中院通躬

中院通躬（なかのいん みちみ）は、江戸時代前期から中期にかけて活躍した公卿・歌人です。内大臣・中院通茂の長男として生まれ、中院家18代当主となりました。官位は従一位・右大臣にまで昇りました。

経歴

寛文8年（1668年）に中院通茂（権大納言、のち内大臣）の長男として誕生。母は板倉重矩の養女（小笠原政信の娘）です。翌年に叙爵し、延宝元年（1673年）には従五位上に進みました。延宝8年（1680年）に元服し、従四位下に進んだ後、左近衛少将・左近衛中将を経て、元禄元年（1688年）に参議に任じられます。元禄5年（1692年）には権中納言となり、元禄6年（1693年）には正三位に進み踏歌外弁となりました。元禄14年（1701年）には、東山天皇の勅命により、霊元法皇第十皇子の沢宮寛敦親王家別当を務めています。

歌道においては、父である通茂から歌学を受け継ぎ、父と共に霊元院歌壇で重きをなしました。通躬は霊元天皇の和歌の弟子であり、詠草には天皇による勅点が多数施されています。正徳5年（1715年）には、播磨国曽根村（現在の兵庫県高砂市）にある菅公を祀る曽根天満宮に和歌を集めて奉納しました。また、父の通茂と共に漢学を熊沢蕃山に学んでいます（通茂は蕃山門下の堂上四天王とも称されました）。その他、嵯峨釈迦堂供養伝奏、神宮伝奏などを歴任しました。

享保4年（1719年）には武家伝奏に任じられ、享保11年（1726年）には内大臣に任ぜられました。さらに、享保13年（1728年）には従一位に昇叙されています。元文3年（1738年）には異例の右大臣に任ぜられますが、これは辞退しています。大臣家の極官は内大臣であり、近世において右大臣に任官した例は、歴代当主の中では三条西実条と通躬のみです。元文4年（1739年）には、第8代将軍・徳川吉宗が公家の家業奨励のため、公家衆から和歌の名人を選抜し名所和歌の詠進を所望した際、関白一条兼香から推薦され、和歌を提出しました。同年12月に薨去。享年72歳でした。

正徳5年（1715年）に子の通藤が僅か6歳で夭折したため、三弟の久世通夏の子を婿養子（通枝）としています。

歌道の弟子

烏丸光栄
三条西公福

系譜

父：中院通茂
母：板倉重矩養女 - 小笠原政信娘
正室：飛鳥井雅章娘
生母不明の子女
女子：俊子 - 清閑寺治房正室
女子：誠姫 - 溝口重元継室
男子：中院通藤
女子：綱姫 - 鍋島宗教正室
女子：長姫 - 中院通枝正室
養子
男子：中院通枝 - 久世通夏の子

参考文献

野島寿三郎編『公卿人名大事典』（日外アソシエーツ、1994年、ISBN 4816912444）554ページ「三条西実条」

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