丸山城 (摂津国能勢郡)

丸山城：能勢氏の栄枯盛衰を映す山城

大阪府豊能郡能勢町に位置する丸山城は、標高278mの丸山という丘陵上に築かれた平山城です。摂津国と丹波国を繋ぐ交通の要衝にあり、古くから戦略的に重要な拠点として機能していました。

能勢氏の居城としての歴史

丸山城は、長元年間（1028～1036年）にこの地に入った摂津源氏の流れをくむ豪族、能勢氏の居城となりました。能勢氏は、周辺で産出される銀や銅の交易を掌握し、勢力を拡大。周辺の武士団をまとめる惣領として、地域の支配者として君臨しました。

城には、平安時代末期から城館が存在したと推測されており、大手道付近には広大な平坦地があり、能勢氏の居館があったとみられています。現在でも、鎌倉時代の石造九重層塔や南北朝時代の石造宝篋印塔といった貴重な遺構が残っており、城の歴史の深さを物語っています。

戦国時代の激動

戦国時代に入ると、丸山城は時代の波に翻弄されます。1578年（天正6年）、有岡城の荒木村重が織田信長に反旗を翻した有岡城の戦いに際し、21代城主の能勢頼道は、高槻城の高山右近、茨木城の中川清秀らと共に荒木村重に味方しました。しかし、高山右近と中川清秀は後に信長方に寝返ります。

翌1579年（天正7年）、織田信忠、津田信澄を大将とする織田軍1万5千が能勢郡に侵攻。多くの城が落城する中、丸山城の動向は史料から不明です。

1579年、織田信長は丹波国平定後、中国攻めの補給路として丸山城の重要性を認識し、山下城の城主、塩川国満を通じて能勢氏に帰属を促しましたが、頼道はこれを拒否しました。1580年（天正8年）9月、塩川国満は頼道を誘い出し、殺害してしまいます。

能勢氏の抵抗と再興

頼道の弟、頼次は兄の仇討ちのため塩川氏と戦い勝利しますが、明智光秀軍の侵攻を受け、1581年（天正9年）丸山城を放棄。能勢妙見堂に為楽山城を築き織田軍に対抗しますが、後に明智光秀と連携し、兄頼長に仕えました。本能寺の変後、明智方についたため羽柴秀吉軍に攻められ、丸山城は再び落城します。

頼長はその後、各地を転々としたと伝えられていますが、その詳細な足取りは不明です。一方、頼次は九州征伐中の天正14年（1586年）、塩川国満によって丸山城が落城しますが、豊臣秀吉の怒りを買い、塩川国満は自害に追い込まれました。

慶長4年（1599年）、頼次は徳川家康に仕え、関ヶ原の戦いで活躍。家康から能勢の旧領を与えられ、能勢氏を再興しました。しかし、1602年（慶長7年）に地黄陣屋を築いたことで、丸山城は廃城となりました。

城郭の構造

丸山城跡は、南北155m、東西30mの規模を有し、南北に連なる複数の曲輪から構成されています。本丸は南北41m、東西22mで、北東隅が張り出し、隅櫓があった可能性が指摘されています。本丸周囲には帯曲輪である二の丸があり、さらに三の丸、空堀、堀切などが防御施設として整備されていました。

アクセス

電車：能勢電鉄妙見線妙見口駅から阪急バス妙見口能勢線「奥の院」バス停下車、徒歩約10分

車：阪神高速11号池田線池田木部第二出入口から国道173号、国道477号経由。駐車場なし

丸山城は、能勢氏の盛衰だけでなく、戦国時代の激動を肌で感じることのできる貴重な歴史的遺産です。訪れる際には、その歴史に思いを馳せてみてください。

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