二子岳武

二子岳武（ふたごだけ たけし）

二子岳武は、1943年11月15日に青森県北津軽郡金木町（現在の五所川原市）で生まれた元大相撲力士です。本名は山中武。現役時代の体格は178cm、113kgと、比較的軽量でした。

生い立ちと入門

中学時代から相撲部に所属し、その才能を開花させました。中学卒業後、相撲部の先生の勧めで、横綱・初代若乃花が率いる花籠部屋に入門。1961年1月場所に初土俵を踏みました。

力士としての活躍

1962年5月場所、若乃花が引退し二子山を襲名して二子山部屋を創設すると、二子岳はそれに同行。1964年11月場所には十両に昇進し、二子山部屋初の関取となりました。二子山親方もそのスピード出世に喜びましたが、二子岳自身はこの場所中に怪我をして幕下に陥落。しかし、1966年3月場所に十両復帰、翌1967年1月場所には入幕を果たしました。1966年5月場所には、四股名を若二子から二子岳に改名しています。

1968年11月場所では10勝を挙げ、技能賞を受賞。多彩な技を持ち、特に内無双や下手投げを得意としました。相撲教習所では、基本を教えようとした指導員に対し、担当の親方が持ち味を伸ばすべきだと自由にやらせたことが、その才能開花を助けたと言われています。内無双・外無双は、二子岳の活躍により珍しい技から一般的な技へと認識されるようになりました。1969年11月場所では、横綱・大鵬を蹴返しで破り、金星を獲得しています。

軽量だったため、相撲が長引くこともあり、1974年9月場所では前頭10枚目・三重ノ海との一戦で、珍しい引分を記録しました。

引退とその後

1976年9月場所限りで引退し、年寄・白玉を襲名。その後、荒磯に名跡を変更し、1993年5月には二子山部屋から独立して荒磯部屋を創設しました。

2008年11月場所中に停年を迎えるため、同年9月場所限りで荒磯部屋を閉鎖。3名いた弟子は、2名が引退、1名が花籠部屋に移籍しました。二子岳自身は呼出・悟とともに松ヶ根部屋へ移籍し、停年まで同部屋付きとなりました。

在職期間中、弟子を関取に昇進させることはできませんでしたが、荒磯部屋閉鎖後、元弟子の荒鷲が2011年7月場所に十両に、後に幕内へと昇進を果たしました。2023年7月場所前時点でも健在で、2022年には元弟子の荒鷲が長女誕生の際に二子岳の元へ挨拶に訪れたといいます。

人柄とエピソード

力士として日が浅い頃、髷姿と着流し姿が目立つため、商店街は避けて通っていたそうです。

同世代の力士・貴ノ花は、兄弟子たちとよく喧嘩をしていたそうですが、二子岳は自分を2、3回殴った以外は決して人を殴ることはなかったといいます。貴ノ花は、二子岳の人柄がもっと悪ければ大成していたであろうと語っており、その温厚さが大成を阻んだ一因とも言えるでしょう。

主な成績・記録

通算成績：561勝564敗1分30休 勝率.499
幕内成績：376勝460敗1分11休 勝率.450
現役在位：94場所
幕内在位：57場所
三役在位：3場所（小結3場所）
三賞：1回
技能賞：1回（1968年11月場所）
金星：1個（大鵬から）

改名歴

山中 武（1961年3月場所-?）
若二子 武（?-1966年3月場所）
二子岳 武（1966年5月場所-1972年9月場所）
二子岳 武晴（1972年11月場所-1973年3月場所）
二子岳 武（1973年5月場所-1975年7月場所）
二子岳 武士（1975年9月場所-1976年9月場所）

年寄変遷

白玉 武士（1976年9月-1977年9月）
白玉 武（1977年9月-1983年12月）
荒磯 武（1983年12月-2008年11月）

関連項目

小結一覧

参考文献

* 『戦後新入幕力士物語 第3巻』（著者：佐竹義惇、ベースボール・マガジン社刊、1991年）

もう一度検索