三国山 (鳥取県・岡山県)

三国山（みくにがせん、みくにやま）

三国山は、鳥取県と岡山県の県境に広がる山であり、山と溪谷社が選定した中国百名山の一つに名を連ねています。この地域の地理的な要素を強く代表する山であり、旧因幡国と旧伯耆国を分ける重要な地点となっています。三国山は、2つの主要な頂を持ち、「北嶺」と「南嶺」として知られています。特に南嶺は、三国の境目としての役割を果たしており、その雄大な姿は訪れる人々を魅了します。

山名の由来

山の名前は、因幡国、伯耆国、美作国の境界に位置することから来ており、「三国ガ山」として呼ばれることもあります。この三国に由来する名称には、日本の地理の奥深い歴史と文化が反映されています。

2つの嶺

三国山には、実際には2つの頂上が存在します。まず、南嶺（標高1213メートル）ですが、これは因幡・伯耆・美作の三国を分ける境界となっており、正真正銘の「三国山」と言える位置付けです。岡山県の鏡野町が整備した登山道を利用すると、南嶺にアクセスすることができます。南嶺を登る際には、さらに稜線沿いに800メートルほど南に進むと、1247.7メートルの頂には四等三角点「ギラガ仙」があり、こちらを通過する必要があります。

北嶺（標高1251.9メートル）は、近年一等三角点が設置され、その名も「三国山」とされています。登山道は鳥取市（旧佐治村）からアクセスでき、北側の道も整備されています。

三国山塊

三国山の周囲には、関連する山塊があり、ここが因幡国と伯耆国を分けていたことを示しています。現在も地域は大きく東部（旧因幡国）と中央部（旧伯耆国東部）に分けられます。三国山は成層火山であり、約260万年前の第三紀に噴火を起こした結果、形成されました。その際、谷ができ、大きな堰止湖が生まれたことにより、豊富な鉱床も見つかっています。

地理・地誌

この山域は、氷ノ山後山那岐山国定公園に含まれており、自然の美しさが際立つエリアです。山の南西側は岡山県鏡野町に属し、北西側は鳥取県三朝町であり、東側の半分は鳥取市となっています。岡山県側の斜面は比較的緩やかで、恩原高原が広がり、吉井川の源流が流れています。一方、鳥取県側は急峻な地形が連なり、小鹿川が天神川水系の北麓を流れています。

この地域はまた、春にはタケノコ採りで富んだネマガリダケの群落が見られることで知られています。南東側には山王谷があり、佐治川を経由して千代川に流れ込む自然の流れがあります。

植生

三国山の植生は多様で、かつては広大なブナの森が広がっていましたが、伐採が進み、スギやヒノキの人工林が広がるようになりました。しかし、三朝町側の一部にはブナの原生林が保存されており、国により自然維持林として指定されています。ここでは、140ha以上のブナ林があり、樹齢200年前後の立派な大木が並んでいます。

登山ルート

三国山へアクセスするための登山ルートは、北嶺と南嶺の2つに分かれています。北嶺については、鳥取市佐治地区から山王谷第2林道に入ると、登山口と避難小屋があります。ここからは、ゆったりとした斜面を進むことができ、V字谷を2度越えて尾根道にたどり着きます（片道約1時間20分）。山頂には展望台が設置されており、見晴らしも抜群です。

南嶺には、鏡野町の恩原高原からアクセスし、ギラガ山を越えるコースが用意されています。このコースは片道およそ1時間半かかります。北嶺と南嶺は1キロほどの距離にありますが、間の尾根は茂みが厳しいため、行き来は容易ではありません。

いずれにしても三国山は、自然愛好者や登山者にとって魅力的なスポットであり、その美しい風景と豊かな生態系は訪れる人々に感動を与えています。

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