中札内駅

中札内駅

中札内駅は、北海道河西郡中札内村の札内地区にかつて位置していた、日本国有鉄道（国鉄）広尾線に属した鉄道駅（廃駅）です。現在の行政区分では十勝総合振興局管内にあたります。事務管理コードは▲111506が与えられていました。

歴史

この駅の歴史は、広尾線の帯広駅と当駅間の開業に合わせて1929年（昭和4年）11月2日に始まりました。当初は終着駅としての「一般駅」でした。翌年の1930年（昭和5年）10月10日には、当駅から大樹駅まで路線が延伸されたことにより、中間駅へと変わりました。

その後、時代が移り変わり、鉄道を取り巻く環境が変化する中で、取り扱い業務の縮小が進みます。1982年（昭和57年）9月10日には貨物の取り扱いが廃止され、続いて1984年（昭和59年）2月1日には荷物の取り扱いも終了しました。そして、特定地方交通線に指定されていた広尾線全体の廃止が決定されたことに伴い、1987年（昭和62年）2月2日をもって中札内駅もその歴史に幕を閉じ、廃駅となりました。

駅名の由来

駅名は、駅が位置する地域を流れる札内川の中流域にあることに由来しています。駅が開業した当時、この地域は現在とは異なり大正村の一部でしたが、後に分村する際に、札内川から名付けられた「中札内」という地名がそのまま村名として採用されました。

駅構造

廃止される直前の駅構造は、地上に設けられた相対式のホームが二つ（2面）、それぞれに線路が一本ずつ（2線）設けられた形式でした。これにより、列車の行き違い（交換）が可能でした。ホーム間の連絡は、駅舎に面したホームの中央部分と、その反対側のホームの南側を結ぶ形の構内踏切によって行われていました。駅舎側の西側ホームが上り列車用の1番線、対向する東側ホームが下り列車用の2番線として使用されていました。

主要な2本の線路の他に、対向側ホームの外側には一本の側線が設けられていました。また、1番線の帯広方面寄りからは分岐して、駅舎の北側に設けられていた貨物ホームへの引込線として、もう一本の貨物側線も存在しました。

駅には職員が配置されており、駅舎は構内の北西側、広尾方面に向かって右手に位置し、1番線ホームの中央部分に接していました。駅舎は改修が施されていましたが、土壁と板張りの素朴な造りであったと伝えられています。

利用状況

1981年度（昭和56年度）のデータによると、一日あたりの平均乗降客数は232人でした。

駅周辺

駅周辺には、北海道道321号中札内停車場線が通じ、さらに主要幹線である国道236号（広尾国道）も近くを走っています。近隣には、地域の交流拠点である道の駅なかさつないや、帯広広尾自動車道の中札内インターチェンジがあります。

公共施設としては、中札内村役場や帯広警察署中札内駐在所、中札内郵便局などが位置しています。教育機関では中札内中学校、中札内小学校があります。金融機関として帯広信用金庫中札内支店、農業関連では中札内村農業協同組合（JA中札内村）も見られます。

駅名の由来ともなった札内川が近くを流れ、十勝バスの中札内案内所や主要なバス停留所「中札内」も利用できます。

駅跡地

駅としての役目を終えた跡地は、現在「鉄道記念公園」として地域住民や訪問者に親しまれる場となっています。かつての駅舎は撤去されましたが、公園の入口には蒸気機関車の動輪を利用したモニュメントが設置されています。また、往時の雰囲気を伝える腕木式信号機やレールの一部が保存されています。

当時のホームもアスファルト舗装されて残されており、そのホームに沿うようにして、国鉄時代の有蓋車が2両静態保存・展示されています。このうち1両は、内部が児童向けの遊び場として改造・塗装が施されています。公園の敷地は線路跡を活かした形で長く伸びており、鉄道が通っていた名残を今に伝えています。

隣の駅

日本国有鉄道 広尾線

幸福駅 - 中札内駅 - 更別駅

関連項目

日本の鉄道駅一覧
特定地方交通線

もう一度検索