九州飛行機

九州飛行機株式会社について

九州飛行機株式会社（きゅうしゅうひこうき、旧称：九州飛行機株式會社）は、1930年代から1940年代にかけて活動を行っていた日本の航空機メーカーです。この会社は第二次世界大戦中に設立されたもので、軍用機の製造を中心に事業を展開しました。特に注目すべきは、エンテ型飛行機の試作戦闘機である「震電」の製作です。海軍におけるメーカー記号は「W」で知られています。

沿革

九州飛行機のルーツは、福岡市の渡邊鉄工所に遡ります。この会社は1830年に創業され、当初は建設業に従事していました。1886年、博多に設立された分工場から機械工場へと変貌を遂げ、1904年には日本陸軍用の輜重車両製造に参入しました。1916年に法人化され、以降は日本海軍向けの魚雷部品など、軍需分野での生産を拡大していきました。

1923年には航空機用の主脚の試作に取り組み始めましたが、本格的に航空機の製造を行うようになったのは、1930年に工場を福岡市郊外の雑餉隈に移転してからのことです。1935年からは飛行機製造を開始し、1943年には分社化して九州飛行機が設立されました。渡邊鉄工所はその後九州兵器と改名され、業務を継続しながら軍需生産を拡充していきました。

雑餉隈工場では、約12万坪の広い敷地において、零式水上偵察機など、16種類の航空機を製造しました。この工場では、正社員に加えて勤労学生や女子挺身隊といった多くの人々が生産活動に従事し、昼夜を問わず努力していました。

1945年には、工場が米軍に接収され、約1,500名の米兵が駐屯していました。戦後、工場は1953年に福岡県筑紫郡春日町に移転し、渡辺自動車工業として新たにスタートを切りました。この際、航空機製造の技術を応用し、自動車の部品やバス車体の製造にシフトしました。さらに同社は、西日本車体工業の傘下に入り、バス車両の修理や更新業務を行うなど、多角的な事業展開を行いました。

1992年には工場を佐賀県三養基郡基山町に移し、2001年に会社清算を行い解散しました。解散後、工場の敷地は同じ西鉄グループの西鉄車体技術本社に転用されました。

現在も九州飛行機の母体となった渡邊鉄工は、産業機械の製造を続けており、防衛省向けに魚雷関連機器の供給も行っています。また、その前身となった渡辺藤吉本店も建設資材の販売を行っており、福岡市博多区に本社を置いています。

製造機体

九州飛行機では様々な機体が製造されましたが、代表的な機体には以下のようなものがあります：

• - 九〇式水上初歩練習機（K4Y）
• - 九六式小型[[水上機]]（E9W）
• - シャム国海軍水上偵察機
• - 十一試水上中間練習機（K6W）
• - 零式小型水上機（E14Y）
• - 十二試水上初歩練習機（K8W）
• - 二式陸上基本練習機「紅葉」（K9W）
• - 二式陸上中間練習機（K10W）
• - 機上作業練習機「白菊」（K11W）
• - 陸上哨戒機「東海」（Q1W）
• - 十八試局地戦闘機「震電」（J7W）
• - 陸上哨戒機「南海」（Q3W）

九州飛行機株式会社は、日本の航空機メーカーとしての歴史において重要な役割を果たし、その影響力は今日も残っています。

もう一度検索