三神峯遺跡

三神峯遺跡：縄文と古墳の記憶が眠る場所

宮城県仙台市太白区三神峯一丁目に位置する三神峯遺跡は、縄文時代前期から古墳時代にかけての複合遺跡です。三神峯という名の台地上に存在し、縄文時代の集落跡と、そこから出土する豊富な遺物が特徴です。現在では三神峯公園として整備されていますが、その地下には古代の記憶が静かに眠っています。

立地と周辺の遺跡群

三神峯は、名取川の北約2キロメートルに位置する台地状の丘です。東西に長く、南と東は仙台平野に面し、背後には丘陵地が広がります。この地は、南麓を笹谷街道が走り、交通の要衝でもありました。

遺跡の北西には、芦ノ口遺跡という縄文時代以降の遺跡が隣接しています。また、古墳時代には、台地の西に三神峯古墳群が築かれ、南麓には富沢窯跡、東斜面には金山窯跡が置かれました。北東の斜面には土手内横穴墓群という横穴墓も存在し、この地域が古くから人々の生活の場であったことを物語っています。

遺構と出土品

三神峯遺跡からは、広範囲にわたって遺物が散布しており、その発掘調査はまだ一部に留まっています。北東部では、縄文時代前期初頭の竪穴建物跡が複数検出され、この時代の遺物が多く見つかっています。北西部では、前期末葉の土器が多数発見されており、縄文時代前期には大規模な集落が存在したと推定されています。

遺構がない地点からも、遺物包含層から多量の縄文土器や石器、土偶、獣骨、クルミなどの炭化物が出土しています。出土する縄文土器は、素山Ⅱ式から大木7式までの、縄文時代早期後葉から中期初頭のものとされています。石器は、石鏃、石槍、石匙、石箆などが発見されており、素材としてはチャート（珪質頁岩）が主に使用されています。また、石斧、石皿、磨石、凹石などの礫石器も出土しています。

わずかながら、須恵器や土師器も発見されており、この地が時代を超えて利用されていたことが分かります。

発掘の歴史

三神峯遺跡の発見は古く、1922年には、山中樵が収集した玦状耳飾が「三神崎遺跡」出土として紹介されました。その後、1929年には山内清男が、三神峯遺跡で採集された土器に繊維土器が含まれていることを報告し、1930年には松本彦七郎が、収集資料について「大木式」の範疇で捉えられるとしました。

戦後の1950年には、伊東信雄が『仙台市史』で、三神峯遺跡を「仙台市内における最も古い遺跡」として紹介しました。

林謙作による小発掘調査

1959年には、林謙作が三神峯遺跡の小発掘調査を行いました。林は、船入島貝塚の資料を再整理し、層位的に「大木Ⅰ式の包含層－三神峯Ⅲ層的な包含層－桂島式的な包含層－上川名Ⅱ式」から成り立ち、従来の編年の間に「（仮称）三神峯Ⅲ層式―桂島式」が存在するとしました。しかし、この調査の原資料データは公表されず、具体性に乏しいものでした。

第1次発掘調査

1967年、仙台市の公園整備事業の一環として、宮城教育大学日本史研究会が発掘調査を行いました。この調査では、縄文土器4337点、石鏃63点、石槍6点、石匙41点、石箆10点、磨製石斧6点、石皿1点、磨石82点、凹石24点など、多数の遺物が発見されました。

この調査の結果、土器は「上川名Ⅱ式」のバリエーション、「大木I式以前の縄文前期初頭の土器」、「大木1式土器」、「大木2a式」と分類されました。

その後の再検討

1990年には、相原淳一が発掘調査資料をもとに再検討を行い、「三神峯遺跡第Ⅲ層土器」は、「大木1式」直前の「上川名式」土器の中でも最も新しい部分に位置づけられるとしました。

第6次発掘調査

2008年には、公園入り口整備に伴う発掘調査が実施されました。この調査では、土坑21とピット67が調査され、139の性格不明遺構が残されました。性格不明遺構のうち1つは、土器片116、土偶1、石器10を伴い、大木6式の頃の竪穴建物の可能性を示唆しています。

この調査で、縄文時代の土器と石器を中心に1万8933点の遺物が発見され、土製耳飾、土器片錘、土製円盤、板状土偶の破片なども見つかりました。また、8、9世紀の須恵器も出土しています。

まとめ

三神峯遺跡は、縄文時代から古墳時代にかけての複合遺跡であり、この地域の歴史を深く知る上で貴重な場所です。遺跡の上に作られた三神峯公園は、市民の憩いの場として親しまれていますが、その足元には古代の人々の生活の痕跡が確かに存在しています。訪れる際には、この地に眠る歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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