三国志年代記

三国志年代記

株式会社ジー・モードが手掛けた携帯電話向けの歴史シミュレーションゲーム、『三国志年代記』について解説します。本作は、中国の歴史小説『三国志演義』の世界観を忠実に再現しており、プレイヤーは三国時代の著名な君主の一人となって、乱世の統一を目指すことになります。

基本情報と展開

『三国志年代記』は、2004年12月13日にiアプリ向けに初登場しました。その後、大幅なコンテンツ追加が行われた拡張版『三国志年代記DX』がリリースされ、2005年4月1日にiアプリ版、同年8月1日にEZアプリ版、そして8月17日にはVアプリ版がそれぞれ発売され、より多くのユーザーに楽しまれるようになりました。さらに時を経て、携帯電話ゲームの移植プロジェクト「G-MODEアーカイブス」の一環として、2020年12月3日にはNintendo Switch向けにも移植版が登場しています。

ゲームシステム概要

プレイヤーは、シナリオを選択し、その時代に名を馳せた君主を選んでゲームを開始します。ゲームの目的は、自軍の部隊を他勢力の領地に侵攻させ、戦闘に勝利することで領土を広げていくことです。これを繰り返し、マップ上の全ての領地を自勢力が占領するか、敵対する全ての勢力が滅亡すればゲームクリアとなります。逆に、自らが率いる君主が戦闘に敗北し、ゲームオーバーとなることもあります。

部隊と能力

ゲームに登場する武将は総勢100名に及びます。各武将は、「武力」「知力」「忠誠度」という基本的なパラメータに加え、それぞれ独自の特殊能力を持っています。

武力: 部隊の攻撃力に直接影響し、戦闘の勝敗を左右します。
知力: 領地の発展度を示す統治度の上昇率に関わるほか、戦闘時にも部隊の補助に影響を与えます。
忠誠度: 武将が敵に捕らえられた際に、自勢力に戻るか敵勢力に仕えるかの判定に用いられます。数値が高いほど、敵に引き抜かれにくくなります。
能力: 特定の条件下で部隊の戦闘力を高めるものが多いですが、華佗のような固有の武将のみが持つ特別な能力も存在します。

部隊の種類としては、君主、武将、知将、その他、兵卒を指す「部隊」、そして「精鋭兵」があります。君主は防御戦で武力が上昇する特性を持ちますが、フリーシナリオ以外では初期配下として選べません。「部隊」は初期パラメータは低いですが、戦闘を重ねることで「精鋭兵」へと進化し、能力が向上することがあります。「精鋭兵」は初期配置されることはなく、「部隊」からの進化でのみ登場します。

シナリオ構成

本作には、シナリオ1からシナリオ5までの5種類のシナリオが用意されています。これらのシナリオは、基本的に歴史上の年代順に沿って設定されており、後の時代になるにつれてゲームの難易度が高まる構成です。

シナリオ1【年代記入門編】: 入門者向け。曹操、劉備、孫権から選択。
シナリオ2【群雄割拠】: 初級者向け。上記3名に加え、呂布、馬騰、劉璋、袁紹も選択可能。
シナリオ3【中原制覇】: 中級者向け。さらに孫策、袁術、劉表、公孫瓚も選択可能に。
シナリオ4【赤壁の戦い】: 上級者向け。曹操、劉備、孫権、馬騰、劉璋から選択。
シナリオ5【三国志年代記】: 超上級者向けのフリーシナリオ。全ての君主が選択可能で、君主の配下上限内で自由に初期配下を選べます。

戦闘システム

戦闘の結果は、武将の基本パラメータを基にしたルーレットの判定によって決まります。ルーレットで示された数値が大きい方が勝利となり、同じ数値が出た場合は、侵攻してきた勢力が勝利となります。ルーレットの回転は比較的緩やかなため、プレイヤーの腕次第で、いわゆる「目押し」による結果の操作がある程度可能となっています。

領地と統治

ゲーム内の領地は、大小の城と関によって構成され、これらが街道で繋がっています。大きな城郭では、部隊の補充を行うことができます。いずれの領地も、同時に滞在できる部隊数は最大4部隊までと制限されています。領地を占領した後も、部隊を配置し続けなければ再び空地となってしまう点に注意が必要です。関は1部隊のみ滞在可能ですが、そこに移動した部隊はそのターンの行動を消費しないため、続けて別の領地へ移動させることもできます。全ての領地には「統治度」というパラメータが設定されており、この数値が高いほど、シナリオクリア時の達成ランクに良い影響を与えます。

達成ランク

シナリオクリア時には、総合的な成績に基づいて達成ランクが評価されます。「領土」（保有数）、「時間」（クリア所要年月）、「勝率」（戦闘での勝利割合）、「配下」（保有武将数）、「手戻」（「一手戻る」コマンドの使用頻度）、そして「統治」（領地の統治度）といった項目が評価の対象となります。良い成績を収めることで、皇帝、大師、大司馬、太尉などの高い称号を得ることができます。特に上位の称号を獲得すると、隠し武将が使用可能になる特典があります。ちなみに、本作には直前の行動を取り消せる「一手戻る」コマンドが実装されています。

関連作品

『三国志年代記』の世界観を基にした派生作品や関連作も存在します。

麻雀遊戯〜三国志年代記〜

2005年2月1日にVアプリ向けに発売された『麻雀遊戯〜三国志年代記〜』は、歴史シミュレーションではなく、二人打ちの麻雀ゲームです。プレイヤーは関羽、張飛、孔明の中から一人を選び、麻雀で対局するというユニークな内容でした。

横山光輝 三国志年代記

2007年10月17日にはiアプリ・S!アプリ版が、2008年3月13日にはEZアプリ版が発売されたのが、『横山光輝 三国志年代記』です。本作は、前作『三国志年代記』のゲームシステムをベースに、漫画家・横山光輝氏の代表作『三国志』を原作とするアニメ『横山光輝 三国志』の世界観を取り入れています。

主な変更点と追加要素

世界観: 横山光輝氏のアニメ版『三国志』の設定が加えられており、特定の条件を満たすと「桃園の誓い」といった名場面がイベントとして再現される要素があります。
システム: 前作にあった「一手戻り」コマンドは廃止されました。また、セーブ＆ロードを繰り返して有利な結果を得る、いわゆる「リセット技」も対策されており、プレイヤーは一つ一つの行動により慎重さが求められるようになりました。

部隊（横山光輝版）

登場武将数は156名に増加しました。基本パラメータには前作の項目に加え、「戦力」と「兵科」が新たに追加されています。劉備、曹操、五虎将など、物語の中心となる一部の武将には、横山光輝氏が描いた特徴的なイラストが表示されます。

戦力: 部隊の耐久力を示すパラメータとなりました。
武力: 戦闘における攻撃力。
知力: 領地の統治度上昇率に影響するほか、一部の武将はこの数値で戦闘を行う特殊能力を持ちます。
忠誠度: 捕虜となった武将の帰還・捕獲判定に影響。
能力: 特定条件での戦闘力上昇など。
兵科: 歩兵隊、騎馬隊、弓兵隊の3種類があり、それぞれがジャンケンのような三すくみの相性関係（歩兵＞騎馬＞弓兵＞歩兵）を持ち、戦闘に影響を与えます。

部隊の種類は前作と同様ですが、君主は兵科を持ちません（捕虜にして配下にした場合は兵科を持つことがあります）。「部隊」は戦闘で勝利を重ねることで「精鋭兵」に進化し、兵科や能力（ランダム付与）を得ることがあります。「精鋭兵」は初期パラメータが高く、兵科と能力を持ちますが、前作と比較すると能力の上昇幅は控えめに設定されています。

シナリオ構成（横山光輝版）

こちらもシナリオ1からシナリオ5まで存在し、年代順に難易度が上昇します。

シナリオ1【190年 反董卓連合】: 初級者向け。曹操、劉備、孫堅、馬騰、袁紹、袁術が選択可能。
シナリオ2【196年 群雄割拠】: 中級者向け。曹操、劉備、孫策、呂布、馬騰、劉璋、袁紹、袁術、劉表、公孫瓚が選択可能。
シナリオ3【208年 赤壁の戦い】: 上級者向け。曹操、劉備、孫権、馬騰、劉璋が選択可能。
シナリオ4【219年 三国鼎立】: 超上級者向け。曹操、劉備、孫権が選択可能。
シナリオ5【???年 英雄集結】: 超上級者向けフリーシナリオ。全ての君主、配下を自由に選択可能。

戦闘システム（横山光輝版）

戦闘判定は引き続きルーレットですが、難易度によっては伏せられた数字カードで判定されるようになり、目押しが不可能になる場合があります。戦闘の目的も、武力比較から「武力を用いて相手の戦力を削る」形式に変更されました。また、新たに伏兵や伏兵看破といった戦略要素が加わり、侵攻時の駆け引きがより深まっています。

領地・達成ランク（横山光輝版）

領地の概念は前作と同様ですが、一度領有した領地は部隊を配置しなくても領有状態が維持されるようになりました。達成ランクの概念も引き継がれていますが、称号の種類が一部変更され、大将軍や州牧といった称号が追加されています。上位称号による隠し武将解禁の要素も健在です。一手戻りコマンドが廃止されたため、この項目に関する評価はなくなりました。

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