三太夫 (行司)

三太夫（さんだゆう）

三太夫は、大相撲における行司の名跡で、具体的には式守与太夫、式守勘太夫、式守錦太夫という三つの名前を指します。これらは元々伊勢ノ海部屋に起源を持ち、明治30年代までその部屋や分家の行司によってのみ名乗られていました。

概要

三太夫は最高位の立行司である木村庄之助や式守伊之助に次ぐ、由緒ある名跡として知られています。幕内格以上の行司がこの名跡を襲名することが通例ですが、明文化された規則は存在していません。

特に大正時代後期には、5代目の式守与太夫、3代目の式守勘太夫、3代目の式守錦太夫がそれぞれ三役格の行司として在位したことから、「名行司三太夫」と称されることもありました。現在では、行司の名跡が「～太夫」という形で襲名されるのは、式守家に属するこの三つの名跡のみに限られています。

歴史を振り返ると、一時は木村家でも「～太夫」の名を持つ行司が存在しました。例えば、木村錦太夫（後の22代木村庄之助）や、宝暦時代の木村茂太夫、木村庄太夫などがその例です。しかし現在、木村家ではこの形の名跡は受け継がれていない状態です。

各名跡の詳細

式守与太夫（しきもり よだゆう）

8代目式守錦之助が2009年1月場所に幕内格に昇進し、12代目の与太夫を襲名しました。与太夫の名は、特に式守伊之助への出世名として重要視され、歴代の与太夫の中には与太夫から伊之助に昇格している者も多数います。

主に時津風一門や立浪一門の部屋に所属する行司たちがこの名を名乗る傾向にあり、かつては錦太夫を名乗ってから与太夫を襲名する行司も見受けられましたが、現在は与太夫を直接名乗るケースが一般的です。11代与太夫は、三役格に在位していた期間が極めて短いことでも知られています。残念ながら、現在ではこの名跡は空き名跡の状態です。

式守勘太夫（しきもり かんだゆう）

勘太夫は、主に時津風一門または立浪一門に属する行司が名乗る名跡です。この名跡は、一部の代を除いて、2代目から勘太夫まで、式守與之吉を経て襲名されています。旧・伊勢ヶ濱部屋が消滅したことにより、名跡の存続が注目されていますが、2012年1月からは高田川部屋に所属する木村和一郎が11代勘太夫を襲名しました。現在、最も新しい歴代行司としては12代勘太夫が存在します。

式守錦太夫（しきもり きんだゆう）

2024年1月時点では12代目の式守錦太夫が存在し、主に二所ノ関一門や出羽海一門に所属する行司が名乗ります。過去には、初代から4代目、そして7代の歴代錦太夫の中から与太夫に昇進した者もいますが、最近の流れではそのまま錦太夫を名乗ることが一般的になっています。現在、これら三つの名跡は依然として、式守家からの強い伝統を保持しています。

まとめ

三太夫という名跡は、大相撲における行司の重要な位置を占めており、それぞれの名跡には深い歴史と伝統があります。行司という職業の特性上、その名跡をどのように維持し、世代交代をしていくのかが、今後の相撲界においても注目されます。

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