二木島町

三重県熊野市二木島町：歴史と自然が織りなす風光明媚な地

二木島町は、三重県熊野市の東部に位置し、美しい二木島湾に面した町です。かつては「二喜島」や「二鬼島」とも表記され、その歴史は古く、漁業と林業が主要な産業として発展してきました。陸路と海路の要所として栄えた歴史から、一里塚などの史跡も残っています。

地理

町の東部は二木島湾に面し、北部は山々に囲まれています。山を越えると尾鷲市へと続き、中心集落は町の中心部に位置しています。JR紀勢本線や国道311号が町を横断しており、交通の便も比較的良いと言えるでしょう。主要な河川としては逢川が流れ、海洋は二木島湾と熊野灘に面しています。牟婁崎という岬も存在します。隣接する地域は、北に尾鷲市曽根町、東に熊野市甫母町と二木島里町、南に熊野市遊木町、西に熊野市新鹿町です。

逢川

二木島町の中央部を流れる逢川は、その名の由来が伊勢神宮の神と熊野権現が出会った地であるという伝承を持つ、歴史的に重要な河川です。かつては大化2年（646年）には、志摩国と紀伊国の国境に定められたという説もあります。三重県立熊野古道センターによると、逢川は清流であり、流域にはシダ植物が自生しています。

歴史

近代まで

二木島町は、海岸部で縄文時代から古墳時代にかけての複合的な遺跡が発見されており、古くから人が生活していたことが伺えます。江戸時代には紀州藩の配下となり、二木島浦として栄えました。当時は熊野灘を行き交う航路の寄港地として、また捕鯨の地としても知られていました。明治時代に入ると、小学校や銀行、郵便局が開設され、近代化が進みました。1889年の町村制施行時には、荒坂村の大字となり、村役場が設置されました。しかし、捕鯨会社は設立されたものの、漁獲量の減少により1915年に営業を終了しました。1944年には、昭和東南海地震による津波で被害を受けています。

現代

1954年の昭和の大合併により、二木島浦は「二木島町」となり、熊野市の一部となりました。1959年には国鉄紀勢本線が開通し、二木島駅が設置されたことで、交通の利便性が大きく向上しました。1975年には熊野灘二木島海中公園地区が指定されています。一方で、1980年には、親族間での痛ましい殺人事件が発生し、作家の中上健次がこの事件を題材とした作品を執筆したことでも知られています。2011年には、町内にあった荒坂小学校が休校となり、少子化の影響が顕著になっています。

沿革

1889年、町村制施行により南[[牟婁郡]]荒坂村大字二木島浦となり、1954年に木本町などと合併し、熊野市二木島町となりました。

町名の由来

町名の由来には諸説あります。一つは、神武天皇が熊野の荒坂津で丹敷戸畔を殺害したという『日本書紀』の記述に由来するという説（『紀伊続風土記』）。もう一つは、波が穏やかな湾に面していることから、「和島」や「凪島」と呼ばれたことに由来するという説（『新くまの風土記』）です。

世帯数と人口

2019年時点での世帯数と人口は、それぞれ減少傾向にあります。1889年以降の人口と世帯数の推移を見ると、過疎化が進んでいることがわかります。

学区

二木島町にはかつて荒坂小学校と中学校がありましたが、それぞれ2011年と2014年に休校となり、現在は新鹿小学校と中学校へ通学することになっています。

生活

災害対策と医療

二木島町は過去に津波の被害を何度も受けており、南海トラフ地震による津波が懸念されています。避難場所となっている荒坂中学校でも安全とは言えない状況です。災害時には孤立する可能性も高く、過去には土砂崩れにより国道が寸断され住民が孤立したこともあります。そのような状況下、町内にある熊野市立荒坂診療所では災害医療に備え、医師が小型船の所有や担架の購入、無線資格の取得など、独自の対策を講じています。

二木島祭

かつて二木島湾で行われていた二木島祭は、室古神社と阿古師神社の関船による競漕が中心でしたが、担い手不足により2010年を最後に300年の歴史に幕を閉じました。

観光

二木島町には熊野古道伊勢路が通っており、二木島峠を訪れる観光客が増加しています。また、地域住民が中心となり、観光ガイドや語り部による熊野古道の案内も行われています。町内の中学生が結成した「荒坂イレブン」も観光活動に貢献しています。熊野古道以外にも、二木島沖での釣りやダイビングも人気です。

交通

鉄道開通前は、熊野市街まで巡航船が運行していました。また、災害時には臨時の渡し船が運航されたこともあります。

鉄道

東海旅客鉄道紀勢本線二木島駅があります。

路線バス

熊野市自主運行バスが運行しています。

乗合タクシー

予約制の海岸部乗合タクシーが利用可能です。

道路

国道311号や三重県道572号二木島港線が通っています。国道311号は、災害時の寸断が懸念されています。

施設

史跡

二木島町には多くの文化財が残されています。一例として、二木島の一里塚、鯨の供養塔、室古神社、キリシタン灯籠、唐人塚、海福山最明寺などがあります。これらの史跡は、町の歴史を今に伝える貴重な遺産です。

出身者

歌手・俳優の水口晴幸が二木島町の出身です。

その他

郵便番号は519-4204で、熊野郵便局が管轄しています。

二木島町は、豊かな自然と歴史、そして人々の温かさが魅力の町です。過疎化という課題を抱えながらも、地域活性化に向けて様々な取り組みが行われています。

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