中国の歴史 (講談社)

中国の歴史

『中国の歴史』は、講談社が提供する中国通史の叢書で、これまでに3回にわたり刊行されています。最初のシリーズは1974年から1975年までの間に全10巻が発行されました。このシリーズは、一般向けに中国の歴史を体系的に紹介するものであり、中国通史としての原点を成す重要な作品です。

初版の概要

初版の全10巻は、当初は第9巻『人民中国の誕生』から配本が始まり、最後の巻が第10巻『目で見る中国の歴史』でした。初版は、1960年代に人物往来社が刊行した『東洋の歴史』に続くもので、各出版社から発行される中国史の基本的な参考資料となりました。特に、講談社学術文庫として再刊される際にも、それぞれの巻に新版解説が付され、多くの読者に新たな知見を提供しています。

各巻の内容

初版は、以下のテーマで各巻が構成されています：

• - 原始から春秋戦国（貝塚茂樹・伊藤道治）
• - 秦漢帝国（西嶋定生）
• - 魏晋南北朝（川勝義雄）
• - 隋唐帝国（布目潮渢・栗原益男）
• - 五代・宋（周藤吉之・中嶋敏）
• - 元・明（愛宕松男・寺田隆信）
• - 清帝国（増井経夫）
• - 近代中国（佐伯有一）
• - 人民中国の誕生（野村浩一）
• - 目で見る中国の歴史（日比野丈夫）

これに続き、1976年から1977年にかけて刊行された『図説 中国の歴史』は、全12巻とされ、視覚的なアプローチで中国の歴史を紹介しています。内容は、それぞれの歴史的時代を重視し、多様な視点を提供しています。

新版の発刊

旧版の成功を受けて、2004年から2005年にかけて新たに全12巻が発行されました。この新版は編集委員に礪波護や尾形勇、鶴間和幸、上田信らが名を連ね、各巻に月報が添付されたり、いしいひさいちによる漫画が挿入されるなど、より親しみやすい形に仕上げられました。各巻の構成も、歴史の流れを意識しており、以下のようなテーマが扱われています：

• - 神話から歴史へ（宮本一夫）
• - 都市国家から中華へ（平㔟隆郎）
• - ファーストエンペラーの遺産（鶴間和幸）
• - 三国志の世界（金文京）
• - 中華の崩壊と拡大（川本芳昭）
• - 絢爛たる世界帝国（氣賀澤保規）
• - 中国思想と宗教の奔流（小島毅）
• - 疾駆する草原の征服者（杉山正明）
• - 海と帝国（上田信）
• - ラストエンペラーと近代中国（菊池秀明）
• - 巨龍の胎動（天児慧）
• - 日本にとって中国とは（対談など）

中国語版の成功

この叢書は2014年に中国語版が出版され、中国本土での関心を集め、瞬く間に大きな売上を記録しました。特に初年度には10万セット以上が販売され、その人気は日本語版とは比べられないほど広がりました。中国版でもその内容に対する理解を深め、多くの読者に手に取られています。

結論

『中国の歴史』シリーズは、その内容の豊かさと深さから、中国の過去を理解するための貴重な資源です。各時代の特異性と大きな流れを学ぶことで、読者は中国の文化や文明についての理解を深めることができるでしょう。このシリーズは、歴史研究や教育の場でも引き続き重要な役割を果たします。

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