両津家
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』という作品世界において、物語の中心人物である両津勘吉は、一癖も二癖もある「両津家」という大家族の一員です。この一族は代々、宮大工、植木屋、左官屋、経師屋、浮世絵摺師、刀鍛冶といった様々な職人を輩出しており、「親戚だけで家が一軒建てられる」と言われるほどの職人集団です。しかし、一家の気質には顕著な特徴があり、夏春都が語るところによれば、男性陣はラテン系のように情熱的でいい加減な性質を持つ一方、女性陣はゲルマン系（ドイツ・スイス系）のように几帳面でしっかり者が多いとされます。夫婦喧嘩や親子喧嘩が日常茶飯事という賑やかな家庭環境で、男性には道楽者が多く、家業の花火屋を畳んでマンション経営に乗り換えた者も存在します。
両津勘吉の祖父にあたる両津勘兵衛は、勘吉や弟の金次郎のトレードマークである繋がり眉毛の持ち主です。当初は佃島の古い長屋で年金暮らしをしていましたが、高齢者向けテレビゲーム会社「R・G・C（リョウツ・ゲーム・カンパニー）」を設立して事業に成功し、現在は高層マンションに暮らしています。一度は勘吉が新社長となって無茶な経営（アダルトゲーム開発による逮捕や脱税発覚）で会社を倒産させますが、勘兵衛自身の復帰によって会社は立て直されました。その後も事業を売却し、燕の巣採取やレアメタル採掘、飛行艇による航空会社経営など、次々と新たな分野に挑戦しています。趣味はテニスで、フェラーリやクルーザーを所有するなど、享楽的な一面も持ち合わせています。妹は「超神田寿司」を経営する夏春都です。かつては夏春都と共に佃煮屋「よろずや」の仲見世支店を経営していましたが、妹が擬宝珠家に嫁いだ後は道楽にふけり、わずか10日で店を潰してしまいました。戦前は海軍で戦闘機の整備士でしたが、両津家の手癖の悪さを発揮し、軍の備品を持ち帰っていたようです。日露戦争の日本海海戦や太平洋戦争の真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦などにも参加したとされています。「よろずや」の事業拡大のため吉池支店を計画しながら、資金を競馬で使い果たしたことが原因で、息子の銀次と浮気が発覚した「両津家の乱」を引き起こし、妻の秋冬に包丁を持って追いかけ回された結果、吉池支店計画は幻となりました。自身を昭和初期のモボ（モダンボーイ）、プレイボーイと公言していますが、真偽は不明です。初登場時は98歳、後に105歳と描写されましたが、現在の設定年齢は曖昧です。妹の夏春都が1900年生まれであることや、月島がまだ埋め立てられていなかった時代を知っていることなどから、かなりの高齢であることがうかがえます。孫は勘吉と金次郎を含め24人いるとされています（『Kamedas』情報）。食糧難で飢えていた妹のために芋を盗んだエピソードや、バンド活動を始めた勘吉に曲を聞かせようとしたり、身の安全を心配したりするなど、家族思いの一面も見られます。
勘吉の父である両津銀次は、浅草で佃煮屋「よろずや」を経営しています。勘兵衛の次男（アニメでは長男）で、明治生まれという設定です。背中には極道を目指した際に彫り始めた龍の目玉の刺青がありますが、あまりの痛さに途中でやめてしまったという逸話があり、初対面の女性に自慢するのが癖です。女遊びやアダルトビデオ鑑賞を趣味とするなど、放蕩な面が目立ちます。佃煮の材料に安価なオーストラリア産を使ったり、幼い勘吉を連れて飲み屋や成人映画館に通ったりしていたことは、勘吉のいい加減な性格の多くを形作ったと言えるでしょう。一方で、勘吉の少年時代を描いたエピソードでは、職人気質の人物として描写されることもあります。長男である勘吉に店を継がせようと固執した結果、勘吉が反発してゴキブリの佃煮を店に出し、大喧嘩の末に勘当した過去があります。後に勘吉が中川や麗子を連れて浅草を訪れた際に偶然再会し、最初は気まずいながらも、酒を酌み交わすうちに互いを思いやる気持ちが蘇りました。帰り際に銀次は勘吉に家へ寄るよう促しますが、勘吉は母のよねへの後ろめたさからその時は拒否しました。また、勘吉が事故死した旧友の親を訪ねた際に自身の両親を思い出し、久々に実家に電話して銀次と話したこともあります。妻のよねは美人ではありませんが、その愛嬌に惚れて結婚しました。両津家の乱の際には、よねに追い詰められて浅草六区を逃げ回り、最後は吾妻橋から隅田川に飛び込んで難を逃れたと語られています。中川が開発した人生シミュレーションゲームでは、もし勘吉が生まれていなければ、「よろずや」が大企業となり、銀次が浅草商店街会長を務めていたという可能性が示唆されました。勘吉と同じくお金に弱い面があり、勘吉から受け取った1万円で他人のふりをしたこともあります。しかし、金銭感覚は鋭く、贅沢を嫌う貧乏性でもあり、一族に受け継がれた商才も持ち合わせています。勘吉とは些細なことで頻繁に親子喧嘩をし、派出所のメンバーやサンディの前でも平気で始めますが、サンディは「喧嘩するほど仲が良い家庭だ」と評しました。実際、銀次も普段は表に出しませんが、息子の勘吉を大切に思っており、勘吉が金の力で花やしきを潰そうとした際には、勘吉との幼い頃の思い出（初めて花やしきに連れて行ったことや、叱られた時に隠れた場所であること）を語って説得しました。基本的に周囲からは「銀さん」と呼ばれ、幼馴染からは「銀ちゃん」と呼ばれています。
勘吉の母である両津よねは、柴又から両津家に嫁いできました。気が強く口も悪いですが、夫や息子とは異なり、良識があり包容力に溢れる人物です。古い物を非常に大切にし、何でも捨てずに溜め込む癖があり、押入れや戸棚からは年代物の千人針、旧日本軍の地雷、カビが生えた蕎麦、数十年前の鯨肉缶詰、明治時代の醤油瓶や歯磨き粉など、驚くような品々が出てきます。この収集癖のため、勘吉宛てに届いたヴィンテージアロハシャツを古着だと思って雑巾にしたり、貴重な浮世絵を漬物樽の蓋に使ったりといったエピソードがあります。夫と息子の激しい親子喧嘩を唯一止められる存在ですが、彼女が介入する必要がない範囲の喧嘩は、彼らのコミュニケーションだと静観しています。派出所の面々が持ってきた食材を勘吉が滅茶苦茶にしてしまった鍋料理の代わりに、自家製の佃煮を振る舞うなど、家庭的な一面もあります。洋食は苦手で、サンディが訪れた際に初めて作ったものの、フォークとナイフの代わりに包丁と熊手を出そうとしたこともありました。勘吉の弁当は毎日佃煮、コーヒーは湯呑みで提供されるなど、独自のスタイルを貫いています。勘吉曰く「女は愛嬌。うちの母ちゃんは不細工だけど愛嬌だけはいい」とのことです。両津家の乱では、包丁を持って銀次を追いかけ回すという恐ろしい一面を見せました。
勘吉の弟である両津金次郎は、弁護士として活躍しています。血液型はA型、身長165cm、体重60kg、誕生日は4月4日。中川家と遠い親戚筋にあたる霧ヶ谷家の次女・景子と結婚し、娘の京子を授かります。この結婚により、兄の勘吉は中川家の親戚という立場を利用するようになります。顔は兄の勘吉に似ていますが、小学生の頃から眼鏡をかけています。勘吉とは1歳から3歳ほどの年齢差があります。一人称は「僕」で、友人からは「金ちゃん」と呼ばれています。両津家の男性陣の中では異色の存在で、真面目で几帳面、勤勉さが長所ですが、運動音痴という短所もあり、兄とは正反対の性格です。兄の勘吉を「反面教師」、あるいは「悪の教師」と語ることもありますが、いざという時には頼りになる兄だと発言することもあり、兄弟仲は良好です。子供の頃はいじめられやすく、兄からプロレス技をかけられたり殴られたりすることもあったようですが、中学受験の際には両親が期待しない中でも勘吉だけは合格を信じ、受験票を取り戻したり、合格祈願のお守りを渡したりして応援してくれました。そのお守りは今でも大切にアルバムにしまっていると言います。アニメでは東京大学卒という設定です。趣味はアマチュア無線で、第一級陸上無線技術士の資格を持つ本格派です。少年時代に実家の物置にあった無線機（祖父の勘兵衛が海軍時代に持ち帰ったもの）を、勘吉が面白おかしくいじるのを見て興味を持ちました。しかし、その無線機は後に勘吉によって全て壊されてしまいます。好きな無線機メーカーは八重洲無線。ラジオや無線の知識は兄より深く、不器用ながらも無線機器の修理や自作ができる腕前があり、秋葉原にもよく出入りしています。後に、ラジオ好きの勘吉に合法的にラジオの良さを伝えさせるため、コミュニティ放送局「FM両津（75.9MHz）」の放送免許を取得させられ、弁護士の仕事よりも忙しく奔走することになります。少年時代には伝書鳩の飼育にも熱中し、勘吉に手伝いを頼んでいました。愛車は三菱・コルト1000で約17年乗り続けていますが、兄からは「ボロコルト」「捨ててあるのかと思った」と揶揄され、落書きされたこともあります。妻の景子からは、何かに凝り始めると止まらない点は兄弟そっくりだと言われています。弁護士を目指したきっかけは、いじめられっ子だった彼が、泣いていた時に出会った弁護士・須田成道から「挫けない強さ」を教えられたことでした。中学は国立に進学し、弁護士となってからは須田弁護士とのツーショット写真も撮っています。成人してからも、たびたび兄の勘吉に助けられる場面があります。兄とは異なり、極度の方向音痴で、幼い頃はよく迷子になっていました。SLが好きで、兄と自転車で秩父まで見に行ったこともあります。下町育ちとして、隅田川花火大会を好み、花火がよく見えるタワーマンションに住んでいますが、勘吉からは「無線の電波の入りが良いからでは？」と言われています。飲酒もしますが、兄や父のような酒豪ではなく、どちらかというと洋酒を好みます。
金次郎の妻である両津景子は、勘吉の義妹にあたります。霧ヶ谷建設社長の次女であり、非常に複雑な縁ではありますが、金次郎との結婚により、中川家と両津家は親戚関係になりました。霧ヶ谷家は大学教授、国会議員、医者、会社社長といったエリート揃いの家系で、両津家とは正反対ですが、景子は金次郎の実直で真面目な性格に惹かれて結婚を選びました。
金次郎と景子の娘である両津京子は、銀次とよねにとって待望の初孫であり、勘吉にとっても可愛い姪です。勘吉に名前を忘れられ、「小金丸」や「彦六」などと呼ばれたことがあります。原作には第106巻で初登場（アシスタントによる作画）し、第185巻では小学校入学前まで成長した姿が描かれました。アニメでは「ちよ子」という名前で登場しています。
勘吉の曽祖父にあたる両津ため吉は、嘉永6年生まれで明治末期に亡くなったとされる酒豪です。勘兵衛、夏春都、みの吉の父であり、銀次、夜婁紫喰の祖父、勘吉、纏、檸檬らの曽祖父にあたります。勘吉が天国に行った際にも泥酔して転がっている姿が描かれ、酒を飲むためだけにこの世に蘇ったこともあります。蘇った際は、明治時代の金銭感覚との違いに驚愕していました。孫の銀次とは、彼が赤ん坊か少年だった頃以来の再会でしたが、成長した姿を喜んでいました。柔剣道の達人で、千葉周作に習ったと豪語する剣の腕前は、勘吉も認めるほど優れていました。酒乱のため、伊藤博文初代内閣総理大臣（作中では伊東博文）の一声で天国に送還されました。坂本龍馬と食事をしたり、森鷗外に写真を撮ってもらったり、西郷隆盛と握手したりするなど、歴史上の人物との交流も深かったと語り、幕末・明治の偉人たちのサインをコレクションしていたと言います。また、日本人で初めて写真撮影時にピースをしたと自称していますが、これらの話の真偽は定かではありません。生前は道楽者で、家を売ってまで骨董品を大量に買い集めましたが、鑑定の結果全て偽物だったことが判明しています。アニメでは酔った勢いで天国から脱走して現代に蘇り、花山に依頼された勘吉と出会います。原作以上の酒豪として描かれ、一斗樽を平然と飲み干します。浅草の佃煮屋には、ため吉に関連する歴史的な品々が保管されていますが、現代では価値のないものばかりでした。最後は現代に蘇った龍馬ら友人たちと再会し、勘吉に「来年のお盆にも帰ってくる」と約束して天国へ戻りますが、直後に再び脱走してしまいます。
原作のみに登場する人物としては、勘兵衛の長男で銀次の兄、勘吉と金次郎の伯父にあたる両津元五郎がいます。勘吉と麻里愛の結婚騒動で初登場し、祝儀から披露宴予算を瞬時に計算するなど、両津家らしい金に目敏い一面を見せました。アニメでは銀次が一人っ子設定のため登場しません。ため吉の弟で、勘吉の曽祖父の弟にあたる両津どら吉も原作のみの登場です。上海生まれ、ボルネオ育ちという複雑な生い立ちを持ち、17歳で会社社長となるも競馬で潰すなど、波乱万丈な一生を送りました。ヤクザ、弁護士、キャバレー経営、銀行員、住職、作曲家など様々な職業を転々としました。住職時代には寺を燃やして10年間海外逃亡した経験もあります。8回の結婚と7回の離婚を繰り返し、その度に家を相手に渡しています。背中には般若の刺青があり、住職の襟元から見えたこともあります。イタリア語を話す台東区民として描かれています。勘兵衛の弟で夏春都と兄弟の両津みの吉は、第56巻にわずか一コマだけ登場し、その前年に亡くなったという設定です。生前から道楽者でミーハーであり、遺品からは珍しい物が多く見つかりました。かなりの土地持ちで「よろずや」も元は彼の家でしたが、酒や博打の道楽が祟り晩年は生活に困窮し、土地のほとんどを切り売りしてしまいます。最期には霞町にわずか10坪しか残っていませんでしたが、バブル期に地価が高騰し、10億円の値がつきました。生前は妾を多数囲むプレイボーイでしたが、生涯独身を貫きました。原作では1コマのみの登場ですが、描き下ろしポスターには両津家の一員として描かれています。
アニメオリジナルキャラクターとしては、アニメスペシャルに登場した両津実直がいます。彼は金次郎から数えて11代目の子孫で、宇宙人に荒廃させられた未来から、勘吉の体内の抗体「リョーツGPX」を入手するためにやってきました。容貌は勘吉に似ていますが、性格は名前の通り実直で、やや天然なところがあります。また、アニメ第102話に登場した慶長5年の両津家の祖先である両津亀吉もいます。下級武士風の風貌で、顔は勘吉に瓜二つ。行き倒れの武者から梅干しを託されますが、食べずに祠に放置したことが、400年後に子孫の勘吉が見つけて騒動となるきっかけとなりました。
本編には登場しませんが、両津ため吉の妻である両津とめや、勘兵衛の妻で銀次の母である両津秋冬といった名前も存在します。『Kamedas2』では、原始時代、未来、江戸時代に登場した両津家の血縁とされるキャラクター（RYO、リョウツ、月光小僧としての勘吉など）も描かれています。法事などの親戚が集まるエピソードでは、花川戸のよねやため吉（勘吉は記憶にない人物）が登場したり、浮世絵摺師や花火職人といった専門職の親戚が登場したりします。作中に登場した家系図では、両津ゴンや両津ゲロといったユニークな名前も確認できます。なお、出版元である集英社が2001年頃に調査した結果、現実世界において「両津」姓を名乗る人物は確認されなかったことが明らかになっています。
両津勘吉の祖父にあたる両津勘兵衛は、勘吉や弟の金次郎のトレードマークである繋がり眉毛の持ち主です。当初は佃島の古い長屋で年金暮らしをしていましたが、高齢者向けテレビゲーム会社「R・G・C（リョウツ・ゲーム・カンパニー）」を設立して事業に成功し、現在は高層マンションに暮らしています。一度は勘吉が新社長となって無茶な経営（アダルトゲーム開発による逮捕や脱税発覚）で会社を倒産させますが、勘兵衛自身の復帰によって会社は立て直されました。その後も事業を売却し、燕の巣採取やレアメタル採掘、飛行艇による航空会社経営など、次々と新たな分野に挑戦しています。趣味はテニスで、フェラーリやクルーザーを所有するなど、享楽的な一面も持ち合わせています。妹は「超神田寿司」を経営する夏春都です。かつては夏春都と共に佃煮屋「よろずや」の仲見世支店を経営していましたが、妹が擬宝珠家に嫁いだ後は道楽にふけり、わずか10日で店を潰してしまいました。戦前は海軍で戦闘機の整備士でしたが、両津家の手癖の悪さを発揮し、軍の備品を持ち帰っていたようです。日露戦争の日本海海戦や太平洋戦争の真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦などにも参加したとされています。「よろずや」の事業拡大のため吉池支店を計画しながら、資金を競馬で使い果たしたことが原因で、息子の銀次と浮気が発覚した「両津家の乱」を引き起こし、妻の秋冬に包丁を持って追いかけ回された結果、吉池支店計画は幻となりました。自身を昭和初期のモボ（モダンボーイ）、プレイボーイと公言していますが、真偽は不明です。初登場時は98歳、後に105歳と描写されましたが、現在の設定年齢は曖昧です。妹の夏春都が1900年生まれであることや、月島がまだ埋め立てられていなかった時代を知っていることなどから、かなりの高齢であることがうかがえます。孫は勘吉と金次郎を含め24人いるとされています（『Kamedas』情報）。食糧難で飢えていた妹のために芋を盗んだエピソードや、バンド活動を始めた勘吉に曲を聞かせようとしたり、身の安全を心配したりするなど、家族思いの一面も見られます。
勘吉の父である両津銀次は、浅草で佃煮屋「よろずや」を経営しています。勘兵衛の次男（アニメでは長男）で、明治生まれという設定です。背中には極道を目指した際に彫り始めた龍の目玉の刺青がありますが、あまりの痛さに途中でやめてしまったという逸話があり、初対面の女性に自慢するのが癖です。女遊びやアダルトビデオ鑑賞を趣味とするなど、放蕩な面が目立ちます。佃煮の材料に安価なオーストラリア産を使ったり、幼い勘吉を連れて飲み屋や成人映画館に通ったりしていたことは、勘吉のいい加減な性格の多くを形作ったと言えるでしょう。一方で、勘吉の少年時代を描いたエピソードでは、職人気質の人物として描写されることもあります。長男である勘吉に店を継がせようと固執した結果、勘吉が反発してゴキブリの佃煮を店に出し、大喧嘩の末に勘当した過去があります。後に勘吉が中川や麗子を連れて浅草を訪れた際に偶然再会し、最初は気まずいながらも、酒を酌み交わすうちに互いを思いやる気持ちが蘇りました。帰り際に銀次は勘吉に家へ寄るよう促しますが、勘吉は母のよねへの後ろめたさからその時は拒否しました。また、勘吉が事故死した旧友の親を訪ねた際に自身の両親を思い出し、久々に実家に電話して銀次と話したこともあります。妻のよねは美人ではありませんが、その愛嬌に惚れて結婚しました。両津家の乱の際には、よねに追い詰められて浅草六区を逃げ回り、最後は吾妻橋から隅田川に飛び込んで難を逃れたと語られています。中川が開発した人生シミュレーションゲームでは、もし勘吉が生まれていなければ、「よろずや」が大企業となり、銀次が浅草商店街会長を務めていたという可能性が示唆されました。勘吉と同じくお金に弱い面があり、勘吉から受け取った1万円で他人のふりをしたこともあります。しかし、金銭感覚は鋭く、贅沢を嫌う貧乏性でもあり、一族に受け継がれた商才も持ち合わせています。勘吉とは些細なことで頻繁に親子喧嘩をし、派出所のメンバーやサンディの前でも平気で始めますが、サンディは「喧嘩するほど仲が良い家庭だ」と評しました。実際、銀次も普段は表に出しませんが、息子の勘吉を大切に思っており、勘吉が金の力で花やしきを潰そうとした際には、勘吉との幼い頃の思い出（初めて花やしきに連れて行ったことや、叱られた時に隠れた場所であること）を語って説得しました。基本的に周囲からは「銀さん」と呼ばれ、幼馴染からは「銀ちゃん」と呼ばれています。
勘吉の母である両津よねは、柴又から両津家に嫁いできました。気が強く口も悪いですが、夫や息子とは異なり、良識があり包容力に溢れる人物です。古い物を非常に大切にし、何でも捨てずに溜め込む癖があり、押入れや戸棚からは年代物の千人針、旧日本軍の地雷、カビが生えた蕎麦、数十年前の鯨肉缶詰、明治時代の醤油瓶や歯磨き粉など、驚くような品々が出てきます。この収集癖のため、勘吉宛てに届いたヴィンテージアロハシャツを古着だと思って雑巾にしたり、貴重な浮世絵を漬物樽の蓋に使ったりといったエピソードがあります。夫と息子の激しい親子喧嘩を唯一止められる存在ですが、彼女が介入する必要がない範囲の喧嘩は、彼らのコミュニケーションだと静観しています。派出所の面々が持ってきた食材を勘吉が滅茶苦茶にしてしまった鍋料理の代わりに、自家製の佃煮を振る舞うなど、家庭的な一面もあります。洋食は苦手で、サンディが訪れた際に初めて作ったものの、フォークとナイフの代わりに包丁と熊手を出そうとしたこともありました。勘吉の弁当は毎日佃煮、コーヒーは湯呑みで提供されるなど、独自のスタイルを貫いています。勘吉曰く「女は愛嬌。うちの母ちゃんは不細工だけど愛嬌だけはいい」とのことです。両津家の乱では、包丁を持って銀次を追いかけ回すという恐ろしい一面を見せました。
勘吉の弟である両津金次郎は、弁護士として活躍しています。血液型はA型、身長165cm、体重60kg、誕生日は4月4日。中川家と遠い親戚筋にあたる霧ヶ谷家の次女・景子と結婚し、娘の京子を授かります。この結婚により、兄の勘吉は中川家の親戚という立場を利用するようになります。顔は兄の勘吉に似ていますが、小学生の頃から眼鏡をかけています。勘吉とは1歳から3歳ほどの年齢差があります。一人称は「僕」で、友人からは「金ちゃん」と呼ばれています。両津家の男性陣の中では異色の存在で、真面目で几帳面、勤勉さが長所ですが、運動音痴という短所もあり、兄とは正反対の性格です。兄の勘吉を「反面教師」、あるいは「悪の教師」と語ることもありますが、いざという時には頼りになる兄だと発言することもあり、兄弟仲は良好です。子供の頃はいじめられやすく、兄からプロレス技をかけられたり殴られたりすることもあったようですが、中学受験の際には両親が期待しない中でも勘吉だけは合格を信じ、受験票を取り戻したり、合格祈願のお守りを渡したりして応援してくれました。そのお守りは今でも大切にアルバムにしまっていると言います。アニメでは東京大学卒という設定です。趣味はアマチュア無線で、第一級陸上無線技術士の資格を持つ本格派です。少年時代に実家の物置にあった無線機（祖父の勘兵衛が海軍時代に持ち帰ったもの）を、勘吉が面白おかしくいじるのを見て興味を持ちました。しかし、その無線機は後に勘吉によって全て壊されてしまいます。好きな無線機メーカーは八重洲無線。ラジオや無線の知識は兄より深く、不器用ながらも無線機器の修理や自作ができる腕前があり、秋葉原にもよく出入りしています。後に、ラジオ好きの勘吉に合法的にラジオの良さを伝えさせるため、コミュニティ放送局「FM両津（75.9MHz）」の放送免許を取得させられ、弁護士の仕事よりも忙しく奔走することになります。少年時代には伝書鳩の飼育にも熱中し、勘吉に手伝いを頼んでいました。愛車は三菱・コルト1000で約17年乗り続けていますが、兄からは「ボロコルト」「捨ててあるのかと思った」と揶揄され、落書きされたこともあります。妻の景子からは、何かに凝り始めると止まらない点は兄弟そっくりだと言われています。弁護士を目指したきっかけは、いじめられっ子だった彼が、泣いていた時に出会った弁護士・須田成道から「挫けない強さ」を教えられたことでした。中学は国立に進学し、弁護士となってからは須田弁護士とのツーショット写真も撮っています。成人してからも、たびたび兄の勘吉に助けられる場面があります。兄とは異なり、極度の方向音痴で、幼い頃はよく迷子になっていました。SLが好きで、兄と自転車で秩父まで見に行ったこともあります。下町育ちとして、隅田川花火大会を好み、花火がよく見えるタワーマンションに住んでいますが、勘吉からは「無線の電波の入りが良いからでは？」と言われています。飲酒もしますが、兄や父のような酒豪ではなく、どちらかというと洋酒を好みます。
金次郎の妻である両津景子は、勘吉の義妹にあたります。霧ヶ谷建設社長の次女であり、非常に複雑な縁ではありますが、金次郎との結婚により、中川家と両津家は親戚関係になりました。霧ヶ谷家は大学教授、国会議員、医者、会社社長といったエリート揃いの家系で、両津家とは正反対ですが、景子は金次郎の実直で真面目な性格に惹かれて結婚を選びました。
金次郎と景子の娘である両津京子は、銀次とよねにとって待望の初孫であり、勘吉にとっても可愛い姪です。勘吉に名前を忘れられ、「小金丸」や「彦六」などと呼ばれたことがあります。原作には第106巻で初登場（アシスタントによる作画）し、第185巻では小学校入学前まで成長した姿が描かれました。アニメでは「ちよ子」という名前で登場しています。
勘吉の曽祖父にあたる両津ため吉は、嘉永6年生まれで明治末期に亡くなったとされる酒豪です。勘兵衛、夏春都、みの吉の父であり、銀次、夜婁紫喰の祖父、勘吉、纏、檸檬らの曽祖父にあたります。勘吉が天国に行った際にも泥酔して転がっている姿が描かれ、酒を飲むためだけにこの世に蘇ったこともあります。蘇った際は、明治時代の金銭感覚との違いに驚愕していました。孫の銀次とは、彼が赤ん坊か少年だった頃以来の再会でしたが、成長した姿を喜んでいました。柔剣道の達人で、千葉周作に習ったと豪語する剣の腕前は、勘吉も認めるほど優れていました。酒乱のため、伊藤博文初代内閣総理大臣（作中では伊東博文）の一声で天国に送還されました。坂本龍馬と食事をしたり、森鷗外に写真を撮ってもらったり、西郷隆盛と握手したりするなど、歴史上の人物との交流も深かったと語り、幕末・明治の偉人たちのサインをコレクションしていたと言います。また、日本人で初めて写真撮影時にピースをしたと自称していますが、これらの話の真偽は定かではありません。生前は道楽者で、家を売ってまで骨董品を大量に買い集めましたが、鑑定の結果全て偽物だったことが判明しています。アニメでは酔った勢いで天国から脱走して現代に蘇り、花山に依頼された勘吉と出会います。原作以上の酒豪として描かれ、一斗樽を平然と飲み干します。浅草の佃煮屋には、ため吉に関連する歴史的な品々が保管されていますが、現代では価値のないものばかりでした。最後は現代に蘇った龍馬ら友人たちと再会し、勘吉に「来年のお盆にも帰ってくる」と約束して天国へ戻りますが、直後に再び脱走してしまいます。
原作のみに登場する人物としては、勘兵衛の長男で銀次の兄、勘吉と金次郎の伯父にあたる両津元五郎がいます。勘吉と麻里愛の結婚騒動で初登場し、祝儀から披露宴予算を瞬時に計算するなど、両津家らしい金に目敏い一面を見せました。アニメでは銀次が一人っ子設定のため登場しません。ため吉の弟で、勘吉の曽祖父の弟にあたる両津どら吉も原作のみの登場です。上海生まれ、ボルネオ育ちという複雑な生い立ちを持ち、17歳で会社社長となるも競馬で潰すなど、波乱万丈な一生を送りました。ヤクザ、弁護士、キャバレー経営、銀行員、住職、作曲家など様々な職業を転々としました。住職時代には寺を燃やして10年間海外逃亡した経験もあります。8回の結婚と7回の離婚を繰り返し、その度に家を相手に渡しています。背中には般若の刺青があり、住職の襟元から見えたこともあります。イタリア語を話す台東区民として描かれています。勘兵衛の弟で夏春都と兄弟の両津みの吉は、第56巻にわずか一コマだけ登場し、その前年に亡くなったという設定です。生前から道楽者でミーハーであり、遺品からは珍しい物が多く見つかりました。かなりの土地持ちで「よろずや」も元は彼の家でしたが、酒や博打の道楽が祟り晩年は生活に困窮し、土地のほとんどを切り売りしてしまいます。最期には霞町にわずか10坪しか残っていませんでしたが、バブル期に地価が高騰し、10億円の値がつきました。生前は妾を多数囲むプレイボーイでしたが、生涯独身を貫きました。原作では1コマのみの登場ですが、描き下ろしポスターには両津家の一員として描かれています。
アニメオリジナルキャラクターとしては、アニメスペシャルに登場した両津実直がいます。彼は金次郎から数えて11代目の子孫で、宇宙人に荒廃させられた未来から、勘吉の体内の抗体「リョーツGPX」を入手するためにやってきました。容貌は勘吉に似ていますが、性格は名前の通り実直で、やや天然なところがあります。また、アニメ第102話に登場した慶長5年の両津家の祖先である両津亀吉もいます。下級武士風の風貌で、顔は勘吉に瓜二つ。行き倒れの武者から梅干しを託されますが、食べずに祠に放置したことが、400年後に子孫の勘吉が見つけて騒動となるきっかけとなりました。
本編には登場しませんが、両津ため吉の妻である両津とめや、勘兵衛の妻で銀次の母である両津秋冬といった名前も存在します。『Kamedas2』では、原始時代、未来、江戸時代に登場した両津家の血縁とされるキャラクター（RYO、リョウツ、月光小僧としての勘吉など）も描かれています。法事などの親戚が集まるエピソードでは、花川戸のよねやため吉（勘吉は記憶にない人物）が登場したり、浮世絵摺師や花火職人といった専門職の親戚が登場したりします。作中に登場した家系図では、両津ゴンや両津ゲロといったユニークな名前も確認できます。なお、出版元である集英社が2001年頃に調査した結果、現実世界において「両津」姓を名乗る人物は確認されなかったことが明らかになっています。
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