世尊寺行房

世尊寺行房とは

世尊寺行房（せそんじ ゆきふさ、生年不詳 - 延元2年/建武4年3月6日（1337年4月7日））は、鎌倉時代から南北朝時代にかけて活躍した著名な公卿、能書家、歌人です。世尊寺家の第11代当主であり、従二位であった世尊寺経尹または少納言世尊寺経名の子として知られています。彼はまた、一条とも名乗ることもありました。

経歴

行房は大覚寺統の後醍醐天皇の近くで仕え、蔵人頭や左近衛中将を経て、その政権を支えました。元弘2年（1332年）には元弘の変が起こり、天皇が隠岐に流された際、行房は千種忠顕と共に天皇の元を守るために同行しました。この行動により、持明院統の光厳天皇は大嘗会に必要な悠紀主基屏風色紙形を用意することができず困難をきたしました。これは、世尊寺家の当主が記すことが慣例だったためです。

行房は朝廷からの帰還命令を受けましたが、これを拒否しました。そのため、彼の弟や世尊寺家の他の一族が代わりにこの役割を担うことになりました。

建武政権の崩壊後、行房は尊良親王や恒良親王、そして新田義貞や新田義顕と共に南朝軍として北陸地方へ進軍しました。しかし、金ヶ崎城の落城の際、自らの命を絶ったのです。行房の家督は弟の行尹が継承しました。

書道家としての業績

行房は世尊寺流の能書家としても有名で、尊円入道親王に書法を教えたことでも知られています。彼はまた、勅撰歌人としても認められ、『玉葉和歌集』にも1首のほか、7首の和歌が収められています。

系譜

行房の系譜については、『尊卑分脈』や『系図纂要』に記載があります。彼の父は世尊寺経尹または世尊寺経名、母については不詳とされています。妻は高階経重の娘であり、子どもには藤原行実や藤原成朝がいますが、生母については不明のままとされています。

関連作品

行房の人物像は、『太平記』においても描かれており、1991年のNHK大河ドラマでは相原幸典が演じました。

参考文献

• - 新川晴風 著「藤原行房」、飯島春敬 編『書道辞典』東京堂出版、1983年。ISBN 978-4-490-10087-7。
• - 宮崎肇 著「中世書流の成立 -世尊寺家と世尊寺流-」、鎌倉遺文研究会 編『鎌倉遺文研究3 鎌倉期社会と史料論』東京堂出版、2002年。ISBN 978-4-490-20469-8。

関連項目

• - 建武の新政
• - 金崎宮

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