下邳の戦い

下邳の戦い（かひのたたかい）

下邳の戦いは、後漢末期の198年冬から199年2月にかけて、曹操と劉備の連合軍が呂布軍を破った戦いです。この戦いで呂布は処刑され、曹操の勢力拡大を決定づける重要な転換点となりました。

背景

194年、曹操が徐州の陶謙を攻撃している隙に、陳宮と張邈が反乱を起こし、呂布を迎え入れて兗州を奪わせました。曹操は徐州から引き返し、呂布との間で100日以上に及ぶ激戦を繰り広げます。195年、曹操はついに兗州を奪還し、呂布は徐州の劉備を頼って落ち延びました。

196年、曹操は献帝を擁立し、許昌を新たな都と定めました。一方、呂布は劉備から徐州を奪い取り、下邳を拠点とします。劉備は呂布に敗れ、曹操を頼らざるを得なくなりました。曹操は劉備を小沛に駐屯させ、食糧を援助しました。

197年頃、袁紹が中国北部で勢力を拡大し、曹操に横柄な手紙を送りました。曹操は袁紹を警戒し、攻撃を検討しましたが、軍事力不足を認識していました。そこで、軍師の郭嘉と荀彧は、袁紹が呂布と同盟を結ぶ可能性を指摘し、呂布を討伐する機会をうかがうよう進言しました。こうして、曹操は呂布との戦いの準備を始めました。

戦闘

呂布と袁術の争い

197年、袁術は皇帝を自称し、呂布に娘との婚姻を求め、同盟関係を強化しようとしました。呂布は当初同意しましたが、陳珪の進言により考えを変え、袁術との同盟を破棄しました。怒った袁術は、張勳と橋蕤に軍を率いて下邳を攻撃させました。呂布はわずかな兵力で迎え撃ちましたが、劣勢に立たされました。しかし、陳珪の策により、袁術軍に属していた韓暹と楊奉が寝返り、呂布は袁術軍を打ち破りました。

下邳包囲戦

198年、呂布は再び袁術と結び、劉備を攻撃しました。曹操は夏侯惇を派遣して劉備を救援しましたが、呂布軍に敗れました。下邳は呂布軍に占領され、劉備は逃亡、妻子は捕らえられました。

曹操はついに呂布討伐を決意し、自ら軍を率いて下邳へ向かいました。陳宮は呂布に、曹操軍が疲弊しているうちに攻撃するよう進言しましたが、呂布は下邳に籠城し、曹操軍を待ち構えることを選びました。曹操は澎城を占領し、陳宮は曹操に寝返りました。呂布は自ら出撃しましたが、敗れて下邳に撤退しました。

曹操は呂布に降伏を勧める手紙を送りましたが、呂布は決断できませんでした。陳宮は呂布に、自身が城外に兵を配置し、呂布は城内に留まるという策を提案しました。しかし、呂布の妻は、呂布が不在の場合、陳宮と高順が協力しないことを懸念し、呂布を説得しました。呂布は陳宮の策を中止し、袁術に援軍を要請しましたが、拒否されました。曹操軍は下邳を長期間包囲し、疲弊の色を見せ始めましたが、荀攸と郭嘉は包囲を続けるよう進言しました。曹操は伊河と泗河の水を下邳に引き入れ、水攻めを行いました。下邳は水没し、呂布は降伏を決意しました。

呂布の降伏

呂布の部将である侯成が管理していた馬が盗まれる事件が起きました。侯成は馬を取り戻しましたが、他の将兵から祝われることを恐れ、酒を用意して呂布に献上しました。しかし、呂布は激怒し、侯成を処罰しようとしました。侯成は恐れを抱き、宋憲や魏続と共謀して陳宮と高順を捕らえ、曹操に降伏しました。呂布は白門楼に籠城しましたが、曹操軍に包囲され、ついに降伏しました。

その後

呂布と陳宮、高順は曹操の前に引き出されました。呂布は助命を嘆願しましたが、劉備の進言により処刑されました。陳宮は曹操の誘いを拒否し、処刑を受け入れました。曹操は呂布の部下であった張遼や陳羣らを重用し、臧覇や孫観らも降伏を受け入れました。

下邳の戦いは、曹操が呂布の脅威を排除し、勢力を拡大する上で大きな意味を持ちました。この勝利を足掛かりに、曹操は袁紹との官渡の戦いを制し、中国北部を統一することになります。

三国志演義での描写

三国志演義では、下邳の戦いが脚色されて描かれています。夏侯惇が左目を失う場面や、侯成の裏切りなどが強調されています。また、呂布の最期や張遼の降伏についても、史実とは異なる描写がなされています。

大衆文化

下邳の戦いは、コーエーのビデオゲーム「真・三國無双」シリーズなど、様々な大衆文化作品に登場しています。

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