中国東方航空5735便墜落事故

中国東方航空5735便墜落事故について

2022年3月21日、中国東方航空5735便が広西チワン族自治区梧州市藤県に墜落し、乗客乗員132名全員が死亡するという痛ましい事故が発生しました。この事故は、雲南省昆明市から広東省広州市へ向かう途中で、巡航高度から突然降下し、山間部に激突したものです。

事故の概要

事故機

事故を起こした機体はボーイング737-89P型機（機体記号：B-1791）で、2015年6月に製造され、中国東方航空の子会社である中国東方航空雲南分公司にリースされていました。事故までに8,986回の飛行と18,239時間の飛行時間を記録していました。エンジンはCFMインターナショナル製のCFM56-7Bを搭載し、162席（ビジネスクラス12席、エコノミークラス150席）の座席配置でした。また、この機体は雲南省を象徴する「孔雀」を描いた特別塗装機として運用されており、日本にも飛来したことがあります。

乗務員

コックピットには機長、副操縦士、オブザーバーの3名が搭乗しており、全員が健康で、勤務態度にも問題はなかったとされています。機長はボーイング737型の操縦士として6,709時間、副操縦士は31,769時間、オブザーバーは556時間の飛行経験がありました。

天候

事故発生当時、梧州市周辺の天候は穏やかでしたが、約4時間前には雷雨や強風の予報が出ていました。しかし、事故との直接的な関連性は不明です。

事故の経緯

5735便は昆明長水国際空港を離陸後、14時17分に巡航高度8,900メートルで広州の飛行情報区に入りました。しかし、その直後の14時20分に突然急降下を開始し、航空管制官が連絡を試みるも応答はありませんでした。周辺を飛行していた他の航空機も呼びかけましたが、応答はありませんでした。14時23分に機影はレーダーから消失しました。

Flightradar24の記録によると、機体は3分間で高度約8,900メートルから約983メートルまで急降下しており、墜落直前には音速に近い速度で落下していた可能性が指摘されています。目撃者の証言によると、機体はほぼ垂直に落下し、墜落現場では山火事が発生しました。救助隊は現場へのアクセスに困難を強いられ、捜索活動は難航しました。

事故から数日後、乗客乗員132名全員の死亡が確認されました。中国国内で発生した大規模な航空事故としては、2010年の河南航空8387便墜落事故以来、約11年半ぶりの出来事となりました。

乗員乗客

乗員乗客は合計132名で、全員が中国人であったとされています。また、日本の外務省は墜落確認以前に当該便に日本人の名前は確認できないと発表しました。メディアの報道によれば、少なくとも2人が搭乗便の変更により難を逃れています。一人は天候不良による欠航、もう一人はPCR検査のために搭乗便を変更していました。

事故調査

中国民用航空局（CAAC）が主導し、ボーイング、CFMインターナショナル、米国連邦航空局（FAA）が技術アドバイザーとして協力し、アメリカの国家運輸安全委員会（NTSB）も調査に参加しました。

墜落現場から回収されたブラックボックス（コックピットボイスレコーダーとフライトデータレコーダー）は、解析のために北京に送られました。予備報告書では機械的な故障による墜落は否定され、ブラックボックスは更なる解析のためにワシントンへ送られました。

米国政府筋からの情報では、フライトデータレコーダーのデータから、コックピット内の何者かが意図的に機体を墜落させた可能性が示唆されています。コックピットへの外部からの侵入の形跡はなく、緊急信号やメーデーコールも発信されていません。また、パイロットの一人が墜落直前に問題を抱えていたことが調査で判明したと報じられています。

事故後の対応

習近平国家主席と李克強首相は、事故発生直後から捜索や事故原因の究明を指示しました。また、中国民用航空局は安全強化のための全国規模の検査を実施すると発表しました。中国東方航空は事故発生後、同型機の運航を一時停止しましたが、約1ヶ月後に運航を再開しました。

この事故は、航空安全に対する意識を改めて高める出来事となり、今後の航空業界における安全対策の強化が求められています。

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