下甑町青瀬

鹿児島県薩摩川内市下甑町青瀬の詳細解説

概要

下甑町青瀬（しもこしきちょうあおせ）は、鹿児島県薩摩川内市に属する、甑島列島の下甑島中部に位置する集落です。かつては下甑村の大字として存在していましたが、市町村合併により現在の地名となりました。集落は海岸沿いに形成されており、美しい自然と歴史的な背景が共存する場所です。人口は139人、93世帯（2020年10月1日現在）と小規模ながらも、地域独自の文化と生活が息づいています。

地理

位置

青瀬は下甑島の中央部に位置し、東シナ海に面しています。西には青潮岳などの山々が連なり、北には下甑町長浜、南には下甑町手打と隣接しています。海岸線沿いに平地が広がり、集落が形成されています。

集落

主な集落としては、瀬尾、南、町、堂之下、向井などがあります。これらの集落は青瀬海岸の平地に集中しており、住民の生活基盤となっています。

青瀬海岸

青瀬海岸は白砂が美しい海水浴場としても知られ、夏にはウミガメの産卵が見られる場所として有名です。自然の豊かな環境が保たれており、多くの人々が訪れます。

自然保護地区

青瀬の南部は、甑島列島全体が指定されている「甑島国定公園」の一部です。2015年3月には、その一部が特別地域に指定され、自然保護に対する意識が高められています。

山岳

青瀬周辺には以下の山々があります。

青潮岳 - 標高510.2m
口岳 - 標高487.3m

島嶼・岩礁

トガリ瀬

小字

「角川日本地名大辞典」によると、青瀬には多数の小字が存在します。

池平、瀬尾、松原、観音道、金山、本越道、本越、日彰、ヒコツル、瀬尾川内、一里橋、以田尾、白浜向、高林、山二田、諸麦、瀬々野浦道、大林、黒二田、大桑木、大平、臼木、横氏、川内、石田尾、山口、田畑、田平、南、町、向井、中次、新田、外薗、古里、水洗、小川道下、小川、平床、牛道、生石、赤坂、新九、深入、中ノ田、平田、横手、堂農、大横手、風呂前田、大通、浜田、金兵衛、後田、小森、後ノ迫、白坂、四無、高尾、穴田、瀬戸田、七十地、長畠、焼原

歴史

近世

青瀬の地名は江戸時代から存在し、薩摩国甑島郡甑島郷の一部でした。元禄国絵図には下甑村の一部として記載されています。当時の村高は、「旧高旧領取調帳」によると322石余、「三州御治世要覧」によると250石余でした。

伊能忠敬の記録には、青瀬村の家数が216軒とあり、瀬尾には人家が3～4軒、漁小屋が12～13軒あったとされています。また、『三国名勝図会』には瀬尾瀑布に関する記述があります。

町村制施行以後

1889年の町村制施行により、周辺の村と合併して下甑村となり、青瀬は下甑村の大字となりました。その後、1890年には「第四区」が設置され、青瀬一帯がその区域となりました。

1947年には下甑村役場第四出張所が青瀬に置かれ、後に青瀬出張所に改称されました。1952年には村役場の移転が協議されましたが、最終的には青瀬に支所を設置することで決着しました。青瀬支所は1986年に廃止されました。

2004年には下甑村が周辺の市町村と合併し、薩摩川内市が誕生しました。それに伴い、青瀬は大字「下甑町青瀬」と改称されました。

文化財

国指定

甑島のトシドン：下甑島に伝わる伝統行事で、1977年に重要無形民俗文化財に指定され、2009年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。青瀬地区には「青瀬トシドン保存会」があり、この文化を継承しています。
ヘゴ自生北限地帯：熱帯・亜熱帯に自生するシダ植物ヘゴの自生北限地として、1926年に天然記念物に指定されています。

市指定

青瀬ヤンハ（無形民俗文化財）
網持ちばやし（無形民俗文化財）
江崎鼻祈願銘文（史跡）
瀬尾瀑布（名勝）

施設

公共施設

青瀬地区コミュニティセンター
下甑葬祭場
薩摩川内市下甑青瀬診療所
薩摩川内市下甑歯科診療所
下甑クリーンセンター
観音三滝公園（キャンプ場を併設）

教育施設

薩摩川内市立海星中学校
かのこ幼稚園
下甑学校給食センター

郵便局

青瀬郵便局

寺社

青潮神社
宝海寺（真宗大谷派）

人口

1995年以降、小地域集計が開始されてからの人口推移データがあります。

教育

中学校

青瀬には「薩摩川内市立海星中学校」があります。かつては「下甑村立青瀬中学校」がありました。下甑島内の中学校が統合され、現在は下甑島全域が海星中学校の通学区域となっています。

小学校

かつては「薩摩川内市立青瀬小学校」がありましたが、2012年に長浜小学校に統合され閉校しました。

幼稚園

「かのこ幼稚園」は、かつて青瀬小学校の付属幼稚園でしたが、長浜小学校附属幼稚園や鹿島幼稚園と統合されました。現在は青瀬小学校跡地に移転し、分園を設置しています。

交通

道路

鹿児島県道349号手打藺牟田港線が主要道路として整備されています。1972年に青瀬から手打までの区間が開通しました。

バス

甑島コミュニティバス「甑かのこゆりバス」が運行しており、青瀬地区には複数のバス停があります。

瀬尾
青瀬郵便局前
青瀬橋
海星中学校前
処理場前

まとめ

下甑町青瀬は、美しい自然と豊かな歴史、独自の文化が共存する魅力的な地域です。ウミガメが産卵する海岸や、国定公園、伝統文化の継承など、様々な要素が組み合わさっています。島の中央に位置しながらも、静かで穏やかな時間が流れるこの場所は、訪れる人々に癒しと安らぎを提供してくれるでしょう。

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