上甑町瀬上

上甑町瀬上

上甑町瀬上（かみこしきちょうせがみ）は、鹿児島県薩摩川内市に位置する地域です。かつては上甑村に属していましたが、市町村合併を経て現在の形となりました。甑島列島の一部である上甑島の北端に位置し、豊かな自然と歴史を持つ場所として知られています。

地理

瀬上は、上甑島の北部に位置しており、東シナ海と浦内湾に面しています。浦内湾は波静かな良港であり、真珠養殖も行われています。地域内には潟湖であるなまこ池があり、独特の景観を形成しています。また、字域の中央部には瀬上郵便局が所在し、地域住民の生活を支えています。

主要な道路としては、鹿児島県道348号桑之浦里港線と鹿児島県道352号瀬上里線が地域内を通り、交通の要となっています。

主な地形

なまこ池：潟湖であり、独特の生態系を育んでいます。
大蔵岳：標高254.7mの山で、地域のシンボルの一つです。
天狗山：標高229mの山で、ハイキングコースとしても親しまれています。

地名の由来

「瀬上」という地名の由来は明確にはわかっていませんが、甑島の他の地域の同様の地名から類推して、神聖な瀬があった場所ではないかと考えられています。

歴史

江戸時代

江戸時代には薩摩藩の領地であり、甑島郡甑島郷の一部でした。当時の記録によると、村高は56石余から81石余であったとされています。伊能忠敬の記録によれば、瀬上村には127の家があったとされています。

瀬上では、なまこ池のナマコや盆山石が採取され、ナマコは将軍に献上されていました。また、篤姫が徳川家に嫁ぐ際に献上された硯には、瀬上で産出された盆山石が使われていたとされています。

明治時代以降

1889年の町村制施行により、瀬上村は上甑村の一部となり、上甑村大字瀬上となりました。その後、2004年の市町村合併により、薩摩川内市の一部となり、大字名が「上甑町瀬上」に改称されました。

自然保護

瀬上は、2015年に甑島列島が「甑島国定公園」に指定されたことで、その大部分が国定公園区域に含まれることになりました。さらに、一部は特別地域に、海域の一部は海域公園地区に指定されています。

「甑島長目の浜及び潟湖群の植物群落」は、国の天然記念物に指定されており、文化財保護法によって保護されています。また、なまこ池周辺は「長目の浜準景観地区」に指定されており、一定規模以上の開発には薩摩川内市の許可が必要です。

施設

公共施設

薩摩川内市上甑浦内出張診療所
瀬上郵便局

教育施設

かつては薩摩川内市立浦内小学校がありましたが、2008年に閉校し、現在は薩摩川内市立中津小学校に統合されています。小学校は明治10年頃に設置され、1901年に周辺の小学校と合併して浦内小学校となりました。その後、戦時中の空襲で校舎が全焼しましたが、復興を経て2008年に閉校しました。

交通

道路

鹿児島県道348号桑之浦里港線
鹿児島県道352号瀬上里線

バス

甑島コミュニティバス「甑かのこゆりバス」が運行されており、地域内には複数のバス停が設置されています。

人口

2020年10月1日現在、瀬上の人口は119人、世帯数は70世帯です。小地域集計が開始された1995年以降、人口は減少傾向にあります。

まとめ

上甑町瀬上は、自然と歴史が豊かな地域です。国定公園に指定された美しい景観を持ち、独自の文化を育んできました。地域住民は自然と共存しながら生活を営んでおり、この地域ならではの魅力を守り続けています。

参考資料

角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
上甑村郷土誌編集委員会『上甑村郷土誌』
橋口兼古, 五代秀堯, 橋口兼柄 著、島津久光 編『三国名勝図会』

関連項目

甑島列島

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