中国南方カルスト

中国南方カルストは、中華人民共和国南部に点在する、顕著なカルスト地形の集合体として、ユネスコの世界遺産に登録されています。2007年の登録当初は、雲南石林、貴州茘波、重慶武隆の3地域から構成されていましたが、2014年には広西桂林、貴州施秉、重慶金仏山、広西環江が追加され、その範囲はさらに広がりました。

各地域の詳細

石林

雲南省に位置する石林は、槍のようにそそり立つ奇岩群が特徴的な景勝地です。これらの岩は、古生代ペルム紀の石灰岩層が雨水によって浸食された結果、形成されました。大石林と小石林は高さ30mにも達する岩柱が林立し、その壮観な景観は訪れる人々を魅了します。また、数キロメートル北には、黒っぽいドロマイト質の石灰岩で構成された乃古石林があり、イ族の言葉で「黒い」を意味する「乃古」という名前が付けられています。

茘波

貴州省にある茘波は、円錐形の小山が連なる峰林・峰叢が特徴的な地域です。この地形は、石灰岩の溶食によって形成されました。特に、大七孔と小七孔は、美しい渓谷と滝、多様な植物が生い茂る景勝地として知られています。また、この地域には希少な動植物が多く生息しており、生物多様性の観点からも重要な場所です。

武隆

重慶市にある武隆には、箐口天坑、天生三橋、芙蓉洞の3つの主要な見どころがあります。箐口天坑は、地下水による石灰岩の溶食によって形成された巨大な洞窟の天井部が崩落してできた、ドリーネ（シンクホール）です。天生三橋は、溶食によって形成された巨大な洞窟の一部が崩落し、3つの天然橋が残ったものです。芙蓉洞は総延長約2800mの鍾乳洞で、その内部には美しい鍾乳石や石筍が広がっています。

桂林

広西チワン族自治区にある桂林は、石灰岩が豊富な盆地に位置しており、雨水や水流による侵食作用が顕著な地域です。漓江沿岸や陽朔県葡萄鎮一帯には、峰林や峰叢が非常に発達しており、独特のカルスト地形が広がっています。この地域は、中国を代表する景勝地の一つとして知られています。

施秉

貴州省にある施秉は、㵲陽河流域に位置しており、不溶性のドロマイトで構成された峰叢や深い峡谷が多く見られます。また、カレン、トゥファ、洞窟などの多様なカルスト地形も観察できます。この地域の地形は、複雑な地質学的過程を物語っています。

金仏山

重慶市にある金仏山は、河食作用によって雲貴高原から分離した、断崖絶壁に囲まれたテーブルマウンテンです。山の頂上には古代の平野が残っており、絶壁には水平方向に発達した洞窟が点在しています。また、金仏山には竹林が広がり、キンブツサンホウチクのタケノコは重要な特産品となっています。

環江

広西チワン族自治区にある環江は、茘波地域の南側に隣接しており、峰叢と原生林が発達しています。この地域は、生物多様性が高く、貴重な生態系を維持しています。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしていると評価されています。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含む。

(8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本である。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

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