幸福駅

幸福駅：愛と幸福を呼んだ駅

幸福駅は、かつて北海道帯広市幸福町に存在した、旧国鉄広尾線の駅です。その名前が示す通り、縁起の良い駅として知られ、多くの人々に愛されました。

歴史

幸福駅は、1956年（昭和31年）に広尾線の仮乗降場として開業しました。同年11月には駅に昇格し、旅客のみを取り扱う駅となりました。しかし、広尾線の廃止に伴い、1987年（昭和62年）2月2日に廃止されました。その後、老朽化のため駅舎が解体されましたが、2013年（平成25年）11月には、旧駅舎の一部を流用したレプリカの新駅舎が再建されました。2016年（平成28年）には、台湾鉄路管理局内湾線の合興駅と姉妹駅協定を締結し、国際的な交流も行われています。

駅名の由来

駅名の由来は、現在の札内川のアイヌ語名「サッナイ」に「幸震」という漢字を当てたことに始まります。その後、「幸震」を音読みした「こうしん」が村名となり、福井県からの入植者が多かったことや、「将来の幸福を願う」という意味も込めて、「幸福」という地名が誕生しました。

駅構造

廃止時の幸福駅は、単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。ホームは線路の東側、広尾駅方面に向かって左側に位置していました。転轍機を持たない棒線駅で、開業当初から無人駅でした。しかし、ホーム南側の出入口から少し離れた東側に、待合所としての機能を持つ木造駅舎がありました。駅舎内には売店があり、簡易委託駅として乗車券の販売も行われていました。駅舎の隣にはトイレがあり、駅舎の前には「ようこそ愛の国から幸福へ」と書かれたアーチが設置されていました。

利用状況

1981年度（昭和56年度）の1日あたりの乗降客数は13人でした。

周辺情報

駅周辺には、国道236号（広尾国道）、帯広広尾自動車道幸福インターチェンジ、幸福簡易郵便局、幸福神社、札内川などがあります。また、十勝バスの「幸福」停留所からは、広尾線代替バスやとかち帯広空港連絡バスが利用できます。

「愛の国から幸福へ」ブーム

1973年3月、NHKの紀行番組『新日本紀行』で「幸福への旅 〜帯広〜」として紹介されたことで、幸福駅の知名度は全国的に上昇しました。1972年には7枚しか売れなかった愛国 - 幸福間の切符が、1973年には300万枚、4年間で1000万枚を超える大ブームとなりました。このブームは、1974年の営業係数を大幅に改善しましたが、一時的なものに留まり、広尾線全体の営業改善にはあまり貢献しませんでした。

駅跡

現在、幸福駅の跡地は交通公園として整備されており、駅舎、トイレ、ホーム、レール、駅名標などが当時のまま保存されています。また、レール上には2両の気動車とモーターカーが静態保存・展示されています。駅舎は2013年に建て替えられましたが、旧駅舎の外壁の一部が使用されています。

交通公園

駅跡は、帯広市によって交通公園として整備されており、幸福地区観光再開発協議会が管理を受託しています。駐車場やトイレ、花壇なども整備されており、観光客が安心して訪れることができます。また、2012年には、観光PRキャラクターとして「みゆき」（幸福駅の駅神）と「めぐみ」（愛国駅の駅神）が登場しました。

隣の駅

広尾線では、幸福駅の隣に大正駅と中札内駅がありました。

まとめ

幸福駅は、その名の通り、人々に幸福をもたらす駅として、今もなお愛され続けています。廃線後も交通公園として整備され、多くの観光客が訪れる場所となっています。この駅を訪れることで、過去の歴史に触れ、幸福のエネルギーを感じることができるでしょう。

参考資料

[帯広市]]観光情報：[愛の国から幸福へ
帯広観光コンベンション協会：帯広観光
* NHKアーカイブス：新日本紀行

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