飛鳥井雅綱

飛鳥井雅綱（あすかい まさつな）

飛鳥井雅綱は、室町時代後期から戦国時代にかけて活躍した公卿です。飛鳥井家は代々、和歌や蹴鞠の宗家として朝廷に仕え、雅綱もその伝統を受け継ぎました。彼は、公家としての地位を保ちながら、武家社会との交流を深め、文化の伝承に貢献しました。

生涯

明応4年（1495年）に生まれ、幼くして叙爵。大永4年（1524年）には従三位に昇叙しました。天文7年（1538年）には権大納言に任じられ、朝廷の要職である武家伝奏も務めました。これは、当時の朝廷が武家との関係を重視していたことを示すものです。

雅綱は、和歌・蹴鞠の宗家として、その技を広めることにも尽力しました。大永5年（1525年）には、後の北条氏康に蹴鞠の作法を伝授。天文2年（1533年）には、織田信秀の招きに応じて尾張国へ赴き、勝幡城や清州城で蹴鞠会を開催し、多くの門弟を育成しました。また、天文18年（1549年）には再び北条氏康を訪問し、その子である氏親・氏政にも蹴鞠作法を伝授しています。これらの活動は、公家文化が武家社会にも浸透していく過程を示すものとして重要です。

永禄5年（1562年）には従一位に叙せられ、公家としての地位を極めました。しかし、翌永禄6年（1563年）に出家し、その生涯を閉じました。

系譜

父は飛鳥井雅俊。多くの男子に恵まれました。子孫は、それぞれ僧侶や武家との婚姻を通じて、各方面に広がっていきました。特に、娘の一人が朽木元綱の正室となったことは、雅綱が武家との関係を深めていたことを示す一例と言えるでしょう。

父：飛鳥井雅俊
母：八幡検校生清法印の娘
兄弟：行雅 - 浄名坊、阿闍梨
妻：丹波親康娘
男子：飛鳥井雅春
生母不明の子女
男子：覚澄 - 安居院僧正、子に西洞院時慶
男子：喜雲
男子：某 - 最勝院
男子：尭慧 - 真宗高田派高田専修寺12世。将軍足利義晴の猶子。朽木元綱正室は娘。
男子：宗禎 - 伊豆国修善寺住持、二卜と号す
男子：遠山
男子：某 - 報恩院、水本と号す
男子：雅厳 - 僧正、松橋
男子：重茂
女子：経範（仏光寺）の室
女子：朽木晴綱正室 （朽木元綱母）
女子：目々典侍 - 正親町天皇典侍
女子：

評価

飛鳥井雅綱は、戦国時代の激動期において、公家文化の担い手として、また武家社会との交流を深めた人物として評価されています。彼の活動は、当時の社会における文化の伝播や交流のあり方を理解する上で重要な役割を果たしています。

参考文献

市古貞次他『国書人名辞典 1』（岩波書店、1993年） ISBN 978-4-000-80081-5
* 山田康弘「飛鳥井雅綱」『戦国人名辞典』（吉川弘文館 2006年） ISBN 978-4-642-01348-2

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