上野信孝

上野信孝について

上野信孝は、戦国時代の武将であり、室町幕府の奉公衆として活躍しました。彼は備中国鬼邑山城の城主であり、その出自は河内源氏の流れを汲む足利氏の支流に遡ります。上野氏は、足利将軍家に近しい家柄であり、その祖先には各地の守護を務めた武将もいましたが、家柄が世襲化するまでには至らず、代々御供衆や四番衆番頭を歴任しました。

足利義稙への仕官

『陰徳太平記』によると、明応2年（1493年）に10代将軍足利義稙が従弟の足利義澄によって将軍職を追われた後、永正5年（1508年）に再び将軍として返り咲きました。翌永正6年（1509年）、義稙は近臣であった信孝を備中鬼邑山城に封じ、二階堂政行や伊勢貞信も近隣の城に封じて、西国における義稙方勢力の形成を図ったとされています。さらに、信孝は鬼邑山城に上野一門の高直を配置し、隣接する馬入堂山城には一族の白神果春を城主として迎えました。また、頼久を備中松山城に封じた後、自らは帰洛し、再び幕府に近侍したと伝えられています。ただし、信孝が足利義稙に仕えたとする資料は、軍記物以外には確認されていません。

足利義晴・義輝への仕官

『佐々木少弼御成申献立』や『天文八年佐々木亭御成記』、『言継卿記』などの史料には、信孝が足利義稙と対立した足利義晴や足利義輝に仕えていたことが記録されています。山科言継は、天文22年（1552年）に発生した義輝と三好長慶の争いの一因として、信孝ら反三好派の「悪行」があったとしています。同年の2月には、伊勢貞孝が信孝ら側近の排除を義輝に諫言しています。木下昌規は、信孝を進士晴舎と並ぶ義輝側近の代表格と評価し、度重なる義晴・義輝の近江動座に随行したことが、義輝やその生母である慶寿院からの信頼を得る要因となったと推測しています。

晩年と影響

信孝は永禄6年（1563年）4月29日に亡くなりました。彼が義輝に取り立てられた側近であったことが、古くからの重臣や三好氏との対立を招き、後の永禄の変の一因になったとも考えられています。このように、上野信孝は室町幕府の変遷期において、足利将軍家を支え、その政治に深く関わった人物でした。

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