上越信号場

上越信号場：北海道の秘境に佇む、標高634mの高地信号場

北海道上川郡上川町に位置する上越信号場は、北海道旅客鉄道（JR北海道）石北本線に属する信号場です。石北トンネル内に位置する石北本線の最高地点（標高644m）に近い、標高634mという北海道内現存駅で最も高い地点に位置しており、その独特な環境から多くの注目を集めています。電報略号は「ミコ」、事務管理コードは▲122511です。

歴史：駅として開業、そして信号場へ

上越信号場は、1932年（昭和7年）10月1日、石北線の中越駅～白滝駅間の延伸開業に伴い、「上越駅」として開業しました。当初は一般駅として旅客や貨物の取扱いを開始しましたが、時代の流れとともに変化を遂げます。1960年（昭和35年）9月15日には貨物取扱いを廃止、そして1975年（昭和50年）12月25日には旅客・荷物取扱いが廃止され、現在の「上越信号場」となりました。

興味深いのは、旅客・荷物取扱いの廃止後も、しばらく仮乗降場として旅客を扱っていたという点です。宮脇俊三氏の著書『時刻表2万キロ』にも、廃止後の上越信号場に列車が停車する様子が描写されていることから、その歴史の一端を感じ取ることができます。1983年（昭和58年）1月11日には、仮乗降場としての旅客扱いも終了したと推測されています。国鉄分割民営化後の1987年（昭和62年）4月1日には、JR北海道に継承されました。

名前の由来：峠の頂上に近い位置

上越という地名は、隣接する「中越」よりも峠の頂上に近い上流側に位置することから名付けられました。現在の「上越」と「中越」は、1938年（昭和13年）の字名改正以前は「茅刈別」という一つの字名でしたが、この改正によって分割され、現在の地名が定着しました。

構造：列車交換可能な2線構造

上越信号場は2本の線路を持ち、列車の交換が可能です。それぞれの線路には両方向に出発信号機が設置されており、同方向に向かう列車同士の追い抜きも可能な構造となっています。さらに、網走方側には側線が1本設置され、その分岐器はスノーシェルターで覆われています。厳しい北海道の気候に対応した、実用的な構造となっています。

利用状況：行楽やスキー客でにぎわう季節もあった

上越信号場は、周辺の自然環境を利用した観光客によって利用されていました。夏季には浮島峠への行楽や山菜採り、冬季にはチトカニウシ山のスキー場（信号場から約6km）へのスキー登山客でにぎわった時期もありました。特に、チトカニウシ山へのスキー列車は、旭川鉄道管理局の年中行事として数えられていたほどです。

周辺環境：大自然に囲まれた秘境

上越信号場は、北見峠（石北トンネル）の上川側の途中に位置し、留辺志部川と山々に囲まれた自然豊かな環境にあります。周辺には国道333号や旭川紋別自動車道浮島インターチェンジがあり、アクセスの便は比較的良いと言えるでしょう。しかしながら、信号場周辺は道路、川、森林が主で、人の手がほとんど加えられていない、まさに秘境と言える環境が広がっています。

隣の駅

上川駅と白滝駅の中間に位置し、周辺には中越信号場、奥白滝信号場があります。これらの駅・信号場と合わせて、石北本線の厳しい自然環境と、鉄道の歴史を感じさせてくれるエリアとなっています。

上越信号場は、その歴史、地理的条件、そして周辺の自然環境が織りなす独特の魅力を持つ、北海道を代表する信号場と言えるでしょう。

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