。また、渡瀬恒彦は本作が大原麗子との初共演となり、後に結婚しました。

本作は、東映のスケバン映画の先駆けとして、その後の作品に大きな影響を与えた作品と言えるでしょう。

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