三船山合戦

三船山合戦 (みふねやまかっせん)

三船山合戦は、1567年9月25日（永禄10年8月23日）に上総国君津郡の三船台で勃発した戦いで、里見義弘と北条氏政の間に交わされた合戦です。この戦闘は、戦国時代の激しい勢力争いの一環として位置づけられています。

背景

合戦の前、里見氏は第二次国府台合戦で北条氏に大きな敗北を喫しました。この結果、北条氏は里見氏の領地である上総北部及び西部を占領し、特に東部においては、里見軍の重臣であった正木時忠と土岐為頼を取り込むことに成功しました。また、北条氏は里見義弘の居城である佐貫城を奪うため、三船山の山麓に砦を設けることを決定しました。この砦の構築には北条家の当主である氏政自らが指揮を執りました。

見抜いた義弘は、砦が完成すれば佐貫城に危機が迫ると判断し、北条軍に攻撃を仕掛けることを決意しました。

戦闘の展開

北条氏政はサポートとして太田氏資を引き連れ、江戸湾を渡って佐貫城の攻撃を敢行しました。彼の弟である北条氏照は原胤貞と共に別動隊を編成し、市原郡を目指して久留里城を狙いました。一方、北条綱成は水軍を率いて三浦半島から安房に進攻しました。

しかし、義弘は正木憲時と共に佐貫城を出発し、三船台に集結した北条軍に対抗しました。この激闘で里見軍は北条軍を撃破し、戦局を有利に進めます。特にこの戦いでは、太田氏資が少数の部隊を率いて殿軍を務め、多くの重臣たちが戦死する事態となりました。

また、北条・里見両軍の水軍間でも激しい戦闘が行われ、里見軍が優勢となったことから北条軍は逃げる道を選び、全軍を相模国へと撤退しました。

合戦の影響

この勝利により、里見義弘は北条方に転ずる国人たちを効果的に引き戻し、更には房総地域への進攻に成功しました。彼の率いる里見氏の影響力は増大し、真里谷領は再び里見氏の手に落ちました。また、正木時忠は北条氏の支援が得られなくなり、最終的には約1年後に里見氏に帰参することになります。

さらに、かつて北条氏と和睦した常陸の佐竹氏も、再び上杉氏との同盟を結びました。この敗北は北条氏にとって大きな打撃となり、特にその年の末には武田氏との同盟が破綻し、形勢を転換せざるを得なくなりました。

里見氏の勝利は、武田氏との甲房同盟締結にも影響を与えました。この戦いでの優位性は、北条氏が再度の侵攻を本格化させる天正3年（1575年）頃まで持続しました。

参考文献

• - 川名登 編『すべてわかる戦国大名里見氏の歴史』国書刊行会、2000年。
• - 千野原靖方『新編房総戦国史』崙書房出版、2000年。
• - 滝川恒昭 著「北条氏の房総侵攻と三船山合戦」、千葉城郭研究会編『城郭と中世の東国』高志書院、2005年。
• - 黒田基樹『戦国の房総と北条氏』岩田書院、2008年。

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