Flightradar24

Flightradar24とは

Flightradar24は、世界中の民間航空機の現在位置をリアルタイムで表示するウェブサイトおよびスマートフォン・タブレット向けアプリケーションです。航空機の位置情報だけでなく、便名、高度、速度、機種、航跡など、詳細な情報を提供しています。航空ファンや航空業界関係者にとって、欠かせないツールとなっています。

概要

2006年にスウェーデンの航空ファンによって開始されたプロジェクトは、当初はヨーロッパ北部・中部のADS-B受信ネットワーク構築から始まりました。2009年に一般公開されて以来、世界中の航空ファンからの協力により、対応範囲は拡大し、現在ではヨーロッパ、アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカの一部をカバーしています。従来の航空管制官やパイロットしか知りえなかった航空機の位置情報を手軽に取得できるため、航空事故発生時にはマスメディアの情報源としても活用されています。Flightradar24は、1日に約20万フライトを追跡し、4万台以上の受信機を擁する世界最大のADS-B受信ネットワークを運営しています。

仕組み

Flightradar24では、航空機から発信されるADS-B電波を、世界中の有志やFlightradar24が設置した受信システムで受信し、サーバーに転送しています。ADS-B電波が届きにくい地域（北朝鮮、砂漠地帯、大洋上など）は、以前は表示が困難でしたが、現在は人工衛星からの位置情報により、ほぼ全世界をカバーしています。一部地域では、MLAT（マルチラテレーションシステム）、FLARM（軽飛行機向け衝突防止システム）、FAA（米国連邦航空局）からのデータも利用していますが、これらのデータはADS-Bデータに比べて5分程度の遅延が発生します。ADS-Bデータに基づく航空機は黄色、FAAデータに基づく航空機はオレンジ色で表示されます。

表示内容

地図上の航空機アイコンを選択すると、以下の情報が表示されます（一部有料版のみ）。

航空機の所属: 航空会社、軍、政府機関などが表示されます。個人所有の機体は「Private owner」と表示されます。
便名: 便名が表示されます。自家用機など便名がない場合は機体記号が表示されます。
出発地/目的地: 空港コードと都市名が表示されます。データベースの更新状況により、異なる出発地や目的地が表示される場合があります。
Aircraft: 機種（ICAO機種コード）が表示されます。ボーイング機はカスタマーコードも含まれます。
Registration: 機体記号が表示されます。
Age: 機体の経過年数（シリアルナンバー付与からの年数）が表示されます。13ヶ月から24ヶ月の機体は「1年」、それ未満は「最新(Brand new)」、試験飛行機は「テストフライト」と表示されます。
Mode S: モードSトランスポンダのコード（16進数表示）が表示されます。
Altitude: 飛行高度（フィート）が表示されます。
Vertical Speed: 垂直速度（上昇・降下率）が表示されます。
Speed: 速度（ノット）が表示されます。
Track: 飛行方位（北を0度とした時計回りの角度）が表示されます。
Latitude/Longitude: 緯度・経度が表示されます。
Radar: 当該機体の情報を受信しているレーダー名が表示されます。レーダー名は空港コードを参考にFlightradar24が独自に割り当てたもので、実際の航空管制とは関係ありません。レーダー名の代わりに、「T-MLAT」はMLATデータ、「T-EST」は予測経路、「T-F5M」はFAAデータ、「T-FLARM」はFLARMデータを示します。
Squawk: スコークコードが表示されます。有料版では、スコーク7700の緊急事態宣言機をプッシュ通知する機能があります。
航跡: 地図上に選択中の機体の航跡が表示されます。航跡の色は高度に応じて変化します（白→黄→緑→水色→青→紫→赤）。

人工衛星からの位置情報に基づく機体は青色で表示されます。主要な国際空港や地方空港はほとんど網羅されており、軍事基地も一部表示されます。また、「Most tracked flights」として、多くのユーザーに追跡されているフライトがリアルタイムで表示されます。

レーダーに表示される機体

Flightradar24の仕組み上、すべての航空機が表示されるわけではありません。安全保障上の理由やプライバシー保護のため、要人が搭乗する機体やプライベートジェットは表示されないことがあります。また、地域や時間帯によっては、表示される機体が少ない場合もあります。

民間機

ADS-Bを搭載していない機体や、緊急を要するフライト（ドクターヘリなど）は基本的に表示されません。アメリカでは2020年までにADS-B搭載が義務化されたため、米国発着便はほぼ表示されます。日本ではADS-B搭載義務がないため、国際線や比較的新しい機材を除くと表示される便は少ない傾向があります。一部の民間機は機体情報が伏せられたり、ビジネスジェットは機種名のみ表示される場合があります。

軍用機・政府専用機

軍用機は基本的に表示されませんが、一部の輸送機や練習機などは表示されることがあります。ただし、コールサインや所属などの情報は伏せられている場合が多く、飛行高度や速度から機種や目的地を推測することになります。日本では、過去に政府専用機が表示されていましたが、現在は防衛上の理由から表示されていません。アメリカ大統領専用機（エアフォースワン）は表示されることがあります。

実験機

航空機メーカーや研究所の実験機は通常表示されますが、機体記号の代わりにメーカー名が表示されたり、専用アイコンが設定されることがあります。軍の実験機は基本的に表示されません。

気球

イベントなどで短時間上昇する気球は表示されない場合がありますが、GoogleのProject Loonの気球は表示されます。

空港車両

空港の化学消防車やトーイングトラクターなどの車両も表示されることがあります。機種は「Airport Vehicle」と表示されます。

サンタクロースのそり

毎年クリスマスの数日前から、「SANTA1」としてサンタクロースのそりがFlightradar24に表示されます。トナカイがそりを引くアニメーションが表示され、世界中を飛び回る様子が確認できます。

スマートフォン向けアプリケーション

Flightradar24は、スマートフォンやタブレット向けにもアプリを提供しています。基本的な機能はPC版と同じですが、表示が最適化され、通知機能やAR表示などの独自機能が追加されています。無料版と有料版があり、有料版では表示内容のカスタマイズやデータ保存機能が利用可能です。有料版はPC版の登録ユーザーは同じIDで利用できます。

通知機能

緊急事態宣言（スコーク7700）や通信トラブル（スコーク7600）を報告した機体をプッシュ通知で知らせる機能があります。コールサインや機種に対する通知は、アプリ内課金が必要です。

AR（拡張現実）表示

カメラを通して、飛行中の機体に便名や機材を重ねて表示するAR機能があります。こちらは無料で利用できます。カメラ非搭載端末では利用できません。

合法性

Flightradar24は、ADS-B電波が不特定多数に向けた放送であるため、傍受しても問題ないとしています。日本の電波法でも、特定の相手に対する通信ではないため、違法性はありません。

関連項目

NORADのサンタ追跡
Google サンタを追いかけよう
航空交通管制
航空路
標準到着経路
航空ファン
エアバンド
マリントラフィック
ウィンディ

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