中臣習宜阿曾麻呂

中臣習宜 阿曾麻呂の概要

中臣習宜 阿曾麻呂（なかとみのすげ の あそまろ）は、奈良時代に活躍した貴族であり、物部氏の一族に所属していました。彼の氏名は一般的に習宜と記載されることが多く、姓は朝臣です。官位は従五位下で、また大隅守という役職にも就いていました。

出自と系譜

中臣習宜は、饒速日命の孫にあたる味饒田命の後裔である天孫系集団に属しています。彼は大和国添上郡習宜の地名からその名を得ており、これは彼の出自を示す重要な要素です。また、彼の一族は初め連姓でしたが、養老3年（719年）に朝臣姓に改称されました。この改姓は、彼らの社会的地位や認識において重要な変化をもたらしたと考えられています。

政治的経歴

中臣習宜は天平神護2年（766年）に従五位下を叙爵され、その後神護景雲元年（767年）には豊前介に任命されました。彼はこの役職を通じて、宇佐神宮における神職団の紛争解決に貢献しました。神護景雲3年（769年）には大宰主神の職にあり、同年9月には、宇佐八幡宮からの神託をもとに、道鏡を皇位に推す意見を称徳天皇に進言しました。この神託事件は「宇佐八幡宮神託事件」として知られ、和気清麻呂の抵抗によって道鏡の皇嗣擁立は阻止されました。

この事件の結果、中臣習宜は神護景雲4年（770年）に称徳天皇の崩御を経て失脚し、多褹嶋守に左遷されました。しかし、彼の運命はその後も変転を続け、宝亀3年（772年）4月には道鏡が死去した際に再び機会が訪れます。6月にはかつて和気清麻呂が流されていた大隅国の国司に任命されました。

官歴と評価

中臣習宜の官歴は『続日本紀』に記載されています。彼はもともと正六位上から出発し、時を経て従五位下に昇進しました。その後、豊前介を経て大宰主神に、次いで多褹嶋守として再任されるなど、その政治的影響力を保ち続けました。

彼の政歴は、当時の政治的混乱や神事との関わり合いを表しており、特に宇佐八幡宮神託事件は奈良時代の神権政治の複雑さを象徴しています。道鏡との関係性や和気清麻呂との対立は、彼の政治生活を彩る重要なエピソードです。

中臣習宜阿曾麻呂は、奈良時代の貴族社会において、その出自や職務を通じて大きな役割を果たしました。彼の活動は、当時の社会や政治の在り方を知る上で貴重な資料とされています。

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