下甑町片野浦

下甑町片野浦

下甑町片野浦（しもこしきちょうかたのうら）は、鹿児島県薩摩川内市に属する地域で、甑島列島を構成する下甑島の南西部に位置します。この地域は、その地理的特性から、11月から2月にかけて東シナ海からの強い季節風の影響を受け、独特の景観を作り出しています。

地理

下甑島南西部に位置し、北に下甑町瀬々野浦、南に下甑町手打、東に下甑町青瀬と隣接しています。西側は東シナ海に面しており、岡地区と浜田地区の二つの主要な集落に分かれています。

岡地区: 盆地の中に形成された集落で、比較的内陸に位置しています。
浜田地区: 海に面した漁港を中心に発展した集落です。かつては、台風並みの強風が吹く季節風から家屋を守るため、高い塀が築かれていました。当初は大名竹が使われていましたが、現在ではブロック塀が主流です。

自然と保護

片野浦は、その大部分が甑島国定公園の一部であり、豊かな自然が保護されています。特に、海岸地域は「下甑島西海岸海域公園地区」に指定されており、海洋生物の多様性を保全する重要な場所となっています。

山岳

口岳 (標高487.3 m)
谷山 (標高445.7 m)
ひょうたん岳 (標高364.5 m)

島嶼・岩礁

飛瀬など、特徴的な地形が見られます。

河川

浜田川: 浜田地区を流れ、冬には季節風の通り道となる川です。

小字

片野浦には、「上町」「下町」「千田」など、多数の小字が存在します。これらの小字は、地域ごとの歴史や文化を反映しています。

歴史

前史時代

田ノ浦付近では縄文時代早期の土器が発見されており、約9000年前から人が居住していたことがわかっています。長い歴史を持つ地域です。

近世

江戸時代には片之浦村として記録されており、伊能忠敬の記録によると、当時155戸の家があったとされています。また、一部地域では、キリスト教と真宗の影響を受けた「クロ教」と呼ばれる土着宗教が信仰されていたと伝えられています。

近代・現代

1889年の町村制施行により、下甑村の一部となり、その後、2004年の合併で薩摩川内市の一部となりました。1898年には大火、1945年には台風による土石流と浸水被害に見舞われました。また、1952年には一部の住民が本土へ移住し、開拓に従事しました。

文化財

甑島のトシドン

片野浦には、「甑島のトシドン」という重要な無形文化遺産があります。これは、毎年大晦日に行われる伝統行事で、鬼の面を被った来訪神が家々を訪れ、人々の健康や幸福を願うものです。この行事は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されており、地域の誇りとなっています。

施設

公共施設

子岳地区コミュニティセンター
下甑子岳へき地保健福祉館
下甑片野浦出張診療所
浜田公園
片野浦岡公園
一里橋公園

寺社

蛭子神社：片野浦の氏神であり、創建時期は不明ですが、古い歴史を持つ神社です。
乙御子神社
岡寺
浜田寺

人口

1995年以降、人口は減少傾向にあります。

教育

かつては小学校と中学校がありましたが、現在はどちらも閉校しています。そのため、中学校卒業後は、多くの生徒が島外の高校へ進学します。

交通

かつては海上交通が主な移動手段でしたが、昭和30年代に道路が整備されました。現在では、手打と片野浦を結ぶ県道が整備されており、コミュニティバスも運行しています。

道路

鹿児島県道350号長浜手打港線

バス

甑かのこゆりバス（手打・片野浦線）


片野浦は、歴史と自然が調和した美しい地域です。その独特の景観と文化は、訪れる人々を魅了し続けています。

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