三徳山

三徳山（みとくさん）

三徳山は、鳥取県東伯郡三朝町に所在する標高899.6メートルの山で、706年には修験道の聖地として定められた歴史があります。この山の名前は、蔵王権現、子守権現、勝手権現という三所の神々が祀られており、そこから「福徳」「智徳」「寿徳」の贈り物が得られることに由来しています。また、「法身」「般若」「解脱」の三つの徳も背景にあります。

山麓には、国宝である投入堂を持つ三徳山三仏寺（天台宗）があり、全域がこの寺の境内に含まれています。特に投入堂は、山の中腹の断崖に建てられた珍しい建物であり、その独特な構造は多くの人々に感嘆を与えています。この地域全体は国の名勝及び史跡として指定されており、世界遺産としての認定も試みられていますが、現在も継続審議中です。2014年には300ヘクタールの区域が大山隠岐国立公園に編入され、2015年には「三徳山・三朝温泉」が日本遺産の第一号として認定されました。さらに、三徳山のマスコットキャラクター「みとちゃん」も親しまれています。

成因と地質

三徳山は、約130万年前に形成された新生代第三紀の火山で、地質は花崗岩や凝灰角礫岩から成っています。長年にわたる風雨の浸食で山体は特徴的な形状を呈し、頂上付近から標高600メートルまでは原地形が保持されています。また、南側には険しい断崖が形成されており、三仏寺の堂宇もこれらの凝灰角礫岩層の上に位置しています。

特に投入堂の建設は、天然の断崖を巧みに利用したもので、その構造は評価されています。安山岩には柱状節理が見られ、火山活動の遺物を確認できます。三徳山には垢離取川を含むいくつかの川が流れ、滝も点在していますが、深い森に囲まれているため訪れることは容易ではありません。

自然環境

三徳山には登山道が一つだけ存在し、全山が手つかずの原生林に覆われています。このため、珍しい植物が多く見られ、寒暖両方向の植物が混在しています。山の植生は魅力的で、標高に応じて異なる樹木が見られます。特に文殊堂の近くではブナの大木が目立ち、さらに上の投入堂付近ではアカマツやアカガシなどが生育しています。興味深い点は、通常は標高の低い場所に存在する樹種が、高い場所に生育していることです。これは、周囲の谷からの冷気の影響によるものと考えられています。

また、三徳山ではカワガラスやキセキレイといった鳥類が観察され、様々な虫や陸貝も多く見受けられますが、詳細な研究は十分には行われていません。

登山情報

三徳山の登山口は三仏寺本堂の裏手に位置し、投入堂への道は約900メートル、標高差は約200メートルあります。ただし、山頂にはアクセスできません。入山には利用料金が必要で、危険な箇所が多く存在するため、注意が必要です。実際に滑落事故が発生したこともあり、登山を計画される方は十分な注意を払いながら楽しむことが重要です。

これらの特色から、三徳山は自然愛好者や歴史に興味を持つ人々にとって、訪れる価値のある場所となっています。

もう一度検索