上官桀

上官桀（じょうかん けつ）

上官桀は、前漢時代の武将であり、字は少叔と称しました。隴西郡上邽県（現在の甘粛省一帯）の出身で、上官安の父にあたります。

生涯

若くして羽林期門郎となった上官桀は、武帝に才能を見出され重用されます。武帝が外出する際、天蓋を持たせたところ、風が吹いても決して手放さなかったため、武帝の目に留まり、未央厩令に抜擢されました。

武帝の体調が優れない時期に、上官桀が厩の馬を視察した際、馬が痩せていることを武帝に指摘され叱責を受けました。その際、上官桀は「陛下の体調がご心配で、馬にまで気が回らなかった」と涙ながらに答えたため、武帝は彼の忠誠心に感銘を受け、側近として侍中に取り立てました。

太初元年（紀元前104年）、捜粟都尉であった上官桀は、李広利による大宛遠征に従軍し、別働隊を率いて郁成を攻略する功績を挙げました。

『漢書』百官公卿表によれば、太初3年（紀元前102年）に捜粟都尉の上官桀が少府に任じられましたが、高齢を理由に免職されたとされています。しかし、その後も上官桀は引退することなく活躍しているため、『漢書』の注釈者である顔師古は、この記述は別人であるか、あるいは誤りであると指摘しています。

紀元前88年（後元2年）、太僕と左将軍を兼務し、霍光らと共に武帝の遺詔を受け、幼い昭帝を補佐する役割を担いました。

昭帝の時代には、霍光、金日磾と共に権力を掌握し、霍光が休暇を取る際には、代わりに政務を執り行いました。即位当初、北辺で匈奴が不穏な動きを見せたため、兵を率いて北辺を巡察し、警戒に当たりました。また、反乱者の馬通を討伐した功績により、安陽侯に封ぜられました。

上官桀の子である上官安は、霍光の娘と結婚しており、その間に生まれた娘は、昭帝の姉である鄂邑公主の取り計らいにより後宮に入り、皇后となりました（上官皇后）。しかし、霍光はこの縁組に反対していました。さらに、皇后の父となった上官安の乱行が目立つようになり、また、鄂邑公主が愛人であり、上官桀の友人でもあった丁外人を列侯に取り立てるよう要求しましたが、霍光が反対したため、上官桀と霍光の関係は次第に対立を深めていきました。

紀元前80年（元鳳元年）、上官桀は、昭帝の兄であり帝位を狙っていた燕王劉旦や、御史大夫桑弘羊と結託し、霍光を排除しようと企てました。霍光が不在の隙を狙い、燕王の名において霍光を弾劾する上奏を昭帝に裁可させようとしましたが、昭帝に見破られ失敗に終わりました。逆に霍光によって一網打尽にされ、霍光の孫でもある上官皇后以外の家族は処刑されるという悲劇的な結末を迎えました。

参考文献

班固著、『漢書』。
中央研究院・歴史語言研究所「漢籍電子文献資料庫」。
* 小竹武夫訳『漢書』1から8、筑摩書房、ちくま学芸文庫、1998年。

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