下総国分寺

下総国分寺

下総国分寺は、千葉県市川市にある真言宗豊山派の寺院で、国分山と号します。本尊は薬師如来です。奈良時代に聖武天皇の詔によって日本各地に建立された国分寺の一つ、下総国分寺の後継寺院にあたります。

本項では、現存する寺院とともに、創建当時の史跡である下総国分寺跡と下総国分尼寺跡（いずれも国の史跡）についても解説します。

概要

下総国分寺は、市川市北西部の国府台南端に位置しています。創建時の国分寺跡地に重なるように建立され、その法灯を継承していると伝えられています。かつては「金光明寺」と称していたそうです。

建久年間（1190-1199年）、寛元元年（1243年）、文永年間（1264-1275年）には、下総国分寺の寺領を示すとみられる史料が残されています。しかし、戦国時代の二度の国府台合戦や数度の火災によって、詳細な文献は失われ、その変遷は不明な点が多いです。

現在の本堂は、昭和初期に岸田日出刀の設計によって、旧金堂跡と推定される場所に建てられました。

境内

境内には、以下のものがあります。

国分五郎の供養塔
阪井久良伎の句碑
三人地蔵：1913年に東京からの遠足で訪れた湯島尋常小学校の生徒たちが、江戸川で遭難した際に亡くなった3名を祀った地蔵です。もともと川岸に祀られていましたが、後に下総国分寺境内に移されました。

下総国分寺跡

国分寺跡の伽藍は、現在の国分寺と重複する位置にあります。金堂跡は、現在の本堂の場所にあたります。金堂と塔が東西に並ぶ法隆寺式の伽藍配置で、ただし、塔は西に、金堂・講堂は東に傾いています。堂塔の向きは一定ではありません。

一帯は須和田遺跡や国府跡推定地が残り、古くから文化的中心地でした。僧寺・尼寺ともに変遷は明らかではありませんが、9世紀代には充実し、10世紀代から衰退が見られ、大きな変容が認められます。

金堂：東西31.5メートル、南北19メートル。
講堂：本堂裏の墓地内に位置し、東西26メートル、南北18メートル。
七重塔：18メートル四方。礎石は本堂前に移動されています。

下総国分尼寺跡

国分寺の北東、市川市国分4丁目に位置します。1932年の発掘調査で金堂・講堂の基壇が確認されたとともに、「尼寺」と書かれた土器が出土し、位置が確定しました。それ以前は、「昔堂」と呼ばれて、国分僧寺跡と考えられていました。

発掘調査によって、寺の範囲を区画する溝が北・東・南で確認され、寺域は不整な方形をしています。現在は市川市営の国分尼寺跡公園として管理されています。

金堂：東西25.5メートル、南北22.4メートル。
講堂：東西27メートル、南北19メートル。

文化財

国の史跡

下総国分寺跡 附 北下瓦窯跡：1967年12月27日に指定、2010年8月5日に北下瓦窯跡を追加指定。
下総国分尼寺跡：1967年12月27日に指定、1989年3月29日と2002年9月20日に指定範囲を追加指定。

関連文化財

貝の内遺跡出土の下総国分寺軒平瓦：春日部市指定有形文化財（考古資料）。貝の内遺跡（埼玉県春日部市西宝珠花）の住居に持ち込まれていた下総国分寺創建期の軒平瓦です。

現地情報

所在地

国分寺（旧・現）：千葉県市川市国分3丁目20-1
国分尼寺跡：千葉県市川市国分4丁目17（国分尼寺跡公園）

交通アクセス

国分寺まで

京成電鉄京成本線 市川真間駅から
徒歩：約25分
バス：京成バス（市41-市45）で「国分」バス停下車、徒歩約5分
東日本旅客鉄道（JR東日本）総武線 市川駅から
徒歩：約30分
バス：京成バス（市41-市45）で「国分」バス停下車、徒歩約5分
北総鉄道北総線 北国分駅から
徒歩：約30分
バス：京成バス（市43）で「国分」バス停下車、徒歩約5分

国分寺から国分尼寺跡まで

徒歩：約7分

周辺

六所神社：下総国総社。

脚注

参考文献

史跡説明板
『下総国分寺のはなし』（市川博物館友の会）
『日本歴史地名大系 千葉県の地名』（平凡社）市川市 国分寺項、下総国分寺跡・下総国分尼寺跡項

外部リンク

下総国分寺跡 附 北下瓦窯跡 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
下総国分尼寺跡 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
下総国分寺跡、下総国分尼寺跡 - 市川市ホームページ

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